気になる「給与」と「手取」の違いについて解説

配信日: 2020.04.15

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気になる「給与」と「手取」の違いについて解説
新社会人の方にとって、今月は初めての給料日が間もなくというところでしょうか。今回は新社会人にとっての給与の仕組み、注意点を見てみましょう。
 
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

特定行政書士、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士相談センターの相談員として、相続等の相談業務や会社設立、許認可申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

入社前に提示された給与より少ない!

初めての給料日、通帳記入で入金額を確認しようとすると、「あれ? 振込額が少ない!」と感じる方がいらっしゃるかもしれません。事前に聞かされていた給与額が、そのまま給料として口座に入るわけではありません。
 
まず、用語の説明からです。「給与」とは、「俸給・給料・賃金・歳費・賞与およびこれらの性質を有するもの」となっています。(所得税法より)具体的には、給料を含め残業代や出張旅費等の各種手当、賞与(ボーナス)といった報酬すべてが「給与」にあたります。
 
「給料」とは、「給与」から残業代や各種手当などを差し引いたもの、つまり基本給部分を指し示します。「手取」とは、給与から各種控除金額を差し引いたものにあたります。つまり銀行に振り込まれる金額ですね。
 
この3つの言葉の定義を基にお話を続けていきます。
 
また、控除には2種類あり、1つは法定控除と呼ばれ、税金や社会保険料、雇用保険料などがこれにあたります。もう1つは、会社が独自で行ったり、従業員から申し立てられたりすることによって控除されるもの。例えば、持ち株会や財形貯蓄等がこれにあたります。
 
さらに、会社によっては労働組合費、入寮していれば寮費が引かれます。新入社員の場合、4月の給料で控除されるのは、額面を20万円で扶養家族がいないと仮定すれば、所得税の4000円程度と雇用保険の600円程度です。
 
また、健康保険と厚生年金の控除は、前月分を控除するので5月から始まります。厚生年金の注意点として、20歳未満の新入社員であっても厚生年金の要件義務を満たしていれば、加入が義務付けられますので控除されることになります。

給料から控除される税金や保険料とは?

新入社員だけ4月、5月と違ってくるのは、上記で述べたとおりです。
 
では、それ以降の手取りについてですが、控除されるのは税金と社会保険料です。その中身を見ていくと、
税金・・・所得税、住民税
社会保険料・・・厚生年金、健康保険、雇用保険、介護保険
となります。
 
まず、所得税ですが、所得税の金額に応じて計算され、毎月の給与から天引きされます。
 
実際の所得税額は1年単位で計算しますが、毎月の給与に基づいて所得税を概算で支払うため、12月の給与支払いを受け取るときには、それまで概算で支払ってきた所得税額と実際に払うべき所得税を比較した調整が行われます。これを年末調整といいます。
 
次に住民税ですが、その年の前年の収入に応じて、6月から翌年5月にかけて毎月の給与から天引きされます。これを特別徴収といいます。このため前年に一定の収入がない新入社員は住民税を徴収されません。よって、多くの場合は社会人2年目の6月から天引きされるようになります。
 
そして社会保険料ですが、上記のとおり厚生年金、健康保険、雇用保険が支給額によってそれぞれ計算され、それを合算して控除されます。金額的には給料の13%程度が徴収されます。
 
ちなみに厚生年金の保険料率は全国一律ですが、雇用保険の保険料率は業種によって、健康保険の保険料率は会社や地域によって若干異なります。また、40歳以上の方にはこの3つに介護保険が加わります。

手取りが少なくとも貯蓄を始めるなら1年目から

上記のとおり、住民税に関しては前年に一定の収入がない場合、1年目は徴収されません。つまり1年目に住民税相当額分だけでも貯蓄する癖をつけていれば、2年目以降も引き続き貯蓄していくことが容易になるでしょう。
 
その際には、より効率よく資産形成するために、個人型確定拠出年金(iDeCo)や少額投資非課税制度(NISA)を利用することも考えていきましょう。とはいえ、新入社員の給与はどうしても低いですので、手取りが少ないなら少ないなりに、支出のメリハリをつけることも肝心です。
 
また、控除ではありませんが学生時代に奨学金を借りていた場合は、10月から返済が始まりますので、返済計画も念頭に置いておく必要があります。
  
最初の給料日は誰しも楽しみで、思い出に残る日だとは思いますが、これを機に社会人としてお金とどう付き合っていくのかを考える日にしてみてはいかがでしょうか。
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表


 

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