更新日: 2019.09.18 セカンドライフ

「終の棲家(ついのすみか)」はどこなのか 安心して最後を迎えられる場所とは

執筆者 : 堀江佳久

「終の棲家(ついのすみか)」はどこなのか 安心して最後を迎えられる場所とは
厚生労働省発表資料によると、2016年の日本人の平均寿命は男性で80.98歳、女性で87.14歳となっており、2060年には日本人女性の平均寿命は90歳を超えると予想されています。
 
一方で、介護が必要になったり、寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間である健康寿命は、男性で72.14歳、女性で74.79歳でした。平均寿命と健康寿命の差が、男性で8.84年、女性で12.35年となっています。
 
つまり、この期間は、なんらかの健康上の問題があり、介護をしてもらいながら過ごすことになります。その期間をどこで過ごし、どこで死を迎えるのかは自分だけでなく、周りの家族にとっても重要なことです。
 
今回は、みんなが考えている「終の棲家(ついのすみか)」はどこなのか、安心して最期を迎えられる場所について考えてみたいと思います。
 
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

「終の棲家」は、どこがいいか?

■理想の死に方

「日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団」が2012年に全国1000名の男女を対象に行った「ホスピス・緩和ケアに関する意識調査」では、「理想の死に方」を「ある日、心臓病などで突然死ぬ」、または「病気などで徐々に弱って死ぬ」のどちらかを選択してもらったところ、全体で約7割の人が「ある日、心臓病などで突然死ぬ」ことを選択しているという結果が出ています。
 
その理由は、「家族に迷惑をかけたくないから」というのが大多数でした。いわゆるPPK(ピンピンコロリ)で死を迎えたいというのが多くの人の理想ですが、さきほど説明したように平均寿命と健康寿命の期間が平均で10年前後あり、介護を受けてから亡くなる方が多数を占めるのが現実です。
 

■終の棲家の現実と理想

厚生労働省が公表している死亡場所をみると、病院・診療所が80.8%、自宅が12.4%、介護老人保健施設・老人ホームが4.3%、その他が2.4%となっています。(平成21年)
 
一方で、亡くなる前に介護をしてほしい場所を60歳以上のシニアにアンケートをとると、男性は自宅・親族の家が43.7%、施設・医療機関が48.8%、女性は自宅・親族の家が33.3%、施設・医療機関が58.2%となっています。男女の差こそありますが、施設・医療機関の比率が高いようです。
 
その中でも、特別養護老人ホームや老人ホームなどの施設を希望する比率は、男性で32.5%、女性で35.3%となっており、女性においては、自宅・親族の家を上回る結果となっています。次に、どのような施設があるのかをみていきましょう。
 

老後の入居施設はどんなものがあるのか?

■住宅系と施設系

老後の入居施設は、大きく2つに分かれます。
 
1つは、シニア分譲マンションや住宅型有料老人ホームなど、「介護がついていない住宅系」のものがあります。介護をお願いする際は、別途契約が必要になり、その内容によりお金がかかります。
 
もう1つは、介護付有料老人ホームや特別養護老人ホームなどの「介護付きの施設系」のものがあります。ただし、特別養護老人ホームは、申し込みのためには要介護3以上が必要であり、入居するためには順番待ちもあります。
 
つまり、特別養護老人ホームは、介護状態になって、運よく空いていたら入れる施設ともいえます。
 

■介護を受ける場所を選択する

どの施設に入るのかは、自分のライフスタイルや考え方によります。各施設には入居人数に制限があるなど、必ずしも自分が気に入った施設に入れるとは限りません。しかし、早めに対応すれば、自分が選択した施設に入れる確率も高くなります。もちろん、自宅や病院などで介護を受けたいとの選択肢も残っています。
 

■資金の準備も必要

当然ですが、有料老人ホームに入居するにはそれなりにお金がかかります。
 
介護がついていない住宅系は、介護付に比べ、費用が安く入居できますが、介護が必要になったときは、別途料金がかかります。
 
施設系の介護付老人ホームは、前払い金(入居一時金)や月額費用が必要になります。「前払い金が高く月額費用が安いコース」「前払い金が安く月額費用が高いコース」など、支払い方法が選択可能なコースを設定している施設もあります。前払い金を例にとると、無料な施設から4億円がかかる施設もあり、さまざまです。
 
老後をどこで過ごすのか、「終の棲家」はどこにするのかを検討するために、健康なうちに、まずは近くの施設を見学することはから始めてみるのはいかがでしょうか。
 
出典:
厚生労働省ウェブサイト 平成28年簡易生命表の概況
平成30年3月9日 第11回健康日本21(第二次)推進専門委員会 資料1-1
死亡の場所別にみた死亡数・構成割合の年次推移
平成24年度 高齢者の健康に関する意識調査結果(概要版)
公益財団法人日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団ホームページ ホスピス・緩和ケアに関する意識調査
内閣府「高齢者の健康に関する意識調査」介護の意識に関するアンケート
 
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
 


 

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