料金不足で戻ってきた郵便封筒。他にどんなものが、増税の影響を受けている?
配信日: 2019.10.21
執筆者:村川賢(むらかわ まさる)
一級ファイナンシャル・プラニング技能士、CFP、相続診断士、証券外務員(2種)
早稲田大学大学院を卒業して精密機器メーカーに勤務。50歳を過ぎて勤務先のセカンドライフ研修を受講。これをきっかけにお金の知識が身についてない自分に気付き、在職中にファイナンシャルプランナーの資格を取得。30年間勤務した会社を早期退職してFPとして独立。「お金の知識が重要であることを多くの人に伝え、お金で損をしない少しでも得する知識を広めよう」という使命感から、実務家のファイナンシャルプランナーとして活動中。現在は年間数十件を越す大手企業の労働組合員向けセミナー、およびライフプランを中心とした個別相談で多くのクライアントに貢献している。
郵便料金が値上げになりました
先日、前もって買っていた82円切手を封筒に貼ってポストに投函したところ、数日して2円の料金不足で戻ってきました。10月1日から郵便料金が値上げされたことをうっかり忘れていたのです。通常はがきが62円から63円に、封筒などの定型郵便物が82円から84円になりました。
その他の郵便物では値上げになっているものとなっていないものがあるので、詳しくは郵便局の窓口で問い合わせるか、郵便局の料金Webサイトで調べてください。
JRや私鉄などの運賃も値上げされています
定期券を購入している人は、10月1日の前と後では料金がだいぶ違うので気が付いていると思いますが、JRや私鉄などの交通機関の運賃も値上げされています。
運賃には「IC運賃」と「きっぷ・定期券の運賃」の2種類があり、前者は1円単位なのに対して後者は10円単位としており、10円未満の端数は山の手線内や電車特定区間(東京近郊の範囲)では切り上げ、それ以外では四捨五入としています。
上記のルールから、Suicaなどで支払う「IC運賃」では細かく値上げされているのに対して、券売機で購入する「きっぷ運賃」は、山の手線内や電車特定区間では初乗りから20キロメートル くらいまでは据え置きになっていて、値上げが分かりにくくなっています。
JR東日本「2019年10月1日、消費税率引上げに伴う運賃・料金改定について」より一部抜粋
ヤマト運輸などの宅配便も値上げ
ヤマト運輸では、今回の宅配料金の値上げと同時に、キャッシュレス決済による支払いシステムを導入しました。10円単位の現金決済と1円単位のキャッシュレス決済により値上げに細かく対応するとしています。鉄道の2種類運賃と同様な料金システムとなりました。
そのほか、サイズアップした大型レジャー用品に対応するための新運賃の導入や、「配達時間帯」の指定枠変更、当日の再配達受付締め切り時間の繰り上げなども同時に行なっています。
新聞の場合はやや複雑
新聞は月ぎめで購読する場合の消費税率は軽減税率の対象で8%ですが、駅の売店やコンビニで1部だけ購入する場合は10%になっています。このため全国紙では、月ぎめと夕刊1部売りは料金を据え置いていますが、朝刊1部売りについては一部の新聞社を除き値上げをしています。
電子版については軽減税率の対象外で消費税率が10%ですが、各社で据え置きと値上げが入り乱れており、セットで購読する場合は購読料据え置きなのに電子版単独では購読料値上げなど、対応が複雑です。
その他の値上げ
その他の値上げで影響が大きいと思われるものを列挙してみます。
【火災保険・損害保険】
10月1日から火災保険で大手4社の平均で6~7%、損害保険では約4%保険料が上がっています。
【たばこ】
消費税増税に伴って、ほとんどの銘柄で1箱10円の値上げになっていますが、中には20円以上の値上げもあるようです。
【オリエンタルランド】
株式会社オリエンタルランドは、消費税増税に伴って東京ディズニーランドや東京ディズニーシーのチケット料金を100円以上値上げしています。
【東京の銭湯】
都内の公衆浴場の入浴料金が、消費税増税に伴って大人(12歳以上)460円から470円になりました。中人(6歳以上12歳未満)の180円や小人(6歳未満)の80円は据え置かれました。料金改定は約5年ぶりだそうです。
終わりに
消費税増税に伴って、いたるところで値上がりしていますが、気が付かないところでの値上げも多いのではないでしょうか?
特に公共性の高いものの値上げは景気へのインパクトが大きいと思われますので、政府もキャッシュレス決済によるポイント還元制度の導入などで、何とか景気の落ち込みを防ごうとしています。なるべく便乗値上げなどのないことを願っています。
出典
郵便局 国内の料金表
JR東日本 2019年10月1日、消費税率引上げに伴う運賃・料金改定について
ヤマト運輸 消費税の税率引き上げに伴う運賃・料金の変更について
執筆者:村川賢
一級ファイナンシャル・プラニング技能士、CFP、相続診断士、証券外務員(2種)