更新日: 2020.04.07 その他

【増税前の疑問】消費税が10%になる前に急いで家を買う必要性はあるのか

【増税前の疑問】消費税が10%になる前に急いで家を買う必要性はあるのか
2019年10月、消費税率が上げられます。100円で2円ですが、100万円だと2万円。1000万円だと20万円。2000万円の住宅を購入される予定であれば、プラス40万円の出費になってしまいます。
 
しかし、購入して増税前の9月30日までに引き渡されるのであれば8%です(8%での請負契約の場合は2019年3月31日までで、この場合の引き渡しは10月1日過ぎても8%です)。急いだ方が良いのでしょうか?
 
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

相続診断士 
終活カウンセラー 
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

10%になってから買うと、住宅ローン減税が3年延びる

消費税10%の引き上げに対して、消費が落ち込まないように様々な対策がされています。住宅購入に関する税制改革の一つに、住宅ローン減税の拡充(3年延長)があります。
 
10年目までは現行通りで、住宅借入金の年末残高×1%ですが、11年目からは
(1)住宅借入金等年末残高(最大4000万)×1%
(2)住宅購入価格(税抜き)(最大4000万円)×2%÷3(最大26万6666円)
のうち少ない金額の方となります。2%の増税分は11年目からの3年間で取り戻せます。
 
この改正は、2019年10月1日から2020年12月31日までに「住宅の用に供した」場合に適用されます。認定住宅の場合は、10年目までは最大50万円、11年目からは最大33万3333円となります。所得税で引き切れない場合は、住民税から差し引きます。
 

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10%になってから買うと、住まい給付金が多く貰える

住まい給付金も拡充され、2021年12月31日まで延長になります。収入が一定以下で、住宅を取得し登記上の持ち分を保有すると共にその住宅に住む方が対象です。住宅ローンを利用しない現金取得者は、50歳以上の方が対象になります。
 
収入要件についても、8%の場合、都道府県民税の所得割額が6.89万円以下で30万円の給付金に対し、10%の場合は、所得割額が7.6万円以下で50万円の給付金となります。
 
住宅ローンを利用する場合は、消費税増税分を住宅ローン減税の11年目以降で埋めてしまうので、住まい給付金の対象に該当すればその分まるっと得をします。
 
例えば、都道府県所得割が7.6万円の場合、8%の時は20万円の給付になりますが、10%になれば50万円の給付に該当するため、実に30万円得をします。
 

住宅購入にもポイントが

次世代ポイント制度が創設されました。消費税が10%で、一定の性能の住宅を取得する者に、様々な商品と交換できるポイントを発行するもので、「質のいい家」を残すために住宅に投資することを喚起するものです。
 

■新築の場合(貸家を除く)

・標準ポイント/(1)から(4)に該当する場合、一戸あたり30万ポイント
(1)エコ住宅(断熱等級4又は一時エネ等級4)
(2)長持ち住宅(老化対策等級3かつ維持管理対策等級2)
(3)耐震住宅(耐震等級2を満たす住宅又は免震建築物)
(4)バリアフリー住宅(高齢者等配慮対策等級を満たす住宅)
 
・優良ポイント/(1)から(4)に該当する場合、一戸あたり5万ポイント
(1)認定長期優良住宅
(2)低炭素認定住宅
(3)性能向上計画認定住宅
(4)ZEH
・オプションポイント/家事負担軽減設備(0.9万ポイントから1.8万ポイント)や耐震性のない住宅の建て替え(15万ポイント)でポイントが付きます。一戸あたり上限35万ポイントです。既存住宅の各リフォームによりポイントが付与されます。既存住宅を購入してのリフォームはポイントが2倍になります。
 
ポイント上限は30万ポイントですが、若者・子育て世代は上限を45万ポイントに引き上げ、さらに既存住宅を購入してのリフォームは60万ポイントまで引き上げられます。若者・子育て世代以外の場合、安心R住宅を購入しリフォームすることで、45万ポイントに引き上げられます。
 

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住宅取得資金の贈与税非課税枠が拡大

父母や祖父母などの直系尊属から、自分が住む住宅の購入資金やリフォーム資金の贈与の非課税枠が拡大します(2015年1月1日以降の贈与により取得した場合に適用されます)。
 
質の高い住宅を購入した場合、2020年(令和2年。平成32年と記載されている場合もある)3月までは消費税8%だと1200万円の非課税額に対し、消費税10%だと3000万円まで拡大されます。
 
その後2021年(令和3年。平成33年と記載されている場合もある)3月までは1500万円、12月までは1200万円が非課税となります。
 
<参考>
国土交通省「消費税率の引上げに伴う4つの支援策」
財務省「平成31年度税制改正」
国土交通省 すまい給付金事務局
国土交通省「次世代住宅ポイント制度の概要」
国土交通省「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について」
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者
 

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