更新日: 2020.05.01 子育て
【不安解消】児童扶養手当を受給する際に必要な〈児童扶養手当証書〉ってなに?
今回は児童扶養手当に焦点を当て、その概要や受給までの流れなどについて説明します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com
目次
児童扶養手当とは?
児童扶養手当は、離婚による母子家庭など、父と生計を同じくしていない子どもが育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与し、子どもの福祉の増進を図ることを目的として支給される手当です。
母に限らず「母と生計を同じくしていない子どもを監護し、かつ、その子どもと生計を同じくしている父」(父子家庭の父)にも支給されます。
●支給対象者
18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童を監護する母、または監護し、かつ生計を同じくする父または祖父母など養育する者、が支給対象者です。ただし、子どもに障害がある場合は20歳未満が対象となります。
●支給要件
父母が婚姻を解消した児童、父または母が死亡した児童、父または母が一定程度の障害の状態にある児童、父または母の生死が明らかでない児童などに対して監護等を行っていることが支給要件です。
ただし、日本国内に住所を有しないとき、児童が父または母と生計を同じくするとき、母または父の配偶者(事実婚も含む)に養育されるとき、等は支給されませんので注意してください。
また、平成26年12月より、受給者等の年金額が手当額を下回る場合は、その差額分の手当を支給されることになっています。
●支給額
支給にあたっては、所得制限があります。具体的には以下のとおりです。
(所得制限限度額表:2019年4月時点)
ただし、受給資格者と生計を同じくする扶養義務者がいる場合で、その者の所得額が扶養親族等の数に応じた所得制限限度額以上の場合には、全部支給停止となることに注意が必要です。
そして具体的な支給額については以下のとおりとなっています(2020年4月時点)
●支給月
毎年1月、3月、5月、7月、9月、11月の年6回。
(例)2019年11月分および12月分:2020年1月に支給
2020年1月分および2月分:2020年3月に支給
児童扶養手当証書とは?
児童扶養手当が支給される資格があることを証明する書類で、市区町村が発行するものです。この証書を提出することで、さまざまな助成制度を利用できます。
●いつもらえるの?
自治体によって異なりますが、おおむね「申請してから2ヶ月程度」かかると思っていたほうがよいでしょう。申請から受給までの流れについては以下のとおりです。
1.居住している市町村の窓口にて面談を行い、現在の家庭の状況を説明し、受給対象かを確認する。
2.居住している市町村の窓口にて以下の書類を提出し、申請を行う。
必要書類(詳細については、必ずお住まいの市町村の窓口に事前に確認するようにしてください)
・申請者(保護者)と子どもの戸籍謄本の原本(発行から1ヶ月以内のもの)
・申請者(保護者)名義の預金通帳(振込先確認のために必要)
・印鑑(認印で可)
・申請者(保護者)と子どものマイナンバー確認書類(個人番号カード、通知カード、マイナンバーが記載されている住民票のいずれか)
・申請者(保護者)の本人確認書類(運転免許証、個人番号カード、パスポートなど)
3.審査開始
4.審査決定通知後、受給開始
●児童扶養手当証書があるとどんなことができるの?
各自治体が行っている支援制度を利用する際に必要となります。例えば「ひとり親家庭等医療費助成制度」や「義務教育期間の修学援助」などです。それぞれの制度概要について、以下に説明します。
●ひとり親家庭等医療費助成制度
18歳未満までの子どもが対象となる、医療機関で保険診療を受けた場合、負担が1割もしくは全額免除となる制度です。手続きは各市町村の窓口で行います。手続き後、証明する医療証が送られてきますので、それを受診する医療機関の窓口に提出することで自己負担額が軽減されます。
●義務教育期間の修学援助
小中学校へ毎月支払う費用(例えば給食費や学級費、修学旅行費など)を援助してくれる制度です。この申請も市町村の窓口にて行いますが、その際に児童扶養手当証書が必要となります。申請はいつでも可能で、1年ごとの更新となっています。
●児童扶養手当証書がなくても大丈夫?
上に挙げた制度の利用申請には、原則として児童扶養手当証書のコピーを添付することが必要ですが、提出できない場合は「所得証明書」をもって代わりとしてくれる自治体もあります。心配であれば、その都度市町村の窓口に確認するようにしましょう。
●他にも児童扶養手当証書で受けることができる援助制度はある?
自治体によっては私鉄の運賃の減免や、水道・下水道料金の減免などを受けることができます。証書をもらう際に、自治体にどのような制度が利用できるのかきちんと確認し、生活に必要なものであれば利用することをおすすめします。
Q&A
●児童扶養手当証書を紛失してしまった場合どうすればいい?
お住まいの市町村窓口にて再発行の手続きを行います。再発行には最低でも1ヶ月はかかると思ってください。
もし、その間に証書が必要な案件があるのであれば、代わりとなる「証明書」を発行してもらえます。こちらは即日もしくは翌日には発行してもらえますので、当面はそれを利用するとよいでしょう。
●住所を変更した場合どうすればいい?
住んでいた自治体に対する転出届、そして新しく住む自治体に転入届の手続きが必要になります。転出する場合は児童扶養手当証書と印鑑を持参して窓口に行き、転出届などの書類を提出します。
転入する場合は初回の申請と同様の手続きを行う必要がありますので、事前にどのような書類が必要なのか、転入先の市町村の窓口に確認するようにしましょう。
まとめ
児童扶養手当証書について、注意しなければならないことは「有効期限がある」ということです。毎年7月31日が有効期限となっており、それまでに現況届を提出し、審査の結果、資格を継続できることが確認されてから、新しい証書が7月の下旬に郵送されることになっています。
現況届は、8月1日における状況を記載し、児童扶養手当を引き続き受ける要件を満たしているかどうかを確認するものです。毎年7月末日頃に現況届の用紙が郵送されるので、8月末日までに必要書類を添えて提出してください。
提出しない場合、手当の支給が受けられなくなります。したがって、毎年送られてくる現況届をきちんと提出することを絶対に忘れないようにすることが大切です。
また、児童扶養手当の受給中に「児童が別れた父または母と生活をするようになった場合」や「児童が児童福祉施設に入所したとき」などにおいては、受給要件に当てはまらなくなりますので、速やかに資格喪失届を提出し、児童扶養手当証書については返却する必要があることも覚えておきましょう。
(参考)厚生労働省 Ⅳ経済的支援
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員