更新日: 2020.05.30 その他
おうち時間で変わった買い物の仕方。気を付けたいことって?
当分は、自粛期間中と同様に、ネットショッピング、通信販売などの体面をしない方法で物品を購入する機会も多いはずです。
ネットショッピングや通信販売は、注文も簡単ですし、家まで届けてくれるというのは、今のこの時期にとっては安心です。今回は、簡単安全なお買い物に潜むリスクを考えてみましょう。
執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
クーリング・オフを使うべきかどうかはどう判断するの?
インターネットのホームページで、洋服を選んで購入したものの、自宅に届いてみると、「自分の思った色ではない。」という経験をした方もいるでしょう。こんなとき、すぐに思いつくのは、「クーリング・オフ」という制度でしょう。
ただ、クーリング・オフは万能な制度ではありません。また、「通信販売にクーリング・オフが適用されない」ことは、ぜひ覚えておいてください。では、クーリング・オフの制度をおさらいしておきましょう。
クーリング・オフというのは、契約の申し込みをした場合でも、その契約について再考する時間を与え、撤回をしたり、解除することができる制度です。
ただ、冒頭でも説明した通り、何でも撤回できるわけではありません。クーリング・オフできる取引と期間が決められています。主なものをご紹介しましょう。
ご覧のように、「通信販売に、クーリング・オフは適用されない」ということです。これらの販売は、いきなりの契約では、思いつきや勢いなどで契約してしまう可能性があるので、クーリング・オフすることで、いったん再考することに意味があるので、表のような取引が対象となります。
ですから、「クーリング・オフ制度の対象です」という書面を受け取った買い物が、クーリング・オフのできる買い物だといえます。
クーリング・オフはこう使う
では、質問です。「購入する際にクーリング・オフできないと言われたから、できないと思っていた」という意見は正しいのでしょうか?
もし、通販やネットショッピングで返品の可否や条件についての特約が記載されている場合には、記載通りに従う必要があります。口頭ではなく、その記載が必要になります。特約の記載がない場合には、商品を受け取った日を含めて8日以内であれば商品の返品費用を負担して返品できます。
クーリング・オフを適用すると、「必ず」書面で取引の相手に通知しなければなりません。はがきでも構いませんが、通知したことがちゃんと証明できるよう、特定記録、簡易書留など、出したことを確認できる方法で通知する方がいいでしょう。
普通にはがきで郵送しただけでは、「届いていない」と取引の相手方に言われて、再送する間に、クーリング・オフ期間が経過してしまうなどのリスクがあります。
期間の計算は、「契約日を含む」ことも大事なポイントです。例えば、訪問販売で布団を5月10日に購入した場合、期間は、「18日」でなく「17日」となります。
前段で規定されたような取引であれば、業者がわざわざ説明しなくても、クーリング・オフの対象ですし、取引の内容とクーリング・オフができるという書面を受け取っていないのであれば、そもそも8日などの期間に関係なく、クーリング・オフが可能です。
通信販売で気を付けるべきこと
利用者の多い「アマゾン」や「楽天」で購入した品物が気に入らなかった場合の記載例を見てみましょう。アマゾンの場合には、出荷準備開始前なら注文履歴から商品をキャンセルできます。
また、マーケットプレイス補償という制度がありますので、出品者にメールを送り、48時間経過後に補償を申請するという流れで、返金してもらうことが可能です。
楽天では、商品出荷前と出荷後のキャンセル方法についての制度がホームページ上に記載されており、「商品が届かない」「指定日に商品が届かなかった」「商品ページ上の商品説明と著しく異なる商品、欠陥品が届いた」「返品したが対応されない」など、トラブルに対応するための「楽天安心ショッピングサービス」というサービスが提供されています。
これらはいずれも、業者独自の制度です。通信販売やネットショッピングの場合には、チラシやホームページ上でしっかりと返品条件を確認しておかないと、全額補償ではなかったり、補償回数が上限だったり、申請期間があったりと、特有の条件があることに注意したいものです。
「直接見て、ゆっくりと買い物をしたい。」という気持ちは本当にわかります。ただ、新型コロナの感染が落ち着いてきたといいながら、第2波、第3波が警戒されている現状では、ウィンドウショッピングを楽しむという日常はまだまだ遠いでしょう。
買い物は、対面以外で自分に合うやり方を模索しつつ、「返品するとき」「商品が届かないとき」などのトラブルにも対処できるようしておくと、より安心に楽しむことができるでしょう。
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。