更新日: 2023.03.15 その他年金
年金は「手続きをして受給開始」だから、放置しておいても自動的に繰下げ受給になる?
そこで本記事では、請求手続きを放置すれば自動的に繰下げ受給になるのか、75歳以降も放置するとどうなるのか、といった疑問にお答えします。また、繰下げ受給の開始方法や取りやめるときのルールもまとめました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
目次
老齢年金の請求手続きをしなければ自動的に「繰下げ待機」の状態になる
65歳に到達する3ヶ月前になると、老齢年金の受け取り手続きに必要な「年金請求書」が届きます。通常どおり65歳から年金を受給したい場合は、受給開始年齢の誕生日の前日以降に年金請求書と必要書類を年金事務所に提出すると、年金の支給が始まります。
繰下げ受給を選択する人は、年金請求書を提出する必要はありません。「○歳から繰下げ受給をしたい」といった事前申告も不要です。何も手続きをせずに放置すると、自動的に繰下げ受給の開始を待つ「繰下げ待機」の状態になります。
その後、繰下げ受給を開始したいときに「支給繰下げ申出書」を提出することで、繰下げられた額での受給が開始されます。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
老齢基礎年金・老齢厚生年金の片方だけ繰下げたいときは手続きが必要
繰下げ受給を希望する場合、一般的には65歳時点での手続きは必要ありません。しかし、老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらか一方だけを繰下げて受け取りたい場合は例外です。
老齢基礎年金・老齢厚生年金の片方のみ繰下げ受給を希望する場合は、年金請求書に記載のある「老齢基礎年金のみ繰下げ希望」「老齢厚生年金のみ繰下げ希望」の当てはまるほうに丸を付けて、年金事務所に提出しましょう。
待機をやめて年金を繰下げ受給する方法
繰下げ待機をやめて繰下げ受給を開始したいときは、受給開始を希望する時期に「繰下げ請求書 」と「支給繰下げ申出書」を年金事務所もしくは街角の年金相談センターに提出しましょう。
提出したタイミングに応じて次の式にもとづいて増額率が決まり、増額分を加算した年金の支給がスタートします。
増額率(最大84%)=0.7%×65歳の誕生日前日を含む月から繰下げ申請の前月までの月数
75歳を過ぎても繰下げ受給しないで放置するとどうなる?
繰下げ待機の状態のまま75歳を過ぎても、請求をするまでは年金の支給は始まりません。75歳を過ぎてから繰下げ受給の請求をした場合、請求時期ごとに以下の方法で算定した年金が支給されます。
■75~79歳に請求
75歳の誕生日前日を含む月の翌月から繰下げ請求をした月までの繰下げ受給額(75歳時点の増額率で計算した額)が一括で支払われます。また、請求翌月からは同様の増額率による年金が支給されます。
■80歳以降に請求
過去5年分の繰下げ受給額(75歳時点の増額率で計算した額)が一括で支払われます。5年以上前の分は時効となり受け取れません。請求翌月からは同様の増額率による年金が支給されます。
繰下げ受給は取りやめができる
待機中に繰下げ受給を取りやめて、65歳からの本来額の年金を請求する「本来受給」の選択も可能です。本来受給を選択した場合、請求時期に応じて以下の2つの方法で年金額が算定されます。
■66~69歳に請求
65歳に達した翌月から請求した月までの本来額の老齢年金が一括で支給され、請求の翌月以降は本来の年金額が支給される。
■70~79歳に請求
請求時点の5年前に繰下げの申出があったとみなし、5年前の翌月から請求をした月までの繰下げ受給額(5年前時点で計算した増額率にもとづく年金額)が一括で支給されます。また、請求の翌月以降も同様の増額率による年金が支給されます。
これは、繰下げ受給の上限年齢が75歳に引き上げられたことにともない、「繰下げ申出みなし制度」として2023年4月1日より施行された新ルールです。
■80歳以降で請求
65歳にさかのぼった本来の年金額が、過去5年分一括で支払われます。5年以上前の分は時効となり受け取れません。翌月以降は本来の年金額が支給されます。「繰下げ申出みなし制度」は70~79歳のみの制度のため、80歳以降の請求では適用されません。
繰下げ待機は自動的に始まるが、繰下げ受給は手続きが必要
65歳で老齢年金を請求する手続きを取らないでいると、自動的に「繰下げ待機」の状態になります。繰下げ受給をスタートするには、受給を開始したいタイミングで「繰下げ請求書」と「支給繰下げ申出書」を年金事務所に提出しなければなりません。
繰下げ請求をしないまま75歳を過ぎても、請求をするまでは待機が続きます。そのまま80歳を過ぎると、5年が経過した年金は時効で繰下げ受給できなくなるため注意しましょう。
なお、繰下げ待機中に事情が変わった場合は、繰下げ受給を取りやめて本来額の年金を請求できます。本来額の請求する年齢によって年金額の算定方法が異なるため、よく確認して手続きしましょう。
出典
日本年金機構 老齢年金の請求手続き
日本年金機構 66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 65歳時の年金の手続き(特別支給の老齢厚生年金を受給している方)
厚生労働省 年金制度の仕組みと考え方_第11_老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部