更新日: 2020.04.07 その他

2%の違いは大きい?消費税増税後の住宅購入の負担

執筆者 : 小山英斗

2%の違いは大きい?消費税増税後の住宅購入の負担
消費税増税がいよいよ迫ってきました。政府も「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」において、消費税率が10月に現行の8%から10%に引き上げられることを明記したようです。
 
率にして2%ですが、住宅購入などは額が大きいだけに一度の負担が大きくなります。住宅購入については引き渡しの時点で適用税率が決まり、10月以降の引き渡しでは10%の税率が適用されます。
 
ただし、例外として注文住宅購入(マンションなどの分譲契約については注文者が壁の色やドア形状など特別な注文を付加することができる場合も含む)のような請負契約の場合、10月を過ぎた引き渡しでも、今年の3月末までに請負契約が完了していれば8%の税率が適用される経過措置がありました(その3月も過ぎてしまいましたが・・・)。
 
消費税が8%のうちに住宅を購入するには、9月末までに引き渡しされるよう契約していなければなりませんが、これからそれを始めるには時間が限られています。そこで今回は、消費税増税後に、住宅購入負担は重くなるのか考えてみたいと思います。
 
小山英斗

執筆者:小山英斗(こやま ひでと)

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
https://miraiken.amebaownd.com/

国の住宅取得支援

消費税増税による住宅取得の負担増を緩和するため、いくつかの支援策が国から出されています。税金面では平成31年度の税制改正で、住宅ローン減税の拡充が盛り込まれました。
 
また、住宅取得のための資金贈与を受けた場合にかかる贈与税の非課税措置において、非課税枠の引き上げも講じられています。それ以外にも「すまい給付金」の拡充や、「次世代住宅ポイント制度」の創設があります。ひとつひとつ見ていきましょう。
 

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住宅ローン減税の拡充

住宅取得のために、10%の消費税が適用される住宅ローンを組んだ場合、住宅ローン減税の控除期間が10年間から13年間に3年間延長されます。
 
これは、2019年10月から2020年12月までの間に、居住の用に供した場合に適用となります。ただし、延長される3年間(11年目から13年目)についての控除限度額は、以下のいずれか小さい額になります。
 
(1)借入金年末残高(上限:一般住宅4000万円、認定住宅5000万円)の1%
(2)建物購入価格(上限:一般住宅4000万円、認定住宅5000万円)の2/3%

 
(2)の建物購入価格の2%を3で割っているのは、2%の増税分を、延長した3年間で戻すといった意図があるように見えます。10年後になってからやっと負担軽減の効果が得られるというのは、ちょっと気の長い話のような気もしますね。
 

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贈与税の非課税措置

住宅取得のための資金贈与を受け、取得した住宅に消費税率10%が適用される場合、2021年末まで、契約年に応じて非課税措置が講じられます。
 

 
ここでの「良質な住宅」とは、以下のいずれかに該当する住宅を指します。
 
(1)省エネルギー性能
断熱等性能等級4もしくは一次エネルギー消費量等級4以上又は省エネルギー対策等級4
 
(2)耐震性能
耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上又は免震建築物
 
(3)バリアフリー性能
高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上
 

「すまい給付金」の拡充

高所得者は所得税率が高いことから、住宅ローン減税の効果が出やすい傾向にあります。そこで、ローン減税の効果が限定的な所得層に対して、収入に応じて給付を行う「すまい給付金」という制度が作られました。
 
本制度は、消費税10%のときに拡充されます。対象は2021年末までに引き渡しを受け、入居した場合です。また、住宅ローンを利用しないで住宅を取得する現金取得者については、年齢が50才以上の方が対象となります。
 
給付額については、下記の計算式で算出されます。
給付額 = 給付基礎額 × 持分割合
 
給付基礎額(図表2)は都道府県民税の所得割額によって決まります。図表2ではわかりやすくするため「収入の目安」を参考としています。
 
【図表2】

 

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「次世代住宅ポイント制度」の創設

「次世代住宅ポイント制度」は、高い性能や一定の性能を有する住宅を税率10%で取得した場合に、さまざまな商品と交換できるポイントが発行される新しい制度です。発行されるポイント数は以下の通りです。
 

 
例えば、ポイントを以下のような商品と交換できます。
 

 
対象となる期間は以下の通りです。
 

 
ポイントは、以下の場合にも発行されます。
 
・耐震性を有しない住宅の建替
・家事負担軽減に資する設備を設置した住宅
・以下のいずれかに該当するリフォーム
(1)開口部の断熱改修
(2)外壁、屋根・天井または床の断熱改修
(3)エコ住宅設備の設置
(4)バリアフリー改修
(5)耐震改修
(6)家事負担軽減に資する設備の設置
(7)リフォーム瑕疵保険への加入
(8)インスペクションの実施
(9)若者・子育て世帯が既存住宅を購入して行う一定規模以上のリフォーム
 

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住宅購入にはライフプランの検討を含めた購入計画を

これまで見てきたように、消費税増税後の住宅購入負担を緩和するための対策はいくつか講じられているようです。ただ、対象となる期間に制約があったり、対策の効果がすぐには得られない場合があることなどには注意が必要です。
 
いずれにせよ、住宅購入は人生において大きな買い物であることに違いありません。購入のタイミングは、将来のライフプランもしっかり検討したうえで考えるようにしましょう。
 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)