更新日: 2020.05.29 その他

離職や廃業により収入が減って今月の家賃が払えない。そんなとき申請できる給付金って?

離職や廃業により収入が減って今月の家賃が払えない。そんなとき申請できる給付金って?
新型コロナウイルスの猛威は、多少は収まる気配を見せていますが、まだまだ予断を許さず、長期戦の様相を呈しています。
 
政府の支援策もいろいろ出てきています。従業員が休んでも収入の安定を図ることを目的とした企業向けの「雇用調整給付金」、中小企業や個人事業主の事業を継続できるための「持続化給付金」、小学校の子どもが臨時休校で仕事を休まなければならない場合の「小学校等対応助成金・支援金」などです。
 
しかしこれらを受けるには、さまざまな条件をクリアしなければならないし、条件をクリアしたとしても、給付金が実際に振り込まれるまでは時間もかかったりで、その間は手持ちの資金でやりくりする必要があります。
 
個人に向けた「10万円の特別定額給付金」にしても、令和2年5月1日時点で一部の市町村で電子受付は始まりましたが、書面の送付はまだ始まっていない状況です。その間に、企業が倒産したり、家計が行き詰まることもあり、自分自身で生活を守っていく必要に迫られています。
 
ここでは、上記以外の支援策のひとつである「住宅確保給付金」について解説します。
 
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

相続診断士 
終活カウンセラー 
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

住宅確保給付金、その対象者は?

生活困窮者自立支援事業のひとつで、離職・廃業により収入が減り、家賃が払えなくなり住むところがなくなってしまうおそれが生じている方に、就職に向けた活動をするなどを条件に、一定期間家賃相当額を支給する制度です(都道府県や市区町村から、家主さんに直接支払われます)。
 
新型コロナウイルス感染症が拡大していることから、離職や廃業でないが同程度の状況になった場合でも、この制度の対象となるよう拡充されています。
 
これまでの対象者「離職・廃業から2年以内の者」に加えて、令和2年4月20日からは、「給与等を得る機会が当該個人の責に帰すべき理由・当該個人の都合によらないで減少し、離職や廃業と同程度の状況にある者」が申請できます。
 
自分の都合で収入が減ったのではなく、雇用者や発注元の都合で勤務日数を減らされて収入が減ってしまった、発注を切られて仕事がなくなってしまった場合などが該当します。その他、離職等の前に世帯の生計を主として維持していたこと、国の雇用施策による給付などを受けていないことが要件になります。

支給要件

支給要件は以下のとおりです。
 
【収入要件】
申請月の世帯収入合計額が、『基準額(市町村民税均等割が非課税となる収入額の1/12)+家賃額』以下であること。
 
家賃額の上限は住宅扶助特別基準額が上限ですが、地域と世帯の人数により異なります。筆者の住む岐阜市の場合は、単身世帯3万2000円、2人世帯3万8000円、3人から5人世帯4万1600円、6人世帯4万5000円、7人以上世帯5万円。
 
よって収入基準額は、単身世帯11万3000円、2人世帯16万2000円、3人世帯191万6000円 4人世帯218万円です。
 
【資産要件】
申請時の世帯の預貯金合計額が、基準額×6(ただし100万円を超えない額)以下であること。岐阜市の場合の収入基準額は、単身世帯48万6000円、2人世帯74万4000円、3人世帯90万円、 4人以上100万円です。
 
【就職活動要件】 
誠実かつ熱心に求職活動を行うことが条件です。申請時にハローワークへの求職申込をすることについては、令和2年4月30日から不要になりましたが、受給中は以下の活動が必要です。
 
・毎月2回以上、公共職業安定所の職業相談を受ける
・毎月4回以上、自立相談支援機関の支援員による面接等を受ける
・原則週1回以上、求人先の応募・面接を受ける
 
【支給期間】
原則3カ月間(最長9カ月間)です。

支給額は?

月収≦基準額の場合、住居確保給付金は家賃額
月収>基準額の場合、家賃額-(月の世帯の収入合計額-基準額)
 
家賃額は住宅扶助特別基準額が上限です。
 
例えば、単身者の場合、基準額が11万3000円
月収10万円≦11万3000円の場合、住居確保給付金は 3万2000円
月収12万円>11万3000円の場合、3.2-(12-11.3)=2万5000円
月収15万円>11万3000円の場合、3.2-(15-11.3)=-5000円・・支給なし
 
以上になりますが、この制度を利用することができれば、生活基盤となる住居がなくなる心配をしなくていいので、生活の立て直しに向けた活動に集中できることになりますので、ぜひご検討ください。
 
(参照:引用)
厚生労働省「生活を支えるための支援のご案内」
厚生労働省「住宅確保給付金」
厚生労働省「住居確保給付金 今回の改正に関する QA(vol3)」
厚生労働省「住居確保給付金について」
岐阜市「住居確保給付金のしおり」
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者


 

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