更新日: 2024.10.10 その他
実家が空き家となっています。「空き家を放置すると罰則がある」と聞きましたが、処分にも費用がかかりますよね…?どうしたらいいでしょうか?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
罰則があるのは本当
「空き家に対して罰則があるのか」という疑問を持っている方は少なくないでしょう。SNSやインターネット上などでは、そのことについて触れられているところを見た人もいるかもしれません。それは本当で、空き家は放置すると罰則の対象となります。とはいえ、「空き家になったら即罰則」というわけではありません。
まずは空き家について、市区町村から助言、指導がなされます。それでも改善がなければ、勧告や命令という形で、強く改善が促されます。それでもなお改善されない場合に、罰則が科されることになります。
罰則の内容は、原則として50万円以下の過料に処される可能性があります。また、それに付随して「空き家が周囲に倒壊をはじめとする害を与えている、あるいはその可能性がある」と判断される場合には、強制撤去などの対象となる可能性もあります。
また、罰則ではありませんが、住宅として固定資産税が引き下げられる特例を適用されている場合、それが適用除外されて税金が高くなる可能性もあるため注意が必要です。
空き家になっている実家はどうしたらいい?
空き家になっている実家は、できるだけ早く解体することをおすすめします。上記のように50万円以下の過料に処されるだけではなく、周囲の家や人に被害が及べば民事上の責任が発生し、多額の損害賠償責任を負うことにもなりかねないからです。とはいえ、空き家の解体には多額のお金がかかることが想定されます。
具体的な額は広さや構造などにもよりますが、NPO法人空家・空地管理センターによると、木造の建物は1坪当たり4万円の解体費用がかかるようです。すなわち、40坪の広さの木造住宅であれば160万円ほどになることが予想されます。
そこで利用したいのが、自治体の補助金です。各自治体は空き家を問題視しており、空き家の解体に補助金を出している自治体が多くあります。参考までに、秩父市では、所定の条件に従い、最大30万円の補助金が設定されているようです。
解体以外にも使い道はある
空き家の処理といえば、一般的に解体がイメージされますが、方法はそれ以外にもあります。その一つに、空き家を賃貸物件として利用する方法があります。
「賃貸物件にする」といえば、これまでは不動産管理会社などに相談して行うのが一般的でした。
しかし現在では、誰もが安心して賃貸住宅に居住できる社会の実現を目指し、高齢者や障がいのある方など住居確保用配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する制度である「セーフティーネット制度」に登録したり、自治体が運営する空き家サイトに賃貸物件として登録したりする、などの方法もあります。
自治体によっては空き家対策に積極的なこともあるため、悩んだときは、まずは解体前に補助金の件も含め、自治体に相談してみるといいかもしれません。
まとめ
空き家は放置すると50万円以下の過料に処される可能性があり、さらに損害賠償責任を負うことになったり税金が高くなったりと、経済的に多くの不利益をもたらす可能性があります。とはいえ、空き家は処分に費用もかかります。それに対応すべく、補助金などでサポートしている自治体もあるようです。
もし、自分自身や家族が空き家について悩んでいるのであれば、一度空き家の存在する自治体に相談してみてください。
出典
秩父市 空き家解体補助金を助成します
NPO法人 空家・空地管理センター 空き家ワンストップ相談窓口 空き家の解体費用はどれくらい? 高くなるケースや抑えるコツもご紹介
執筆者:柘植輝
行政書士