更新日: 2019.11.20 子育て
子どもを出産したママが、会社復帰する前に知っておきたい社会保障制度って?
もし、育児休業等を取得して、いざ、会社に復帰するとした場合に、出産前と同じように働くことが大変になったとき、短時間就労者(パート)として復帰したときの注意点を記してみます。
執筆者:上山由紀子(うえやま ゆきこ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者 鹿児島県出身 現在は宮崎県に在住 独立系ファイナンシャル・プランナーです。
企業理念は「地域密着型、宮崎の人の役にたつ活動を行い、宮崎の人を支援すること」 着物も着れるFPです。
お給料は下がっても、給料から差し引かれるものは出産前と同じ?
子どもを出産し、短時間就労者(パート)として働き始めると、給料は下がってしまいます。そのときに、手続きをしておくと下がった給料に応じて社会保険料が差し引かれるという仕組みがあります。
社会保険料の差し引かれる金額は、会社員であれば、1年間で差し引かれる社会保険料は4月から6月までの標準報酬月額の平均で決められます。
出産して育児休業等が終了し、会社復帰したときが年の途中だとすると短時間就労者(パート)として働き始めても、出産前の給料で計算されるので、給料は下がったのに社会保険料は以前のままということになります。
でも、「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出することで、手続きをしてから4ヶ月目からは、復帰してからの給料に応じての社会保険料が差し引かれることになります。
ただし、次の条件を満たす場合となります。
1.出産前の標準報酬月額と復帰後(改定後)の標準報酬月額(※)との間に1等級以上の差が生じること。
※標準報酬月額は、育児休業終了日の翌日が属する月以後3ヶ月分の報酬の平均額に基づき算出します。ただし、支払基礎日数が17日未満の月は除きます。
2.育児休業終了日の翌日が属する月以後3ヶ月のうち、少なくとも1ヶ月における支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上であること。
※短時間就労者(パート)で3ヶ月の日数がいずれも17日未満の場合は、15日以上17日未満の月の報酬月額の平均によって算定します。
「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出したけど、将来の私の年金は?
「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出して、差し引かれる社会保険料も4ヶ月目から給料に応じた金額になりましたが、将来の年金額は少なくなります。差し引かれる厚生年金保険料も標準報酬月額によって決まるからです。
ただ、この場合、「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」が設けられています。これは、「次世代育成支援の拡充を目的」として、子どもが3歳までの間、勤務時間短縮等の措置を受けて働き、それに伴って標準報酬月額が低下した場合、子どもが生まれる前の標準報酬月額に基づく年金額を受けることができる仕組みです。
より高い出産前の標準報酬月額を短時間就労者(パート)の期間の標準報酬月額とみなして年金額を計算し、養育期間中の報酬の低下が将来の年金額に影響しないようにするための措置です。
申し出は、被保険者本人がする必要があります。対象となる期間は、3歳未満の子が養育開始月から3歳到達日の翌日の月の前月まで等です。
このみなし措置を知らずに、手続きをしていない方は、申し出日の前月までの2年間について、みなし措置が認められています。
事業主を経由して、「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」を日本年金機構へ提出してください。
まとめ
育児休業等が終了し、会社復帰すると同時に、「育児休業等終了時報酬月額変更届」と「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」を事業主経由で日本年金機構に提出します。
この手続きをすることで、現在の標準報酬月額で金額が決められる社会保険料は、4ヶ月目からですが現在の給料に応じての金額になり、将来の厚生年金保険は出産前の金額で納めたことになりますので、年金額は減らずに受給できることになります。
やはり、知らないと損することが多いです。でも、たとえ制度を知っていても、自分で行動を起こさなければ、知らなかったときと同じです。良い情報であれば、ぜひ行動してください。
出典
(※)日本年金機構「育児休業等終了時報酬月額変更届の提出」
(※)日本年金機構:養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置
執筆者:上山由紀子
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者