更新日: 2019.07.20 その他

【100億円規模?】ラグビーワールドカップの日本大会の経済効果っってどのぐらい?

【100億円規模?】ラグビーワールドカップの日本大会の経済効果っってどのぐらい?
今年の9月に、日本では初めてとなるラグビーワールドカップの開催が予定されており、その経済波及効果は4372億円という試算が出ています。
 
最近は「東京オリンピック2020」の話題をよく耳にしますが、こちらは東京都の試算で32兆円にもなるというケタ違いの経済波及効果が見込めるとされています。
 
でも、こうした数字が、私たちの生活の中で実感できることは少ないという声もありますよね。今回は、ラグビーワールドカップを例に、スポーツイベントの経済波及効果について考えてみたいと思います。
 
藤丸史果

執筆者:藤丸史果(ふじまる あやか)

ファイナンシャルプランナー

相続、投資信託など、身近なファイナンスを中心に活動している。

「ラグビーワールドカップ2019(TM)日本大会」の経済波及効果

野球やサッカーと違い、ラグビーにはあまりなじみがないという人も多いかもしれません。「ラグビーワールドカップ」は、4年に一度開催されるラグビー世界一決定戦のことです。
 
総務省の調査研究報告書を見ると、回を重ねるごとにその規模を拡大し、第8回となった前大会(2015 年)のイングランド大会では、世界200カ国以上でテレビ放映がされ、全試合の総観客動員数は247万人、入場料収入は約2億5000万ポンド(約465億円)に達したことがわかります。
 
公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会がまとめた「大会前経済効果分析レポート」によると、今回はその全体の経済波及効果が4372億円、国内総生産(GDP)増加分が2166億円と試算されています。
 
また、レポートに記載されている経済波及効果の計算方法は、「スタジアム等のインフラ整備、大会運営、観客による消費需要増加額を積み上げ、次に産業連関分析を用いて第一次・第二次間接効果を含めた経済効果を試算」したとしています。
 
この産業連関分析は産業連関表を用いた算出方法で、産業連関表は総務省のホームページから確認することができますが、なかなか簡単には計算できないため、私たちにはこういった数字について実感が湧かないということもあるのではないでしょうか。
 

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経済波及効果を高めるには?

今回の「ラグビーワールドカップ2019(TM)日本大会」の開催概要は次のとおりです。
 
・開催期間:2019年9月20日(金)~11月2日(土)
・試合会場:日本全国12会場(12開催都市)
・参加チーム:20チーム
・試合形式:計48試合(プール戦40試合、決勝トーナメント8試合)
 
試合の開催都市が全国に及んでいること、また開催期間が長いということがラグビーワールドカップの特徴です。開催期間が長い理由は、体力の消耗が激しく、他のスポーツと違って1週間に一度しか試合をしないためだそうです。
 
また、ラグビーファンには欧米などの高所得者層が比較的多いと言われており、訪日した外国人1人当たりが使う金額は大きいと見込まれています。
 
試合と試合の間が空くので観光する時間も多く取れますし、インバウンド消費、つまり訪日観光客による消費が、他のスポーツイベントに比べて多いことが予想されます。
 
2017年に日本政府観光局ロンドン事務所が実施した調査によると、英国のラグビーファンのうち、79.8%が訪日旅行に行ってみたいと答え、さらに60.8%がラグビーワールドカップ2019観戦のための訪日旅行に興味があるということが分かっています。
 
約2ヶ月間という長期滞在の可能性のある、経済的にも文化的にもハイレベルな訪日観光客の目に、より魅力的に映る日本の見せ方を工夫し、アピールすることは、今回のラグビーワールドカップによる経済波及効果を高める大きなポイントと考えられます。
 

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被災地の経済効果は?

今回のワールドカップ開催地の一つ、岩手県釜石市は東北大震災で甚大な被害を受けた地域の一つです。「復興オリンピック」と銘打った東京オリンピックと同様、今回のワールドカップには、震災復興を念頭に置いた政府の施策としての意味もあります。
 
2016年9月の産経ニュースの報道によれば、日本政策投資銀行と岩手経済研究所が、ラグビーワールドカップ日本大会の一部を釜石市で開催することに伴う県内への経済効果を、83億2000万円とする試算を発表しています。
 
来場者見込みについても、「来場者13万人のうち海外からは1万人、県外からは5万4千人が訪れる」とありました。国内外から来場者が訪れることを見越して、現在の釜石市近郊では、ワールドカップに向けて、インフラ整備が進んでいます。
 
今年の3月には沿岸部と内陸を結ぶ復興支援道路・釜石道(釜石自動車道)が全線開通し、同月に三陸鉄道・リアス線の運行が始まり、津波被害で不通が続いていた沿岸を結びました。住民の交通の不便さの解消にもつながり、震災後に土地を離れたものの釜石に戻りたいという人も増えています。
 
こうした例のように、数字で見たときには必ずしも大きくなくても、地域の人にとってかけがえのない意味を持つということもあるのかもしれません。
 
出典
公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会「ラグビーワールドカップ2019 大会前経済効果分析レポート」
東京都オリンピック・パラリンピック準備局「大会開催に伴う経済波及効果」
総務省「ラグビーワールドカップ2019を通じた地域活性化についての調査研究報告書」
総務省「産業連関分析について」
日本政府観光局「英国におけるラグビーワールドカップ(RWC)と 訪日旅行への関心度調査を実施しました」
横浜市「ラグビーワールドカップ2019TMに向け、英国・豪州の調査を実施 ラグビー高関心層は男性、20代、高所得層 約7割が、日本で観戦したい!」
産経ニュース2016.9.30
 
執筆者:藤丸史果
ファイナンシャルプランナー
 

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