最終更新日: 2019.01.11 公開日: 2018.11.07
暮らし

プロ野球の優勝や大きなイベント開催などでよく使われる用語「経済効果」ってどんなこと?

日本プロ野球の優勝チームは福岡ソフトバンクホークスに決まりました。ホークスファンのみなさま、おめでとうございます。

ところで、こうしてスポーツチームが優勝したときや大型人気施設のオープンしたときに合わせて、「この経済効果は●●億円!」などという記事を見ませんか? 何となく、わかったようでわからないこの「経済効果」という言葉。おさらいしてみたいと思います。
藤木俊明

Text:

Text:藤木俊明(ふじき としあき)

副業評論家

明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。

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藤木俊明

執筆者:

Text:藤木俊明(ふじき としあき)

副業評論家

明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。

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経済効果の調べかたとは?

古い記憶をたどると、「阪神タイガース優勝の経済効果」などという記事を最初に目にしたのは、関西大学大学院教授宮本勝浩氏(現在)の調査発表でした。
 
現在でも、何か大きなイベントがあるたびに、宮本教授からその経済効果について発表されることが多いようです。その宮本教授の著書『「経済効果」ってなんだろう?』(※1)から、「2003年阪神タイガースの優勝」の例を見てみたいと思います。
 
同著によると、その「経済効果」には、「直接効果」と「第1次波及効果」「第2次波及効果」があります。
 
「直接効果」とは阪神が優勝した2003年と、阪神が優勝していない前年とを比べ、阪神球団関連の売上がどれだけ増加したかになります。すると2003年には、次のように増加したと試算されています。
 
(1)観客増加にもとづく経済効果 52.4億円
(2)優勝セールの経済効果 105.6億円
(3)阪神ファンの飲食・飲酒消費の増加による経済効果 416.4億円
(4)ロゴマーク入りの阪神グッズの売上増加の経済効果 74.0億円
(5)スポーツ新聞の売上増加分の経済効果 32.4億円
(6)放映権、宣伝広告収入の増加 24.0億円
(7)尼崎信用金庫の阪神タイガース定期預金の増加による新規投資経済効果 212.4億円
 
宮本教授によると、2003年阪神タイガース優勝の「直接効果」は上記合計917.2億円ということになります。
 
さらに、その「直接効果」がさまざま他に影響を与えます。
 
宮本教授によると、この「直接効果」によって原材料部門の売上も拡大します。たとえばグッズを作る会社や食品メーカーなどに影響は及び、その「第1次波及効果」が1209.3億円になると試算されています。「直接効果」を上回る経済効果です。
 
さらに、関係する企業の役員や従業員の給与が上がるかもしれません。そうするとその人たちはお金を使うので、消費が拡大するでしょう。その「第2次波及効果」が272.0億円と試算されています。この波及効果を合計すると、2003年阪神タイガース優勝の経済波及効果(「第1次波及効果」「第2次波及効果」の合計)1481.3億円となります。
 
ちなみに宮本教授は、続く2005年の阪神タイガース優勝の経済効果についても試算していますが、その「直接効果」は375.9億円と、2003年に比べてかなり下がっています。これは前年度の数字と比較しての試算なので、2003年の優勝が久しぶりだったことに比べて、2005年の阪神優勝は少し爆発力がなくなったようです。なかなか難しいものですね。
 

総務省サイトには簡易計算ツールがある!

さて、そのような波及効果を調べるのは複雑な計算が必要です。専門家でもない限り難しいでしょう。
 
ところが総務省のサイトに「経済波及効果を計算してみましょう(平成23年産業連関表(確報)(※2)というページがあり、そこには簡易計算ツール(Excel)がダウンロードできるようになっています。
 
このExcelシートには、「飲食料品(食肉、精米、パン類、冷凍食品、酒類)」「商業(卸売、小売)」「対個人サービス(ホテル、旅館、飲食店)」などの項目が並んでおり、空白のセル「(1)新規需要額」に金額を入力すると、「波及効果」のそれぞれの項目に数字が自動計算されます。ただし、あくまで簡易計算ツールであり、実際の経済波及効果とは異なるとサイトに記されています。
 
総務省サイトの同ページには「産業連関表」の説明があります。これは、国内経済において一定期間(通常1年間)に行われた財・サービスの産業間取引を一つの行列(マトリックス)に示した統計表です。
 
もちろん、きちんとした調査は専門家にまかせるとして、統計数字を見るのが好きな人は、この統計から数字を引っ張って、ツールでいろいろ試算してみると楽しいかもしれません。 
 
※1 『「経済効果」ってなんだろう?』(宮本勝浩著/中央経済社)
※2 総務省「経済波及効果を計算してみましょう(平成23年産業連関表(確報))
※3 総務省「産業連関表」
 
Text:藤木 俊明(ふじき としあき)
副業評論家



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