更新日: 2020.02.27 その他年金

知らない間に時効になってしまうことも?障害年金の請求手続き方法

執筆者 : 三藤桂子

知らない間に時効になってしまうことも?障害年金の請求手続き方法
年金は受け取ることができる要件を満たすと、自動的にもらえると思い込んでいる人が多いのではないでしょうか? 年金は自分で請求手続きをしなければ、受け取ることができません。
 
今回は障害年金についてお伝えします。前回の【老齢年金】と違うのは、病気やケガで障害にならない限り、障害年金の請求をすることはありません。ですから、日本年金機構から通知が届くこともありません。障害年金は一定の障害の状態になったとき、自分で請求しなければ、年金を受け取ることができないのです。
 
老齢年金と同様に、受け取ることができる要件を満たしていても、何も手続きしないで5年を過ぎてしまうと、時効で受け取ることができなくなってしまいます。
 

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三藤桂子

執筆者:三藤桂子(みふじけいこ)

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、三藤FP社会保険労務士事務所 代表、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルマザーとあらゆる立場を経験。会社員の時、年金の仕組みに興味を持ち、仕事で役立つことがないかと社会保険の勉強をはじめ、出会った方のご縁もあり、開業。
社会保険労務士とFP(ファイナンシャルプランナー)という二刀流で活動することで、会社側と社員(個人)側、お互いの立場・主張を理解し、一方通行的なアドバイスにならないよう、“社員に好かれる会社”、“社員に寄り添う会社”の実現を目指す。
年金の知識を強みに、会社の顧問、セミナー、個別相談などを行う。

https://fp-keiko.com/

障害年金とは?

病気やケガで一定の障害が残り、生活や仕事などが制限されるようになった場合に障害年金を受け取ることができます。
 
病気やケガで、はじめて医師または歯科医師の診療を受けた日を「初診日」といいます。初診日から1年6ヶ月過ぎた日、または1年6ヶ月以内にその病気やケガが治った日(症状が固定した日)、その日を「障害認定日」といいます。障害認定日に一定の障害の状態に該当していることが必要です。
 
初診日に自営業者など、国民年金の加入者であれば、「障害基礎年金」が、会社員や公務員が加入する厚生年金保険の加入者であれば、「障害厚生年金」を受け取ることができます。「障害基礎年金」は障害等級1級または2級、「障害厚生年金」は障害等級1級から3級まであります。

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障害年金の請求に必要な要件

障害年金の請求には次のいずれか一定の期間、保険料を納めていないと受け取ることができません(20歳前障害を除く)。これを保険料納付要件といいます。
 
【原則】初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの加入期間のうち、保険料納付済期間(免除・猶予期間も含む)が3分の2以上あること。
 


 
【特例】初診日において65歳未満であって、初診日の前々月までの1年間に未納期間がないこと(令和8年3月まで)。
 

 
初診日要件と保険料納付要件を満たすことで、65歳の誕生日の前々日まで請求できます。

障害年金の請求方法

障害年金の請求方法は次の5つです。
 
・障害認定日請求
・遡及請求
・20歳前障害
・事後重症による請求
・併合(加重)認定

 
今回は「障害認定日請求」「遡及請求」「20歳前障害」の3つについてお伝えします。

障害認定日請求

初診日から原則1年6ヶ月過ぎた日の障害認定日から3ヶ月以内の診断書を取得し、障害認定日から1年以内に診断書を添付して請求します。障害認定日請求は障害年金の一般的な請求方法となります。
 


 

遡及請求

何らかの事情により、障害認定日に請求しないまま、1年以上過ぎてしまったときは、遡及請求となります。障害認定日から3ヶ月以内の診断書と、請求日以前3ヶ月以内の診断書の2通が必要です。遡及請求は、障害認定日にさかのぼって障害認定を受けることです。
 
しかし遡及請求により、障害認定日にさかのぼって年金の受け取る権利(受給権)が発生しても、時効により、さかのぼって受け取る年金は5年分までです。
 


 
遡及請求する人の多くは「年金がもらえるとは思わなかった」「誰に相談すれば良いのか分からなかった」といわれます。時間がたってから、「もしかしたら……」と、ご相談されるケースです。

20歳前障害

初診日において20歳未満である人が、20歳の誕生日の前日において障害等級(1級または2級)に該当しているとき、障害基礎年金が支給されます。障害認定日が20歳以降のときは、障害認定日において障害等級(1級または2級)であれば障害基礎年金を受け取ることができます。
 


 
20前障害は、国民年金の加入前です。例えば、20歳前の学生が病気をし、その後障害が残ったとき、原則的には障害基礎年金を受け取ることができません。しかし国民年金では障害基礎年金を支給します。福祉的な年金といえます。
 
本人の前年の所得が一定額を超えると、障害基礎年金の半額または全額が支給停止になります。また、本人が日本国内に住所がないときや、刑事施設等に拘禁・収容されている間は、全額支給停止です。20歳前でも働いて厚生年金保険に加入していた場合は、障害厚生年金を受け取ることができます。

請求するときに必要な書類

障害年金は請求するときに必要となる書類がたくさんあります。
 
・年金請求書(国民年金・厚生年金保険障害給付)
・診断書
・病歴・就労状況等申立書
・受診状況等証明書(初診日が診断書の病院と違う場合など)
・年金手帳、印鑑、預金通帳(本人名義)
・住民票、戸籍謄本、所得証明書
・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳

 
他にも、配偶者や子どもがいるなど、ご家庭の状況に応じて、必要な書類が違ってきます。
 

まとめ:分からないときは相談しましょう

老齢年金と違って、年金請求書や申請のお知らせが届くことはありません。特に病気やケガなどで、身体的、精神的に弱っている人にとっては、これからの生活や仕事のことを考えながら、途方に暮れてしまうこともあるでしょう。また申請の仕方が複雑で、途中で諦めてしまう人もいます。
 
分からないときは、お近くの年金事務所や行政機関の無料相談を利用するのも良いでしょう。または、年金に詳しい社会保険労務士に相談してみてください。
 
※2020/02/27 タイトルを一部修正させていただきました
 
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、三藤FP社会保険労務士事務所 代表、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士