更新日: 2020.02.01 国民年金

年金の学生納付特例制度、申請日によっては保障が受けられない?

年金の学生納付特例制度、申請日によっては保障が受けられない?
日本国内に住んでいる人が、20歳になると、国民年金に加入する義務があります。しかし、学生については、学生納付特例制度が設けられています。学生納付特例制度について理解し、20歳になったら、早めの手続きをしましょう。手続きが遅れると、万が一の保障が受けられなくなります。
 
三藤桂子

執筆者:三藤桂子(みふじけいこ)

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、三藤FP社会保険労務士事務所 代表、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルマザーとあらゆる立場を経験。会社員の時、年金の仕組みに興味を持ち、仕事で役立つことがないかと社会保険の勉強をはじめ、出会った方のご縁もあり、開業。
社会保険労務士とFP(ファイナンシャルプランナー)という二刀流で活動することで、会社側と社員(個人)側、お互いの立場・主張を理解し、一方通行的なアドバイスにならないよう、“社員に好かれる会社”、“社員に寄り添う会社”の実現を目指す。
年金の知識を強みに、会社の顧問、セミナー、個別相談などを行う。

https://fp-keiko.com/

学生納付特例制度とはどんな制度?

高校を卒業して現役で四年制大学に入学すると、20歳になるのは大学2年生のときです。日本国内に住所を有する人は、20歳になると国民年金の加入義務が生じます。しかし、学生のあいだは保険料の支払いを先送り(猶予)できます。保険料の支払いを先送り(猶予)する制度が学生納付特例制度です。
 
在学している大学や年金事務所、市区町村で手続きできます。ただし、申請者本人の所得が一定以下の学生が対象です。
 
●所得基準:118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除額等
 
学生納付特例制度は、学生のあいだの保険料の支払いを先送り(猶予)しているので、学校を卒業し社会人になると、さかのぼって保険料を納めなければなりません。
 
保険料を納めないでいると、将来受け取る年金額が減ってしまいます。学生納付特例制度は年金を受け取るための期間(受給資格期間)に反映されても、年金額には反映されないのです。
 

 

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年金は保険である

「年金=老後」というイメージを持っている人は多いのではないでしょうか? 2018年の日本人の平均寿命は女性が87.32歳、男性が81.25歳で、ともに過去最高を更新しました。男性の4人に1人、女性の2人に1人が90歳まで長生きするといわれています。
 
年金は原則、65歳から老齢年金として受け取ると、終身受け取ることができます。言い換えると「長生きリスクに備える保険」といえるでしょう。また、万が一事故や病気で障害が残った場合や亡くなった場合に、要件を満たすことで受け取ることができる保障もついているのです。
 
仮に保険料納付期間を60歳満期と考えるなら、保険料として支払った分を65歳以上で、年金として終身で受け取ることができます。病気やけがなどで障害が残った場合や亡くなった場合には、保障として障害年金や遺族年金を受け取ることができます。
 

学生納付特例の申請日によっては保障が受けられない?

学生納付特例制度は原則として申請日にかかわらず、4月から翌年3月まで(申請日が1月から3月までの場合は、前年4月から3月まで)の期間を特例の対象として考えてくれます。また、申請日から過去2年1ヶ月前までの期間についても、さかのぼって申請できます。
 
しかし、保障として考えるとき、申請日前の期間については保障の対象外となり、万が一の障害年金や遺族年金は受けられないのです。
 

 

20歳になったら早めに申請を

20歳になると日本年金機構から「国民年金加入のお知らせ」が届きます。学生納付特例の申請についての案内も同封されています。
 
うっかり申請を忘れていたとしても、さかのぼって申請手続きができますが、申請日前の万が一の病気やけがには保障が受けられなくなってしまう危険性があります。申請日が1日違うだけでも長い人生が大きく変わってくるのです。人生100年時代の長生きリスクに備えるためにも、早めの申請をおすすめします。
 
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、三藤FP社会保険労務士事務所 代表、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士


 

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