更新日: 2023.03.29 その他

「仕送りしてくれないと生活できない」79歳の母から衝撃発言。援助すべき? 生活保護を受給してもらう?

「仕送りしてくれないと生活できない」79歳の母から衝撃発言。援助すべき? 生活保護を受給してもらう?
近年では、高齢者の中にも自分の力だけでは生活できず、子からの支援を必要としている方もいるようです。もし、高齢の親から「仕送りなしでは生活できない」と言われた場合、援助をするべきなのでしょうか。
 
行政書士・ファイナンシャル・プランナーである筆者に寄せられた相談から、79歳の母親から仕送りを求められたという事例を基に考えていきます。

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柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

親への扶養義務について

法律上、扶養義務については親から子に対してだけでなく、子から親に対してもあります。ただし、子が親を扶養する義務は、親が子を扶養する義務と比べると責任が軽いものになっており、生活扶助義務として、子が自らの社会的地位にふさわしい生活をした上で、余力があれば援助するという程度にとどまります。
 
この生活扶助義務には原則として親の性別や年齢は関係ないため、79歳の母親から「仕送りなしでは生活できない」と支援を求められた場合、法律的にも道義的にも可能な範囲で援助するべきだといえます。
 

親に生活保護を受けてもらうには?

親に対する扶養義務はあるものの、必ず扶養しなければならないわけではありません。そのため、自分と家族の生活で手いっぱいという場合は、親に生活保護を受けてもらうという選択肢もあります。
 
具体的には、親の収入が世帯の人数や年齢、居住地などに応じた最低生活費以下の場合に生活保護が受けられ、最低生活費を下回る金額が生活保護費として支給されます。つまり、自身の力では金銭的に生活していくことができず、かつ身内からの扶養も難しいという場合に生活保護を受けられるのです。
 
生活保護の申請は親自身が行うこともできますが、行政書士といった専門家のサポートも受けられます。特に79歳で高齢という場合ならば、判断力などの問題からも専門家の力を借りつつ、生活保護の申請をした方がいいケースも多いでしょう。
 

生活保護の受給には審査が必要

生活保護は、申請すれば必ず受けられるというものではありません。まずは、親が住んでいる自治体の福祉事務所に相談した上で、生活保護の申請をすることになり、申請後は福祉事務所による調査が行われます。
 
調査は収入だけではなく、保有する資産についても対象となります。例えば、収入が最低生活費以下でも、預貯金のほか不動産や株式、その他の換価できる資産があれば、審査の上、まずはそれらを活用して生活するように促され、生活保護を受けられない可能性があります。
 
また、居住する地域や生活状況などにもよりますが、車や不動産などの保有が制限されることもあります。
 
生活保護の審査は年々厳しくなっているとの声もあり、特に扶養できるだけの資力を有する兄弟姉妹や子、孫などがいる場合は、簡単に受けられるとは限りません。最後の手段として生活保護を頼ることは間違いではありませんが、所定の手続きと審査を要することを知っておいてください。
 

親を扶養に入れることも検討するべき


 
親に仕送りなどの支援はできないが、生活保護には頼りたくない、あるいは頼ってほしくないという場合には、親と同居して扶養するという方法があります。
 
79歳の親を扶養に入れることで、自身の収入に応じて所得税や住民税の節税ができます。金銭面のみに限っていえば、同居によって、仕送りするよりも少ない金額で親を扶養できる可能性もあります。
 
参考までに、年収400万円程度の方で所得税率5%、住民税10%として節税効果を試算すると、79歳の親と同居して扶養に入れた場合、所得税は2万9000円、住民税は4万5000円ほど節税できます。
 
なお、同居ではなく扶養に入れて仕送りをした場合でも、所得税は2万4000円、住民税では3万8000円ほどの節税となるでしょう。
 

親の支援が難しければ、生活保護の申請もやむなし

79歳の母親から支援を求められたという今回の事例では、年齢的にも自身で生活の基盤を立て直すことは難しいため、基本的には扶養義務に基づき、同居や仕送りなどで支援をするべきでしょう。
 
とはいえ、支援が難しい場合は生活保護を頼るほかありません。親の生活を援助するか、それとも生活保護を頼るかは、家計の状況や個別の事情などを含めて総合的に判断し、親とも話し合った上で決めることをおすすめします。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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