更新日: 2019.07.04 その他年金

〈個人事業主の年金〉 ②個人事業主の老後資金の作り方は?

執筆者 : 黒澤佳子

〈個人事業主の年金〉 ②個人事業主の老後資金の作り方は?
前回は、会社員と比べて、個人事業主の公的年金がいかに少ないか、定年がないとはいえ、いつまで働かなければならないのかなどを考えました。
 
今回は、社会保障制度が整っている日本で暮らしながらも、老後のお金に不安を感じてしまう個人事業主が、安心できるような老後資金の作り方を考えます。
 
公的年金だけに頼らず、自分でなんとかしないといけない!という思いはあっても、何をすればいいのかわからない。答えは一つとは限らないので、ますます悩ましいのです。
 

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黒澤佳子

執筆者:黒澤佳子(くろさわよしこ)

CFP(R)認定者、中小企業診断士

システム監査技術者、不正検査士(CFE)
アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
毎日小学生と高校生の子育てに七転八倒しながら、明日の子供たちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性が自分らしく希望を持って生きられるよう、女性起業家支援を中心に経営サポートを行っている。
大学では会計、マーケティング、経営、経済等のビジネスの基本科目の講義を担当。
https://www.atharmony-office.jp/

個人事業主の年金制度は意外に複雑?

個人事業主が加入するのは国民年金ですが、それだけでは年金受取額は年779,300円(平成29年4月時点の満額)です。
 
月6.5万円、夫婦2人合わせても月13万円程度で、老後の安定した生活を送るための目標額(①で約28万円と想定)に到底届きません。
 
では、他に加入できる制度はないのでしょうか?
 
国民年金に上乗せする制度としては、付加年金、国民年金基金があります。退職金代わりの制度としては小規模企業共済、運用は自己責任ですが確定拠出年金があります。年金制度とは異なりますが、節税のメリットを得るなら経営セーフティ共済もあります。

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・借り入れせずに資金を調達できます

割のいい付加年金、しかし、まだ足りない……?

まず、国民年金の付加年金は、国民年金の保険料に月額400円を上乗せすることで、受け取り時に年額200円×納付月数がプラスされます。国民年金に40年加入した方で、年金受取開始後2年で元が取れる制度となっていますが、金額的にはまだまだ小さいです。
 
400円×12か月×40年=192,000円
200円×12か月×40年=96,000円
192,000円÷96,000円=2年
 

国民年金基金は、まさに会社員との差を埋める制度?

国民年金基金は、「会社員等の方との年金額の差を解消するために創設された公的な年金制度」(国民年金基金連合会Webページより)とあります。
 
掛金は一定で、選択した給付の型、加入口数、加入時の年齢、性別によって決まります。月額上限は68,000円で、全額所得控除の対象となります。
 
給付は、老齢年金と遺族一時金があり、老齢年金の給付の型は終身年金と確定年金があります。ただし障害給付などはなく、受取りは年金方式のみで、中途解約や一括受取りはできません。
 

小規模企業共済は、個人事業主の退職金?

小規模企業共済は、いわば退職金制度です。個人事業主には退職金がないので、自分で積み立てておくと考えればよいでしょう。
 
小規模企業共済の掛金は、月1,000円~70,000円の間で、500円単位に設定できます。最高で年間840,000円まで積み立てられますが、これは全額所得控除(小規模企業共済掛金控除)ができます。
 
事業を廃止した場合や第一線を退いたときに、共済金が受け取れますが、この共済金は分割受取りも可能で、一括・分割・併用が選択できます。受け取り時には、退職所得控除または公的年金等控除が使えます。
 
ただし、納付した掛金に対して100%以上の解約金が受け取れるのは、納付月数が240ヶ月(20年)以上になります。納付月数が12ヶ月未満では、そもそも解約金はありません。また任意解約の場合は一時所得となるため、税金が高額にならないよう注意が必要です。
 

経営セーフティ共済、貸付ける以外の利用方法でもメリットあり

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、取引先の予期せぬ倒産による連鎖倒産を防ぐために、共済金の貸付が受けられます(掛金総額の10倍まで)。掛金は、月5,000円~20万円まで、5,000円刻みで設定でき、掛金総額800万円まで積み立てられます。
 
掛金は必要経費とすることができるため、貸付を受ける以外にも、一定の節税効果が得られるのがメリットです。任意解約の場合でも、納付月数40か月以上で100%の解約金が得られますが、解約金は事業所得に算入することになりますので、注意が必要です。