更新日: 2020.05.18 その他税金
残業が減って家計が危うい…。サラリーマンでもできる節税方法とは?
節税は何も自営業者やフリーランスだけの手法ではありません。今回は、サラリーマンでも実践できる節税方法をご紹介します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
サラリーマンでも節税はできる
節税と聞くと、自営業者やフリーランスなど一部の限られた人に関わることで、サラリーマンにはあまり関係のないものだと思われることがあります。しかし、実際にはそうではありません。
サラリーマンでも実践できる節税方法はいくつもあり、知っている人と知らない人との間で大きな差が生じているのです。ここでは、主な5つの節税方法をご紹介します。
(1)ふるさと納税
サラリーマンであれば絶対に行っておきたい節税対策の一つにふるさと納税があります。
ふるさと納税とは、任意の自治体に寄付をすることで、寄付金の合計額から2000円を控除した金額分について所得税と住民税が控除され、さらに返礼品としてお肉や野菜、その他生活に必要なものをもらえるという制度です(※1)。
つまり、税金が安くなって、そのうえお礼の品物までもらえるという制度です。ふるさと納税を行い、所得税・住民税から控除を受けるためには、原則として確定申告を行う必要があります。
なお、本来確定申告を行う必要がなかった給与所得者などについては、ふるさと納税を行う際にあらかじめ申請することで確定申告が不要になる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」があります(2015年4月から開始)。
ただし、この特例制度の適用を受けられるのは、ふるさと納税を行う自治体の数が5つ以内である場合に限られます。
(2)iDeCoに加入する
iDeCoとは、個人型の確定拠出年金です(※2)。iDeCoへ拠出した金額は全額所得控除となるため、将来への備えとしつつ、同時に節税することが可能です。
ただし、iDeCoは拠出額を増減できる反面、原則として一度始めてしまうと途中で停止することはできず、拠出した金額を引き出すこともできません。さらに、受け取りは60歳以降となるため、節税になるからと掛金を拠出しすぎてしまうと、生活に支障をきたすおそれもあります。
(3)NISAを始めてみる
NISAとは、少額投資非課税制度のことです(※3)。投資で得た利益には通常、約20%の税金がかかりますが、NISAによって得た利益に対しては最大5年間非課税となります。
iDeCoほど強力な節税効果はないものの、非課税の恩恵を受けつつ、いざというときは柔軟に現金化できるという点が魅力です。また、NISAには20年という長期にわたって定期的に積み立てていく「つみたてNISA」があり、この非課税期間は20年となります。
(4)医療費控除
自分や家族のために支出した医療費が年間で10万円を超えた場合(その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額を超えた場合)、その超える部分について所得から控除を受けることができます。
医療費控除は、風邪薬の購入費用から医師による診察費用まで幅広い医療費が対象になります。
ただし、健康診断の費用や自家用車での通院代などは医療費に含まれません。医療費控除を受けるには確定申告が必要になります。詳細については、最寄りの税務署にお問い合わせください(※4)。
(5)雑損控除
災害や盗難、横領などによって損害を受けた場合、一定の金額について所得控除を受けることができます。これを雑損控除といいます。直接的な損害だけでなく、例えば、災害によって滅失した住宅や家財の撤去費用などの関連支出費用も対象となります。
雑損控除は、最大で3年間繰り越すことができます。雑損控除を受けるには確定申告が必要になります。詳細については、最寄りの税務署にお問い合わせください(※5)。
サラリーマンこそ賢く節税を
サラリーマンも節税対策を実施することで、残業が減って収入減となってしまっても、ある程度カバーすることができます。
しかしながら、節税のためにあれこれ手を出してしまうと、かえって自由に使えるお金が減ってしまうことも想定されます。節税対策については充分に検討し、無理のない範囲で行うようにしてください。
[出典]
※1 総務省ふるさと納税ポータルサイト「よくわかる! ふるさと納税」
※2 iDeCo公式サイト「個人型確定拠出年金 iDeCo【公式】」
※3 金融庁「NISAとは?」
※4 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
※5 国税庁「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」
執筆者:柘植輝
行政書士