「前の会社の確定拠出年金を放置したままなのですが…」そんな人の確定拠出年金はどうなる?どうすればいい?
配信日: 2018.11.30 更新日: 2019.09.02
厚生労働省の調べによると2018年1月時点で、確定拠出年金企業型の加入者は650万人約3万社あります。
しかし、転職先に確定拠出年金企業型がない会社もまだまだ多く、忘れてしまう方も多いかもしれません。
また、転職の際に、引っ越し・結婚・離婚などのライフイベントが重なっていると、なおさら移管手続きのプライオリティが下がってしまうことでしょう。
そんな場合は、ひと段落すると「確定拠出年金は何処へ」と心配になってしまいますね。
ところで、ほっぽらかしにした確定拠出年金企業型(確定拠出年金)の行方はどうなっているのでしょう。
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執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
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企業型の運営管理機関(金融機関)・商品ラインナップは会社が決める
確定拠出年金の『個人型』(iDeCo)は、どこの運用管理機関(金融機関)で加入するのかは個人で決めることができますが、会社が加入している『企業型』は、会社によって加入している運用管理機関(金融機関)が違います。
また、同じ運用管理機関でも、扱っている商品ラインナップは各企業が選択できることになっているのです。
<Aパターン>
前職:株式会社〇〇社ではAB銀行が運用管理機関
↓
転職:株式会社△△社ではCD銀行が運用管理機関
※商品ラインナップは全て違う
<Bパターン>
前職:㈱〇〇社ではAB銀行が運用管理機関
↓
転職:㈱△△社でもAB銀行が運用管理機関
※同じ銀行なのに一部商品ラインナップが違う
上記の様なことが稀にあります。
どちらの場合においても会社が変更になった場合には、前の会社で加入していた確定拠出年金は「現金化」して「移換」(現金の移動)をします。
なぜならば、会社毎に「年金規約」が違うので別物扱いになるのです。
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新しい会社には企業型はナシor個人事業主になった
転職後、新しい会社に確定拠出年金企業型がない場合、または個人事業主として開業する場合もあるかと思います。
その時は、個人型iDeCoへ加入しましょう。
このケースも前職の会社の確定拠出年金を現金化して「移換」します。
企業型から個人型iDeCoに変更した場合は下記の様なメリット・デメリットもあります。
<個人型メリット>
・自分の好きな運用管理機関を選べる
<個人型デメリット>
・口座管理料が自分持ち(企業型は会社負担の所が多数)
・加入年齢が60歳一律(企業型は各企業規約が定める60歳~65歳の間)
色々な考え方があって良いと思いますが、「自分の好きな運用管理機関が選べる」のは、最大のメリットだと個人的には思います。
また、現在閣議では、加入年齢の引上げが議論されているようですから、近い将来iDeCoも65歳まで加入可能になる可能性はありますね。
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ほっぽらかしにした確定拠出年金は消えてしまうのか?
企業型→個人型に変更した際、自分の確定拠出年金に気を使ってくれる人は少なく、ついつい移換手続きを忘れてしまう方も多いようです。
その時はどうなるのでしょうか!? 前の会社の運用管理機関(金融機関)の口座にあるのでしょうか!?
答えは・・
■特定運営管理機関が管理する
確定拠出年金法第83条に基づき、確定拠出年金企業型に加入していた方が、資格を喪失した日(退職した日の翌日)の属する月の翌月から起算して6ケ月以内に「移換」の手続きを行わなかった場合には、資産は国民年金基金連合会に「自動移換」され、手続きが完了するまでの間そちらで管理されます。
■自動移換のデメリット
自動移換されてしまうと次のデメリットがあります。
(1)無利息の現金の状態で管理され「運用の指図」ができない。
(2)運用指図はできないのに「管理手数料」は差し引かれる。
(3)自動移換期間中は老齢給付金(確定拠出年金)を受けるための「加入者期間」(※1)に算入されないため、受給開始の時期が遅くなる可能性がある。
※1=確定拠出年金の受け取り開始時期は加入期間によって異なる
■自動移換された場合の手数料
下記の手数料が自動移換された資産から負担されます。
(資産0円の方のご負担はなし)
折角拠出&資産運用した資産が目減りしてしまうのは勿体ないですから、転職や働き方が変更した場合は気をつけて下さい。
なお現在、国民年金基金連合会では「自動移換者減少に向けた取り組み」として、企業型確定拠出年金の資格喪失後6ケ月以内に新たにiDeCoまたは加入者になったことが確認できた方や、自動移換の状態で新たにiDeCoになったことが確認できた方は、移換の申し出をすることなく、企業型確定拠出年金や特定運営管理機関からiDeCoへの移換処理が行われるようになったそうです。
また、企業型への移換の場合も「基本情報」が完全に一致する口座を保有していることが確認された場合は同様になったようです。
Text:寺門 美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー