更新日: 2019.09.04 その他

「出産後、妻は妻ではなくなってしまった」産後クライシスの問題点

「出産後、妻は妻ではなくなってしまった」産後クライシスの問題点
最近、男性からのご相談が増えています。ご相談者のお話では「子どもができてから」や「子どもに手がかかるからか」など、「出産後に妻は人が変わってしまった、どうしたら良いのだろうか?」という妻に関する内容が多いのです。このような状態は『産後クライシス』かもしれません。
 
このような状態は精神的なものだけでなく、それまでの生活が変わることで、家計にも影響がおよぶことにもなりかねません。今回は、この問題に焦点を当て、多方面から見てみたいと思います。
 
寺門美和子

執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)

ファイナンシャルプランナー、相続診断士

公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
女性のための電話相談『ボイスマルシェ』   https://www.voicemarche.jp/advisers/781 

産後クライシスとは

出産後、急に夫婦の仲が悪くなることを『産後クライシス』といいます。初婚の時期が遅くなった現代、第一子が生まれる頃、両親ともに30歳前後以上の方が多くなりました。
 
女性は30歳を過ぎると、ホルモンのバランスが大きく変わるといわれています。しかし見た目は、昔より段違いに若くてきれいなママたち。からだの不調に気づきづらいのかもしれません。
 
また、30代の父親は働き盛り。上司と後輩に挟まれて、精神的にシンドイ時期でしょう。お互いに、相手を思いやるよりも「いかに自分が大変か」ということに気持ちのウエイトが傾いてしまいます。その結果、少しずつ気持ちが離れ、それが数年続き、大きな溝ができてしまうことに。
 
中には別居・離婚話になってしまう方もいるのです。特に夫から見ると、「毎日イライラしている妻」「何を考えているのかわからない妻」そのように見えてしまうことが多いようです。
 

産後ブルーや産後うつの妻を腫物のように扱う夫

とかくお互いの感情や生活態度に非がある、と分析される傾向もある産後クライシス問題。また、「産後ブルー」や「産後うつ」状態で気分が晴れない人もいるでしょう。そんな状態の妻をますます遠くにおいてしまう夫。そうすることで、クライシス指数はさらにアップしてしまいます。
 
出産直後の女性のからだを考えていただきたいのですが、妻は10ヶ月の間、お腹の中で人を育んでいるのです。自分のからだの栄養をおなかの中の子どもに分け、どこに行くにも24時間ずっと一緒に過ごしています。その偉業は、他には代えられないものでしょう。
 
また、出産後、核家族化した現代は、一人で子育てをしている人も多いもの。大変さは昔以上かもしれません。
 
出産が女性のからだに影響を与えるのは、人それぞれだといいます。すべての人が心身に変化を起こすわけではないのですが、だから余計に、体調が思わしくない妻に対して理解のない夫や家族もいます。
 
特に授乳をしている間は、自分の栄養を子どもに分けているわけですから、その負担も大きいでしょう。出産後、生理が復活するまでの間は、男性でも女性でもなく偉大な妊婦さんなのです。まずは、出産後の女性のからだや、家事・子育ての大変さを理解して差し上げることがとても大切です。
 

「産後の肥立ち」という言葉がかつての日本にはありました

最近あまり聞かなくなりましたが「産後の肥立ち」という言葉がありました。出産してからしばらくの期間(3週間説や6~8週間説がある)を、産褥期(さんじょくき)というそうです。この期間は、ママのからだが妊娠前のからだに戻る大切な時期とされています。
 
最近は出産後、すぐにシャワーを浴びて退院し日常生活に戻るようですが、昔はそうではなかったそうです。産褥期は、母体を出産前の状態に戻すために、家事や日常生活の煩わしさから逃れて隔離し、十二分に休養をさせていたとか。
 
実はそうすることで、産後の体はむしろ出産前より丈夫となり、二人目、三人目の出産に備えるからだに、また家事や農業の働き手として、復活するように備えたものだそうです。
 
この期間、体調を崩すことを「産後の肥立ちが悪い」といいます。今でも、助産師さん等のコラムや著書を拝見すると、この時期がいかに大切か説かれています。
 

出産後の妻、いつも以上に大切にすること

出産後、里帰りする奥さんも多いでしょう。その時、やはり夫も妻に寄り添うことが大切です。寄り添うとは、時間と言動で表すこと。両方大切でしょう。
 
休日や仕事帰りに工夫をして、妻の実家へ立ち寄ること。その際に、妻の食べたいものをお土産に持って行き、リクエストに応えること。また、実家に行ったら、妻ファーストで過ごしてください。
 
出産した偉業を称え、感謝の言葉を繰り返し述べてください。ねぎらいの言葉、感謝の言葉の賞味期限はせいぜい24時間。繰り返しが大事です。
 
また、妻の実家のご両親にも感謝の言葉や配慮をして、妻の居心地が良くなる工夫をするのも大切です。中には「なんで俺がそんなことまでするのだ!」という夫もいるようですが、妊娠から出産というのは、その何倍も大変な偉業なのです。
 
まれに、妻がいないことを良いことに遊びほうける人もいます。出産前後や病気の時の、浮気や過度な遊びは絶対に禁物です。修復には、何倍もの時間が必要になります。
 

便利な時代になっても人間が産まれるメカニズムは変わらない!

妻のからだが心身ともに回復するまでの間、夫だけでなく、家族全員で支えてあげてください。一人で頑張ってしまう妻は、家族に頼りましょう。
 
もし、すでに産後クライシスから夫婦仲がこじれている場合はどうしましょうか。それは夫がもし、自分が産後十分にフォローしきれていないことを反省できるなら、その分、しばらくの間は覚悟して償いの時期を過ごしましょう。
 
妻サイドで「もしかして私」と思う方、からだのケアをしてください。からだが楽になると、心に余裕ができてきます。少し心に余裕が出てきたら、夫に状態を話してみてください。話しづらかったら手紙を書いてみるのも良いかもしれません。
 
今の時代、便利になり、なんでもスピーディーにこなせますが、人間が産まれるメカニズムは変化していません。人間という大宇宙を理解し合える夫婦となり、すてきなご夫婦になれると良いですね。
 

産後クライシスの状態では、生活も安定しない

からだが十分に回復していないと、家計管理もうまくいかないでしょう。そこで夫婦げんかとなり、ますます追い込まれてしまう人もいます。妻は、とにかく感情的になり、何もかもが嫌になってしまうことも。「別れられたらなんでもいい」という気持ちとなり、夫を追い出そうとする人もいます。
 
夫からすると「なんで、別居したのかわからない」「どうして許してくれないのかわからない」と話す人がとても多くいらっしゃいます。荒れた妻と向き合うのは嫌かもしれませんね。しかし、考えてみてください。別居は支出が二重となり、家計には大きく響いてしまいます。
 
一日でも早く別居を解消するには、一時的な支出は増えても、妻のからだをしっかり回復するための費用をかけることが得策かと思うのです。週に一度、子どもを預かり、妻をアロママッサージ等リラクゼーションへ通わせてあげてみませんか?
 
費用はピンキリだと思います。場所によっても違うでしょう。10分あたり、1000円ほどが相場といいます。できたら、1時間はのんびりした時間を過ごさせてあげていただきたいです。そうすると、7000円×4回=2万8000円、月に3万円ほどでしょうか。
 
家計の打撃は大きいかもしれませんが、産後のからだを整えることで妻は回復し、家庭が円満になるのなら、安いかもしれません。また、回復に従って、頻度を減らすと良いかと思います。
 
からだは資本です。出産という、大きな仕事を成し遂げたのですから、産後しばらくは、ケアのための費用を捻出するのは、夫婦円満の秘訣かと思います。家計管理を完璧にしようとするあまり、大切なことを見失い、大切な人を失っては元も子もありません。
 
また、くれぐれも感情的に離婚をして「離婚破綻」にならないようにしてください。離婚は最終手段。いつでもできますから。
 
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士


 

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