
でも、いつか70代、80代になって夫が先に亡くなり、自分で「お金」の管理をしなければならない日が来るかもしれません。だとしたら、黙って任せるだけなく、密かにその日のための準備を始めておきたいものです。

執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)
CFP(R)認定者
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。
夫が50歳以上のサラリーマンなら遺族年金の計算ができる
サラリーマンの夫と専業主婦、夫婦二人の老後収入は夫の公的年金に支えられる部分が大きく、妻の年金は老齢基礎年金と年に数万円の老齢厚生年金というケースが多いようです。
妻一人になったとき、妻だけの年金では同じレベルの生活を続けていけないかもしれません。でも、サラリーマンであった夫が亡くなった後、妻は遺族厚生年金を受け取ることができます。その金額は、夫が50歳以降のサラリーマンなら、「ねんきん定期便」から計算ができるのです。
年金定期便は、毎年誕生月に送られてきますが、50歳以上の年金定期便には、これまでの年金加入実績に基づいて、このまま60歳まで加入した場合に65歳以降受け取れる年金の見込額が記載されているので、これを利用します。
計算してみましょう
夫婦それぞれの「ねんきん定期便」を用意しましょう。右下に65歳以降の老齢厚生年金の見込額が記載されています。夫の報酬比例部分はいくらになっているでしょうか。
もし、一般厚生年金、公務員厚生年金、私学共済厚生年金で複数の記載がある場合は合計してください。この報酬比例部分の金額に3/4をかけた数字が遺族厚生年金の見込額です。
妻は夫の遺族厚生年金に加えて、自分の老齢基礎年金(妻が40歳から64歳までは中高齢の加算額584,500円)を受け取ることになります。妻も50歳以上なら「ねんきん定期便」に老齢基礎年金の見込額が記載されています。
もし、まだ50歳になっていない妻なら、国民年金に40年加入した人の老齢基礎年金が約78万円ですから、自分の加入実績と照らし合わせ予想してみてください。
また、妻の老齢厚生年金がある場合、夫の死後も受け取ることができますが、同じ金額が遺族厚生年金の支給額から差し引かれます。そのため、今回は妻の老齢厚生年金額を計算に入れません。
では、例を挙げて計算してみましょう
夫Aさん(52歳) 65歳からの老齢厚生年金の見込額:100万円
妻Bさん(50歳) 65歳からの老齢基礎年金の見込額:69万円
(計算)
100万円 × 3/4 = 75万円 ……… 遺族厚生年金の金額
75万円 + 69万円 = 144万円 …… 妻が受け取る遺族年金の金額(年額)
144万円 ÷ 12か月 = 12万円 …… 妻が受け取る遺族年金の金額(月額)
この例では、老後に夫Aさんが亡くなった後、妻Bさんは年額で144万円ですから、2カ月ごとに24万円の遺族年金を受け取ることができます。
もちろん、これは見込額ですから、夫の勤め先によってはこの他にも、独自の年金制度がある場合があるでしょうし、60歳以降も夫が働き続ければ年金額は増えます。逆に60歳前に退職した場合などは、年金額がこれより少なくなります。
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老後資金は遺族年金だけではないけれど
あなたの遺族年金は、思っていたより多かったですか。それとも、これでは生活できないと思ったでしょうか。計算した見込額をベースに、老後資金を考えてみましょう。
できれば、妻自身の貯蓄を少しでも多く残しておくと安心ですね。なお、夫が自営業で、厚生年金に加入したことがない場合は、原則として遺族年金を受け取ることができないので、別の老後資金対策をしっかり考えることが重要です。
「お金」のことは夫任せになりがちの専業主婦ですが、女の人生は長いのです。長いスパンでものを考えていかなければなりません。自分の老後は自分でデザインしていきましょう。遺族年金の計算をきっかけとして、自分の老後資金を考えてみませんか。
Text:蟹山 淳子(かにやま・じゅんこ)
CFP(R)認定者、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、蟹山FPオフィス代表