他人に聞きづらい遺族年金…。夫が亡くなったら、実際いくらもらえるの?

配信日: 2020.03.16

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他人に聞きづらい遺族年金…。夫が亡くなったら、実際いくらもらえるの?
もし夫に万が一のことがあったら生活できるのか、子どもを育てられるのか…不安になりますよね。「遺族年金」という言葉は聞いたことがあるけれど、実際いくらもらえるのか分からない、という方も多いと思います。
 
今回は夫を亡くした妻と子の場合の遺族年金の仕組みと、もらえる金額をケース別に解説します(金額はすべて2019年度のものを記載しています)。
松木優子

執筆者:松木優子(まつき ゆうこ)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士。フリーライター。

来店型保険ショップ元コンサルタント。首都圏郊外の地域密着店や、都市部の富裕層が多い店舗で、年間約150組のお客様のコンサルタントを担当。

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遺族年金の仕組みを確認!

遺族年金は、亡くなった夫に生計を維持されていた妻や子どもたちが生活に困らないために支給される年金です。
 
夫が国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか、また、18歳未満の子どもが何人いるかなどによって、支給額は変わります。支給を受けるには、夫が次の年金加入要件を満たしている必要があります。
 
・国民年金に25年以上加入していた。
・もしくは保険料納付済期間が、それまでの加入期間の3分の2以上ある。
・65歳未満で亡くなった場合は、亡くなった月の前々月までの1年間に保険料滞納がない(2026年4月1日までの措置)。

 
では実際にいくらもらえるのか、ケース別に見てみましょう。

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ケース1:夫が自営業などで国民年金に加入していた

国民年金保険から「遺族基礎年金」が支給されます。

《18歳未満の子どもが1人いる》

遺族基礎年金78万100円+子の加算22万4500円=年間合計100万4600円支給。
 
子どもが2人なら子の加算がさらに22万4500円加わり、年間合計122万9100円、子ども3人目以降は、1人あたり7万4800円が加算されていきます。子どもが18歳に達した年の年度末、つまり高校卒業をもって子の加算はなくなります(1級・2級の障害状態にある子どもは20歳未満までとなります)。

《18歳未満の子どもはいない》

夫が亡くなったときに妻が65歳未満の場合、支給はありません。子どもが全員18歳以上になった方も、子の加算がなくなると同時に78万100円の支給はなくなります。65歳以上であれば、自身の老齢基礎年金として78万100円が支給されます。
 


公益財団法人 生命保険文化センター「遺族年金の受給と年金額のめやす」より筆者が作成

ケース2:夫が会社員で厚生年金に加入していた

遺族年金も、老後に支給される「老齢基礎年金」と同じく、2階建ての構造になります。国民年金保険から「遺族基礎年金」が、厚生年金保険から「遺族厚生年金」がそれぞれ支給されます。

《18歳未満の子どもが1人いる》

遺族基礎年金として78万100円+子の加算22万4500円=年間合計100万4600円支給。
 
さらに遺族厚生年金として、亡くなるまでの平均年収に応じた金額が支給されます。例えば入社から死亡するまでの平均年収が350万円の場合、遺族厚生年金は約36万円となりますので、遺族基礎年金100万4600円+遺族厚生年金約36万円=年間合計約136万4600円が支給されます。
 
子どもが全員18歳となる年度末に到達、または1級・2級の障害状態にある子どもが20歳になった場合、遺族基礎年金の支給はなくなります。このときに妻が40歳以上であれば、遺族厚生年金に加え「中高齢寡婦加算」58万5100円が支給されます。
 


公益財団法人 生命保険文化センター「遺族保障ガイド」より筆者が作成

《18歳未満の子どもはいない》

遺族基礎年金はありませんが、遺族厚生年金は支給されます。例えば、先ほどと同様に夫の平均年収が350万円だった場合、約36万円となります。また、妻の年齢によって金額や支給期間が変わります。
 
・妻が30歳~39歳
遺族厚生年金のみ支給される。ただし妻が30歳未満の場合は、夫が亡くなった後5年間のみ支給される。
・妻が40歳~64歳
遺族厚生年金に加え「中高齢寡婦加算」58万5100円が支給される。
・妻が65歳以上
遺族厚生年金、自身の老齢基礎年金、中高齢寡婦加算に代わり「経過的寡婦加算」が支給される。
 
※経過的寡婦加算は昭和31年4月1日以前生まれの妻に支給されます。金額は、妻の年齢により0円から58万5100円の間で変動します。
 


公益財団法人 生命保険文化センター「遺族保障ガイド」より筆者が作成

こんなとき、遺族年金は支給される?

《離婚した元夫が亡くなったが、18歳未満の子どもがいる場合》

元妻に遺族年金は支給されません。しかし、元夫が亡くなった時点で、子どもへの養育費をもらっているなど、子どもが元夫に生計を維持されている状態であれば、子どもに遺族年金が支給されます。この場合、元夫が再婚していても支給されます。

《夫が亡くなった後に妻が再婚した場合》

遺族基礎年金、遺族厚生年金とも支給停止となります。妻が再婚する時点で18歳未満の子どもがいる場合も、支給停止になります。なお、再婚した妻が子どもと生計を一にする場合でも、子どもには遺族厚生年金が支給されます。
 
夫が亡くなったら……ということはあまり考えたくないものですが、万が一のときに慌てないためにも、いくら支給されるのか、一度見直してみてはいかがでしょうか。
 
[出典]
生命保険文化センター「公的な遺族年金の仕組みについて知りたい」
生命保険文化センター「遺族保障ガイド」(10ページ目)遺族厚生年金額の計算
日本年金機構「遺族年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」
 
執筆者:松木優子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。フリーライター。
 
監修:FINANCIAL FIELD編集部


 

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