更新日: 2020.05.27 その他

離婚をする場合、夫婦の共有財産はどうなるの?

離婚をする場合、夫婦の共有財産はどうなるの?
もし離婚をする場合、婚姻期間中に築いてきた財産や養育費、慰謝料はどうなるのでしょう? 今回は、離婚をテーマにした財産分与、年金分割、慰謝料、養育費について解説していきます。
 
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

財産分与

財産分与とは、離婚をした人が配偶者(夫または妻)に対して財産の分与(分けること)を請求することができる制度です。財産分与は民法(768条)に定められていますので、正当な権利といえます。その性質は、以下のように解されており、特に(1)が基本と考えられています。
 
(1)夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配
(2)離婚後の生活保障
(3)離婚の原因を作ったことへの損害賠償

 
財産分与の対象となる財産は、夫婦共有名義の財産だけではありません。
 
例えば、夫の名義で不動産(土地、建物)を購入した場合、法律上は夫の財産となりますが、妻が夫の生活を支えていたという場合には、実質的には共有財産とみなされ、財産分与の対象になります。この考え方は、預金についても同じです。
 
逆に、結婚前から所有していたものや、相続によって所有することになった財産などは、財産分与の対象とはなりません。
 
財産分与の額は、まずは当事者間の協議によって金額を決めることになります。当事者間で協議が調わないときや、協議をすることができないときは、当事者は家庭裁判所に対して処分を請求することができます。
 
この場合、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか、分与させる場合には分与の額と方法を決定します。
 
家庭裁判所の審判では、夫婦が共働きをしていても、夫婦の一方が専業主婦(夫)であっても、夫婦の財産を2分の1ずつに分けるように命じられることが多いようです。
 
財産分与のタイミングは、離婚までに協議をしておき離婚と同時に分与してもよいですし、離婚をしてから分与を請求することもできます。ただし、離婚から2年が経過すると、家庭裁判所に申立てをすることができなくなります。

離婚時の年金分割

年金分割とは、離婚した人が婚姻期間中の厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金とすることができる制度です。分割方法には、「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。

合意分割

合意分割制度は、婚姻期間中の厚生年金記録を、合意により夫婦で分けることができる制度です。この制度を利用するためには、(1)厚生年金記録があること、(2)按分割合が決まっていること、(3)離婚をしてから2年が経過していないこと、が必要となります。

3号分割

3号分割制度とは、平成20年4月1日以降の婚姻期間中、夫婦のどちらかが国民年金の第3号被保険者であった場合に、相手方の厚生年金記録を、夫婦で2分の1ずつ分けることができる制度です。
 
この制度を利用するためには、(1)平成20年4月1日以降の国民年金の第3号被保険者期間中の厚生年金記録があること、(2)離婚をしてから2年が経過していないこと、が必要となります。
 
この制度は、厚生年金記録を2分の1ずつに分けるため、按分割合を決めておく必要はありません。

養育費・慰謝料

養育費とは、子供を育てていくための費用です。たとえ離婚したとしても、子どもを育てていく責任は両親にありますので、当然、養育費を負担する必要があります。慰謝料とは、相手方の責任によって被った精神的苦痛に対する損害賠償のことです。
 
養育費、慰謝料についても、まずは当事者間の協議によって金額を決めることになります。当事者間の話し合いがまとまらない場合や話し合いができない場合には、家庭裁判所の調停手続を利用することができます。

まとめ

離婚をする場合、財産分与、年金分割という制度があることが分かりました。養育費、慰謝料を請求できるということも確認できました。ここで確認しておくべきことは、制度を利用するにしても金額を請求するにしても、基本は当事者間の話し合いで決めておいた方が良い、ということです。
 
裁判所を利用するにしても調停ですので、結局は両者の話し合いということには変わりがありません。したがって、離婚をするのであれば、財産の分け方や離婚後に必要なお金についてもしっかり話し合っておくべきでしょう。
 
出典
法務省「財産分与」
電子政府の総合窓口e-Gov「民法(財産分与)」
裁判所「財産分与請求調停」
日本年金機構「離婚時の年金分割」
裁判所「養育費請求調停」
裁判所「慰謝料請求調停」
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー


 

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