更新日: 2019.09.22 その他年金

【FP解説】障害年金の疑問解決! 障害者特例に肩代わりしてもらう

【FP解説】障害年金の疑問解決! 障害者特例に肩代わりしてもらう
障害年金の請求を決めたものの、とっかかりとなる初診日の証明などで困っている場合に役立つ「初診日問題解決法シリーズ」。
 
第6回は「障害者特例に肩代わりしてもらう」です。
 
和田隆

執筆者:和田隆(わだ たかし)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。

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障害年金ではなく、老齢年金に属する制度

障害者特例の正式名称は「特別支給の老齢厚生年金の特例」です。名称からもわかるように、障害年金ではなく老齢年金に属します。
 
「特別支給の老齢厚生年金」は、厚生年金の加入歴があり、一定の年齢に達した人が受給できるもので、通常は報酬比例部分だけが支給されます。
 
ところが、この特例の場合は、障害等級3級以上に該当する程度の障害状態にある人には、図のように定額部分も支給されるのです。
 
定額部分の支給額は、受給者の厚生年金加入期間によって異なりますが、通常の「特別支給の老齢厚生年金」より金額的に手厚くなるのは間違いありません。
 

 

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初診日の加入要件や納付要件を問われない

障害者特例がありがたいのは、障害年金と違って、傷病の初診日の加入要件や納付要件を問われないことです。
 
さらに、初診日が厚生年金に加入中でなくても、報酬比例部分と定額部分が支給されます。このため、場合によっては、障害年金と比べてほとんど遜色のない金額の年金が受給できることがあります。つまり、障害年金の肩代わりになりうるのです。
 

受給額は、障害年金の2級とほとんど変わらなかった

実例を挙げて説明します。私の経験です。ある60代前半のがん患者の方の障害年金請求を手伝いました。請求者は、厚生年金の被保険者期間と国民年金の被保険者期間を持っており、すでに「特別支給の老齢厚生年金」を受給中でした。
 
がんの初診日は、国民年金の被保険者期間中でした。請求結果は、障害等級3級相当と判断され、障害年金は不支給でした。
 
しかし、並行して、障害者特例の請求もしていましたので、「特別支給の老齢厚生年金」の定額部分も支給されるようになったのです。受給額は、2級の障害基礎年金を受給するのと、ほとんど変わりませんでした。「肩代わり」は、ほぼ成功でした。
 

請求するには、さまざまな条件がある

このように大変ありがたい制度ですが、請求には、障害等級3級以上に該当する程度の障害状態にあること以外に、次の条件もあります。(いずれも厚生年金の場合。共済年金の場合は少し異なりますので、各共済年金にお問い合わせください。)
 
・請求時は、厚生年金の被保険者ではないこと。
・厚生年金の被保険者期間が1年間以上あること。
・「特別支給の老齢厚生年金」の受給権があること。(65歳未満で、男性は昭和36年4月1日以前生まれ、女性は昭和41年4月1日以前生まれ)
 

障害年金より有利な点もある

障害者特例は、障害年金と異なる、次のような利点もあります。
 
・更新がないので、診断書を何回も提出する必要がない。
・傷病の原因が労働者災害や第三者行為の場合でも、支給調整がない。
  
障害者特例は、全ての人に該当する制度ではありませんが、覚えておくと、ご家族や友人の役に立つかもしれません。
 
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士


 

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