更新日: 2019.09.02 その他
不動産売買と手付金 手付金の額の上限とは?個人同士の売買と業者と個人での売買では上限額に差がある?
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手付金の支払いは目的物の引き渡しの前に行われることが多く、支払いに抵抗のある人もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に、土地や建物といった不動産を目的とした売買における手付金は、高額になりがちです。手付金という名目のもと、不当に高額なお金を求められて困ってしまうということもあるでしょう。
そこで、今回は不動産売買における手付金の上限について4つのパターンに分け、まとめました。
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執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
手付金とは
手付金とは、売買契約の際に買主から売主に支払われるお金です。
契約において特に定めのない場合、手付は基本的に解約手付(買主は手付を放棄することで、売主は倍額を返還することで契約を解除することができる手付)であると推定されます。
さて、手付金について軽く学んだところで、本題に入りましょう。
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パターン(1) 売主が業者、買主が個人などの場合
まずは一番多いであろう、売主が不動産会社など宅建業者(以下業者とします)であり、買主となる人が業者以外の個人など(以下個人など)である場合です。
この場合、手付金の額は売買目的となる不動産代金の20%が上限となります。
なぜなら宅地建物取引業法(以下宅建業法とします)39条において次のように定められているからです。
「宅地建物取引業者は、みずから売主となる宅地または建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二をこえる額の手附を受領することができない。」
これにより、売主が業者である場合、手付金の額の上限は売買代金の20%となるのです。そして、20%を超える部分は手付金としては無効となります。
あくまで20%を超えた部分のみが手付金として無効となるだけであり、20%を超えない部分の手付金や、売買契約自体は無効とならないことに注意しておいてください。
パターン(2) 売主が個人などであり、買主が業者
先ほどのパターン(1)とは逆の場合です。
この場合、手付金の額に上限はありません。パターン(1)と異なり、20%を超えていても超えた部分が無効とならず、手付金全体が有効となります。
個人などと業者が行う取引であるにもかかわらずなぜ?と思われることでしょう。では、もう一度宅建業法39条を確認してみましょう。
そこには「宅地建物取引業者は、みずから売主となる・・・」とあります。
つまり、宅建業法39条は業者が売主になる場合に適用される条文であり、個人などが売主となる場合には適用されないのです。
そのため、個人などが売主となる場合は、買主が業者であっても手付金の額は基本的に制限されない。ということになります。
パターン(3) 個人間における売買
個人間における売買もパターン(2)と同様、手付金の額は基本的に制限を受けることはありません。
パターン(4) 業者間における売買
こちらもパターン(2)や(3)と同様、手付金の額の制限はありません。
手付金の制限は業者が個人に対し手付金を過大に設定することで、個人の選択権を狭めてしまわないようにするといった趣旨の規定であるためです。
売主が業者、買主が個人の手付金は20%が上限!
宅建業法39条により、売主が宅建業者、買主が個人などとなる場合、手付金の額は売買代金の20%が上限となることがわかりました。
とはいえ、仮に手付金の額が売買代金の20%を超えてしまっていても、超えていない部分や契約自体は有効のままです。
土地や建物は高額であることが多く、数%変わるだけで手付金の額は大きく変化します。
宅建業者から土地や建物を購入する際は手付金の割合を必ず確認しておきましょう。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー