更新日: 2019.09.23 子育て
2020年4月から始まる「大学無償化」対象になる世帯の年収基準はいくら?
授業料などの減免と給付奨学金の拡充が主な支援内容ですが、住民税非課税世帯に加え、それに準ずる世帯の学生にまで支援の対象が広がりました。
それでは、「住民税非課税世帯」や「それに準ずる世帯」とは、いったいどのようなご家庭なのでしょうか。これらの意味について確認していくことにしましょう。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
所得の基準と年収の目安
簡単にいうと、住民税がかからない世帯と所得が少ない世帯です。所得基準は「第1区分」・「第2区分」・「第3区分」の3つに分けられています。「第1区分」が「住民税非課税世帯」、「第2区分」・「第3区分」が「それに準ずる世帯」です。
ふたり親世帯(両親が生計維持者)、子ども2人のご家庭で見てみましょう。家族のイメージとしては、お父さんが会社員、お母さんが専業主婦、大学に進学を希望している高校3年生の息子と中学生の弟といった例です。
授業料などの減免と給付奨学金の適用を受けるには、この家族が「第1区分」に該当する場合、年収の目安は約270万円まで、一方、「第2区分」・「第3区分」に該当する場合は、それぞれ、約300万円まで、約380万円までとなっています。
従来までは、住民税非課税世帯に準ずる世帯という区分がなかったため、要件の緩和により、世帯年収の目安の上限が引き上げられた形です。
所得基準に応じた支給割合
授業料などの減免額と給付奨学金の支給額は、世帯年収が増えるにつれ減少します。先ほどのふたり親世帯を例に見てみましょう。
年収約270万円までの住民税非課税世帯である「第1区分」を1(3/3)とすると、年収約300万円までの「第2区分」の世帯では、住民税非課税世帯の「2/3」、年収約380万円までの「第3区分」の世帯では、住民税非課税世帯の「1/3」と、支給割合が減少しています。
なお、「授業料等減免制度」と「給付型奨学金の支給の拡充」は併用できるため、両方を利用する場合でも所得基準に応じた支給割合は同じです。
まとめ
高等教育の修学支援新制度では、所得基準が緩和されたことで、住民税非課税世帯に加え、それに準ずる世帯の学生にも支援の対象が広がりました。
これを受けて、今後、大学などへの進学にかかる費用の考え方が変わってくると予想されます。
新制度のため、周知には相応の時間がかかると思いますが、この機会に、自分なりに少し調べてみようと思っていただければ幸いです。
出典
文部科学省「高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)における所得に関する要件
文部科学省「高等教育の修学支援新制度」
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)