更新日: 2019.09.02 その他年金
「年金頼みの暮らしに増税はきつい」老齢・障害・遺族年金の受給者への給付金とは?
一方で、総務省の2018年家計調査によると、高齢無職世帯(夫65歳以上・妻60歳以上)の1ヶ月の支出は夫婦で約23.5万円、高齢単身無職世帯は15万円弱となっています。
消費税が増税されることによって、単純に2%の支出が上乗せされると仮定すると、それぞれ4,700円、3,000円が増えることになり家計が圧迫されることが想定されます。実際には、飲食料品や新聞の軽減税率制度などがあり、単純に2%増えるわけではありませんが、支出が増えるのは間違いありません。
この増税による支出の増加に、年金だけに頼っている人たちは耐えられるのでしょうか?今回は、年金額が低い方や、年金に他の所得を加算した額が低い方で経済的な援助を必要としている方々に対し、年金に上乗せして給付を受けられる制度がありますので、その制度について紹介します。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
高齢者への給付金の制度
■老齢年金生活者支援給付金
1)支給要件
65歳以上の老齢基礎年金をもらっている人で、前年の公的年金等の収入額とその他の所得(給与所得や利子所得など)との合計が、老齢基礎年金満額相当(約78万円)であることが必要です。かつ、同一世帯の全員が市町村民税非課税であることが条件になります。対象者は、約610万人となっています。
2)給付額
月額の給付金額は、月額5000円を基本にして、保険料の納付済み期間に応じて変わる仕組みになっています。未納付期間があれば、その分減額になります。また、保険料免除期間がある人は、その分を上乗せして給付を受けることができます。
■補足的老齢年金生活者支援給付金
1)支給要件
老齢年金生活者支援給付金の支給要件のうち、前年の公的年金等の収入額とその他の所得(給与所得や利子所得など)との合計が、老齢基礎年金満額相当(約78万円)を超えたとしても約88万円までは補助的な給付金を受け取ることができます。対象者は、約160万人となっています。
2)給付額
所得の増加に応じて逓減します。老齢年金生活者支給金を受給する人と所得合計が逆転しない金額となります。具体的には、所得に応じて、最大月額5000円未満となります。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
障害者や遺族への給付金の制度
1)支給要件
障害者基礎年金または、遺族基礎年金受給者で、前年の所得が462万1000円以下であることなどの条件があります。対象者は、約200万人となっています。
2)給付額
障害等級2級の人とその遺族の人たちは、月額約5000円、障害者等級1級の人は、月額約6250円が年金に上乗せされて支給されます。それぞれの支給額は、物価変動に応じて毎年度見直しがされます。
施行日および手続き
上記年金生活者支援給付金の施行日は、令和1年10月1日です。つまり、消費税率が8%から10%へ引き上げられた日から施行される予定です。
ただし、10月施行のため、手続き後、初回の支払いは、10月・11月分を12月に初回支払い分として支給されることになりますので、増税のタイミングから2ヶ月遅れで支給されることになります。
条件を満たすとみられる人には、日本年金機構から支給手続きに必要な書類が届くので、必要な手続きをする必要があります。また、手続きの方法が分からない人や自分も対象者になるか疑問を持っている人は、お近くの年金事務所に問い合わせてみてください。
出典
厚生労働省年金局 日本年金機構「年金生活者支援給付金の施行に向けた対応」 平成31年2月
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー