更新日: 2020.06.08 インタビュー

わかりやすい金融商品・サービスで、個人向けネット銀行のスタンダードをつくる! ソニー銀行の住本社長にインタビュー

わかりやすい金融商品・サービスで、個人向けネット銀行のスタンダードをつくる! ソニー銀行の住本社長にインタビュー

Interview Guest : 住本 雄一郎

Interview Guest

住本 雄一郎

住本 雄一郎(すみもと ゆういちろう)

京都大学を卒業後、ソニー株式会社に入社。88年、ソニー・プルコ生命保険株式会社(現・ソニー生命保険株式会社)入社。13年、同社取締役に就任。16年、ソニー銀行取締役。17年6月、ソニー銀行株式会社 代表取締役社長に就任。

わかりやすい金融商品・サービスで、個人向けネット銀行のスタンダードをつくる! ソニー銀行の住本社長にインタビュー
ソニーフィナンシャルホールディングスのグループ会社として、2001年6月に開業したソニー銀行。個人向けのネット銀行として知られる同社では、開業以来、「Be fair」という企業理念を掲げ、顧客に対する“わかりやすさ”を追求した、商品・サービスの提供を続けています。
 
2020年5月19日には、ソニーの株式公開買い付け(TOB)実施によって、完全子会社となることが発表されたソニーフィナンシャルホールディングスですが、今後、銀行事業を担う会社としてソニー銀行はどのようなサービスを展開していくのでしょうか。今回は同社の住本雄一郎社長にインタビューしました。

FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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「フェアである」という企業理念のもと、目指すのは「ためて」「ふやせて」「つかえる」ネット銀行

——最初に、ソニー銀行が提供するサービスについて簡単に教えてください。
ソニー銀行では個人のお客さまを対象に、「ためる」「ふやす」「つかう」という三本柱を軸に金融商品・サービスを展開しています。
 
円・外貨預金をはじめ、住宅ローン、投資信託、外国為替証拠金取引(FX)、投資型クラウドファンディングなど、ネット銀行ならではの魅力的な金利、低価格な手数料で提供しております。
 
——住宅ローンはお客さまから好評だと伺いしましたが、どのような特徴があるのでしょうか。
弊社ならではの特徴としてローンアドバイザーがお客さま一人ひとりにつき、電話やメールを通じて融資実行までサポートしています。
 
なぜこのようなことをしているのかと申しますと、住宅ローンというのは多くのお客さまにとって、初めて借りることになるかと思います。複雑な話になってくるとやはりネットだけでは限界がありますので、人を介したコミュニケーションが必要だと考えています。
 
この点につきましては個人のお客さまだけでなく、提携している不動産業者さまからも評価をいただけています。業者さんはマンション等の販売契約だけでなく、同時に住宅ローンのフォローもしなければなりません。弊社の場合、ローンアドバイザーがその負担を肩代わりできるのです。業者さまからも好評をいただき、2019年度は過去最高の実行金額となりました。
 
——ソニー銀行の外貨預金は、3メガ銀などに次ぐ規模と拝見していますが、この分野に注力している理由は何でしょうか。
弊社はネット銀行として開業しましたが、ネットの特性として、「リアルタイム」という点が挙げられます。一昔前は、外貨預金を売買しようとすると、取引レートが一日一回しか更新されていませんでした。
 
しかし世の中の相場というのは、リアルタイムに変動していきますので、お客さまにとってはリアルタイムで売買できたほうが良いわけです。
 
また弊社は開業以来、「フェアである」という企業理念を掲げています。これにはさまざまな意味がありますが、一つには、お客さまとのフェアな取引というのが挙げられます。市場レートと連動する取引レートを常時提示するためにも、リアルタイムである必要がありました。
 
外貨を持つことは、資産の多様化、運用という意味でもプラスになると考えます。またこれから生活がよりグローバル化していく中で、外貨を持っていると役立つシーンが増えていくと思います。
 
弊社の場合、日本円に変えなくても外貨預金をそのまま決済に使用できるので、海外旅行はもちろん、お子さまの留学や引退後の海外移住などを考えている方にもおすすめです。
 
——Sony Bank WALLETも、そのような流れで生まれたのですか?
はい。単に貯めるだけでなく、どう使うことができるのか、より多くの人に外貨を使ってもらうためにはどうしたらいのか、という考えがもとになっています。
 
Sony Bank WALLETは、日本円や米ドル、ユーロなどの11通貨に対応したVisaデビット付きキャッシュカードで、貯めた外貨を外貨のまま決済できるほか、海外のATMで現地通貨を引き出せるなど、海外旅行、海外出張の多い方にもよく利用されています。
 
日本円から外貨に両替することなく外貨預金口座からそのまま引き落とされるので、ショッピング手数料もかかりません。
 
もちろん国内でも利用可能で、国内ショッピングでは利用額の最大2%が毎月キャッシュバックされます。また、クレジットカードと異なりデビットカードは決済したその瞬間に口座から引き落とされます。専用のアプリがそのまま家計簿になるので、どんなものに、どれくらい使ったのか、家計管理をする際にも役立つと思います。

最新テクノロジーを取り入れ、よりお客さまのニーズに応えられるネット銀行に

——ソニーによる株式公開買い付け(TOB)の報道で、ソニーが持つ人工知能(AI)の技術と、ソニーフィナンシャルの金融ノウハウを融合と拝見しておりますが、今後の方向性、サービス展開などを教えていただけますでしょうか。
 
時代の流れからしても、フィンテックの流れは今後より加速していくと思います。不動産業界では、最近はコロナウイルスの影響でバーチャルでの住宅見学なども行われているようですが、弊社でも今後より最新のテクノロジーを取り入れたサービスを展開していくことができるようになると考えています。
 
ただすべてネットだけで完結させるのではなくて、そこにはやはり人を通したコミュニケーションも必要だと考えています。先ほど住宅ローンのところでもお話をしましたが、ネットだけだと難しいところもあるので、テクノロジーを取り入れながら、電話やメールなど人とのコミュニケーションを融合していくことが大切かなと思っています。
 
——今後、日本のフィンテックはどのように発展していくと考えますか?
すでにスマホで何でもできる時代になっていますが、今後はその流れがより加速し、“手のひらの中に銀行がある”というような時代になるのではないでしょうか。また最近はキャッシュレス決済が話題に上がることが多いですが、中国のようにすべてがQRコード決済になるかというと、そうではないと思います。
 
クレジットカードやデビットカード、Suicaなどの電子マネー、その他いろいろな決済手段が併存するのではないでしょうか。いずれにしろ今後、決済手段はさらに多様化していくと思いますが、どんな決済手段であっても対応できる銀行になっていかなければと考えています。

“お金について考える”ことは、“生き方について考える”こと

——老後の資金不足について、メディアで日々取り上げられているかと思います。この問題についてどうお考えですか。
 
お金は「ふやす」「ためる」ということばかりが着目されがちですが、本来は、どう使うのかという目的から考えるべきだと思います。お金の使い方を考えるというのは、そのまま、自分はどう生きるのかを考えることにもなります。
 
老後の必要資金については、一概には言えないと思いますので、一人ひとりが将来について考えることが大切です。そのような意味で言うなら、老後2000万円問題は将来について考える良いきっかけになったのではないかと思います。
 
——これからの社会の変化に対して、メディアの読者層である、30代、40代の働く人々が備えておくべきこと、やっておいたほうが良いことがあれば、ぜひメッセージをお願いします。
 
人生100年時代といわれておりますが、これまで以上に計画的に考える必要があります。常に将来のことを考えるというわけにもいきませんので、どこかでそのような機会を持つことが大切です。新型コロナウイルスによる自粛期間を、将来をじっくり考える時間として利用してみても良いのではないでしょうか。
 
また働くということに関して、弊社の新入社員にも毎年言っているのですが、仕事というのは楽しいことばかりではありません。ですがたとえ楽しくない仕事であっても、自分の考えようによってはいくらでも面白くすることができます。そんな風に考えて働いていただけると、良いのではないかと思います。

取材を終えて

銀行といえば貯蓄や資産運用のイメージがありましたが、「つかう」というプロセスにまで注力している点に興味を惹かれました。またネット銀行でありながらも、アドバイザーを通じたサポートに力を入れている点に、「フェアである」という企業理念の表れを感じます。
 
今後はよりソニーとの協業が期待されますが、どのような金融業界の未来を作っていくのか、ソニー銀行に注目です。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部


 

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