更新日: 2020.03.23 その他

新型コロナウイルスでお休み・・傷病手当金や休業手当の支給対象になるの?

新型コロナウイルスでお休み・・傷病手当金や休業手当の支給対象になるの?
新型コロナウイルス感染症が国内でも広がりを見せ始めているなか、社会への影響が懸念されています。
 
もし、新型コロナウイルスに感染してしまったり、あるいはその影響によって会社が休業となり働けなくなってしまったとき、私たちの給料はどうなってしまうのでしょうか。
 
関連する手当を中心に解説します。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

休業手当とは? 傷病手当とは?

まず、基礎知識として休業手当と傷病手当について学んでおきましょう。
 
どちらも、仕事ができず給与が支払われないときに受けられる手当です。
 
その意味では両者は共通していますが、その原因によってどちらの手当が適用されるのかが異なります。
 
〈休業手当とは〉
本来労働するはずだった日に会社の都合によって従業員を休ませた場合、会社はその休ませた日について平均賃金の60%以上の手当を支払わなければなりません(労働基準法第26条)。
 
これを休業手当といいます。
 
つまり、会社の都合で急に休まされた場合、その日は働かなくとも6割の給料を受け取る権利があるということです。
 
〈傷病手当とは〉
傷病手当とは、業務外の事による病気やけがで働けない場合、加入している健康保険組合に申請することで支給される手当です
(健康保険法第99条)
 
傷病手当は、病気やけがによって休んだ場合に支給されるという点で休業手当とは異なります。
 
例えば、インフルエンザに感染してしまって働けなくなってしまったような場合は、傷病手当の支給対象になります。
 
傷病手当を受け取るには、下記の条件を満たす必要があります。
 
(1)病気やけがにより仕事を休んでいる
(2)その間給料が発生していない
(3)仕事をすることができない状況であると医師から診断されている
(4)連続して3日以上仕事を休んでいる方
 
上記の条件を満たす場合、欠勤4日目から標準報酬月額の3分の2の金額を最長1年6ヶ月にわたって受け取ることができます。
 
なお、国民健康保険の加入者や扶養で健康保険に加入している方などは対象外となります。
 

Q&A

新型コロナウイルス感染症の影響による手当について、皆さんが知りたいと思われることをQ&Aとしてまとめてみました。
 

Q 新型コロナウイルス感染症の影響によって会社が休みになってしまった場合、休業手当を受け取ることはできますか?

この場合、そのお休みが会社の責任といえるか否かが判断の分かれ目になります。
 
例えば、海外の仕入れ先が完全にストップしてしまっており、会社はそれに代わる手段を何とか探したものの事業を運営することができず、かつ、短期間の一時的な休業となる場合は、休業手当を受け取ることは難しいでしょう。
 
一方、代替手段や回避策を講じることなく一律に「事態の収束が予測できるまでは全社員出勤停止とする」というような場合は休業手当の対象となります。
 

Q 働くことはできるが、新型コロナウイルス感染症が疑われる症状が出ているため、自主的に会社を休む場合、傷病手当を受け取ることはできますか?

新型コロナウイルス感染症が疑われるとはいえ、自主的に休んでいる場合は、傷病手当を受け取ることはできません。
 
傷病手当を受け取るには、病気やけがで働くことができず、かつ、そのために働けないという医師の診断を受けていなければならないからです。
 

Q 働くことはできるが、新型コロナウイルス感染症が疑われる症状が出ているため、出勤を控えるように言われています。この場合、休業手当を受けることはできますか?

新型コロナウイルスへの感染が強く疑われる段階で会社から出勤停止を言い渡されたとき、休業手当の支給対象に該当するか否かは、各保健所に設置されている「帰国者・接触者相談センター」 の判断によります。
 
帰国者・接触者相談センターによって新型コロナウイルス感染症ではないと判断されてもなお、会社から出勤停止を言い渡されるような場合は、休業手当の支給対象となるでしょう。
 

まとめ

新型コロナウイルス感染症によって働けなくなってしまったり、会社が休みになって給与を受け取ることができなくなってしまっても、一定の条件を満たすことで休業手当や傷病手当金を受け取ることができます。
 
万が一、感染が疑われる状況に陥ったり、会社が休業となってしまったりしても、落ち着いて行動するようにしてください。
 
出典
厚生労働省「病気で仕事ができないときの保障制度」(みんなのメンタルヘルス総合サイト)
全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき」
 
執筆者:柘植輝
行政書士


 

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