更新日: 2020.03.21 その他
オリンピック金メダルの素材は、やっぱり純金製?
個人的な希望としては、当初の予定通り、東京に世界各国から多数のアスリートや観衆をお迎えし、平和の祭典として盛大にかつ成功裏に行われることを願うばかりであります。そのような思いから、オリンピックに関する話題を1つ提供したいと思います。
さて、アスリートが長年の努力と鍛錬の末に獲得するオリンピックメダルですが、その形状や素材などに決まりはあるのでしょうか?
執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
オリンピックメダルの規格
オリンピックメダルの規格要件は、国際オリンピック委員会(IOC)によって規定されています。主な規格は以下の通りですが、特に金メダルの素材は純金ではなく、銀製と決められています。
出典:東京2020オリンピックメダルデザイン (※1)
上記の通り、メダルの大きさや素材はもちろん、リボンの装飾まで規格が定められています。確かに、ある程度の制約がないと、開催国によって金の含有量や大きさなどがバラバラとなってしまう可能性があります。
そして、夏季大会のメダルの表面には、ギリシャ神話で有名な勝利の女神であるニケがデザインされています。
金メダルなのになぜ銀製なの?
前述のオリンピックメダルの規格が定められたのは2003年とのことです。なぜ、金メダルなのに純金製ではなく、銀製で金メッキとされているのでしょうか?
IOCはオリンピックの目的を「オリンピックは4年に一度開催される世界的なスポーツの祭典です。スポーツを通した人間育成と世界平和を究極の目的とし、夏季大会と冬季大会を行っています。」と示しています。オリンピックは世界中のあらゆる国・地域が参加し、また開催国となることを目的としています。
しかし、オリンピックの開催の費用は莫大であるため、たとえ先進国でない国での開催であっても、メダルの規格で不平等が生じることがないように、あらかじめ1位と2位のメダルは銀製と定めているとのことです。
つまり、オリンピックが平和と友好の祭典であるという精神に基づく配慮ということがいえるでしょう。
東京2020オリンピックのメダル
ご存じの方も多いと思いますが、東京2020オリンピック・パラリンピックのメダルは、不要となった携帯電話、スマートフォン、パソコンなどを全国から回収し、金属を製錬するという世界初の取り組みで作られています。
この取り組みは「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」として、2017年4月から2019年3月までに回収されたものが使用されています。(※2)
このプロジェクトでは、実に金が約3キログラム、銀が約3500キログラム、銅が約2200キログラムも生み出され、オリンピックとパラリンピックに必要となる約5000個のメダル作成に使われるとのことです。
各家庭や企業に眠っている資源をリサイクルするという世界初の試みは、世界に誇ることができる取り組みといえるでしょう。
まとめ
最近の金価格は1グラム当たり5666円程度、銀価格は1グラム当たり66円程度でしょうか(2020年2月末現在)。(※3)もちろん、アスリートにとってのオリンピックメダルは、単純な価格以上の計り知れない価値があるということは言うまでもありません。
かくいう私も、都市鉱山プロジェクトに眠っていたスマホとガラケーを3台提供しました。勝手ながら、ほんの少しだけオリンピックに参画した気分でいます。スポーツ観戦が大好きな私ですから、早く間近で熱戦を観戦したいと心待ちにしています。残念ながらチケット抽選には外れ続け、いまだに1枚も確保できておりませんが。
出典
※1 東京2020オリンピックメダルデザイン
※2 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」について
※3 田中貴金属工業「貴金属価格情報」
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー