更新日: 2019.07.31 その他

期間限定で拡充されている【キャリアアップ助成金】ってどんな制度?

期間限定で拡充されている【キャリアアップ助成金】ってどんな制度?
社会保険(厚生年金保険・健康保険)の適用が拡大されるのに伴い、対象となる労働者の処遇改善を行った事業主に「キャリアアップ助成金」が支給されています。助成の2つのコースについて、平成31年4月1日実施分から拡充されています。
 
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

相続診断士 
終活カウンセラー 
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

キャリアアップ助成金って?

非正規雇用労働者(有期効用、短時間、派遣等)の企業内でのキャリアアップを促進するため、非正規労働者を正社員化や賃金を上げる等の「処遇改善」を実施した事業主に対して助成する制度です。
 
社会保険は社員と会社が折半のため、社員の給与が高くなると会社の負担額も増えます。助成金により会社負担分を軽くすることが出来ます。
 
助成には7つのコースがあります。
「正社員化コース」・・・有期契約労働者等を正規雇用労働者(正社員)に引き上げた場合や、直接雇用した場合。
 
「賃金規定等改定コース」・・・全部または一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定を、増額改定した場合
 
「健康診断コース」・・・有期契約労働者等を対象に「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、4人以上に実施した場合
 
「賃金規定等共通化コース」・・・有期契約労働者等と正社員との共通の賃金規定等を新たに規定・適用した場合
 
「諸手当制度共通化コース」・・・有期契約労働者と正社員との共通の諸手当制度を新たに規定・適用した場合
 
「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」・・・社会保険の選択的適用拡大の導入に伴い、社会保険適用となる有期契約労働者等の賃金引き上げを実施した場合
 
「短時間労働者労働時間延長コース」・・・有期契約労働者等の週所定労働時間を5時間以上延長し、社会保険を適用した場合
 

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令和2年3月31日まで、支給増額、支給申請人数の枠を拡充

拡充されたのは、「短時間労働者労働時間延長コース」と「選択的適用拡大導入処遇改善コース」の2つです。短時間労働者労働時間延長コースの適用は、令和2年3月31日までは、5時間未満の延長でも基本給を一定以上昇給していれば助成の対象となります。
 
1人あたりの支給額は、平成31年4月1日以降、中小企業の場合:1時間以上2時間未満で3万8000円が4万5000円大企業の場合:1時間以上2時間未満で2万8500円が3万4500円に増額されています。
 
2時間以上3時間未満、3時間以上4時間未満、4時間以上5時間未満、5時間以上の助成金額は、1時間以上2時間未満の2倍、3倍、4倍、5倍と比例します(※生産性要件を満たせば、助成金はさらに増額されます)。
 
支給申請の人数は15人でしたが、平成31年4月1日からは45人に拡充されています。選択的適用拡大導入時処遇改善コースは、基本旧の増額割合によって助成額が変わります。
 
平成31年4月1日以降は、増額割合が、
■3%以上5%未満
中小企業:2万9000円
大企業:2万2000円
 
■5%以上7%未満
中小企業:4万7000円
大企業:3万6000円
 
以降、7%以上10%未満、10%以上14%未満、14%以上の助成金は、中小企業+1万8000円、大企業+1万4000円ずつ増加します。支給申請上限人数が30人から45人に拡充します。しかし、選択的運用拡大導入時処遇改善コースは、令和2年3月31日までの期間限定です。
 
令和2年3月31日までは、週1時間以上労働時間延長または3%以上労働者の賃金を引き上げることで有期契約労働者等が社会保険適用されれば、それぞれのコース45人まで助成金の申請が出来ます。
 

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助成金の活用には、「キャリアアップ計画」の作成が必要

しかし、助成金の支給を受けられる事業主には、要件があります。事前に、雇用保険の適用事業者が、キャリアアップ管理者を置き、労働組合等の意見を聴いてキャリアアップ計画を作成し、労働局に提出します。
 
管理労働局長の認定を受けたら、賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備して、計画期間内にキャリアアップに取り組むことが必要になります。さらに、不正防止のため、以下の条件があります。
 
■不支給になる場合
・事業所の実地調査に協力しない場合
・都道府県労働局長が指定した期日までに提出が無い場合
・不正受給をしてから5年以内
※不正受給の場合は、助成金の返還。受給した日の翌日から返還の終了まで年5%の違約金と返還額の20%の違約金が発生します。申請代理人が不正を知っていたら返還の連帯債務を負います。
 
■事業主の都合で訂正や差し換えは出来ません。
■審査に時間が掛かることもあります。
■会計検査院の検査の対象になることがあるため、支給申請書や添付書類は5年間保存の必要があります。
 
上記の支給要件等を満たしていても必ずしも支給されるのではなく、支給前年度より前に労働保険料を納入していない、支給決定時に雇用保険適用事業書の事業主でなくなった場合などは、助成金を受給出来ません。詳しくは、厚生労働省HPをご覧ください。
 
<出典>厚生労働省HP「正社員転換・待遇改善に向けた取組」
<参考>厚生労働省HP「キャリアアップ助成金」
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者
 

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