更新日: 2020.05.25 暮らし

一般人でもハワイに別荘を所有できる? 他人と共有する「タイムシェア」の落とし穴

執筆者 : 岩永真理

日本人に人気の海外旅行先の一つはハワイです。海辺のリゾートではマリンスポーツやアクティビティができ、ホノルルではショッピングやグルメも楽しめ、ホテルやショッピングセンターには日本語のヘルプデスクなどもあることから、子どもからお年寄りまで、安心して過ごすことができるのは大きな魅力といえます。
 
そんな楽園に別荘を持つことに、憧れる人が多いのも当然です。ただ、一年中過ごすわけではない別荘かつ海外ともなれば勝手も異なり、かかる費用やリスクも大きいでしょう。
 
そこで、1年を52週として、1週間滞在する持ち分(物件価格の1/52)だけを負担して、他人と共同で部屋を持つというタイムシェアのコンセプトが気になります。タイムシェアなら一般の人でも手が届きそうですが、実際にはどうなのでしょうか。
 
岩永真理

執筆者:

執筆者:岩永真理(いわなが まり)

一級ファイナンシャル・プランニング技能士

CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/

岩永真理

執筆者:

執筆者:岩永真理(いわなが まり)

一級ファイナンシャル・プランニング技能士

CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/

例えばヒルトンバケーションクラブでは?

ワイキキにハワイアンビレッジという、いわば村のような一大リゾートを持つヒルトンホテルグループは、ビーチに面したリゾート内に5つの高層ホテルや、プール、レストラン、商店などがあり、ここにタイムシェア用の高層を含むコンドミニアムも併設しています。ヒルトンのタイムシェアはバケーションクラブと呼ばれます。
 
日本でもバケーションクラブの購入勧誘が行われていて、説明会に出席するだけで、特典としてハワイのヒルトン系列ホテルのスタンダードルーム1室に3連泊する招待券を受け取ることができます。
 
ただし、2019年8月現在、この特典で宿泊できるオアフ島のホテルは、バケーションクラブの施設があるリゾート(ハワイアンビレッジ)ではないので、バケーションクラブの視察という位置づけにはなりません。
 
もし現地で視察をしたいならば、ハワイアンビレッジ内のホテルへ自分で宿泊し、宿泊中にバケーションクラブの物件の下見を申し込むことができます。ハワイアンビレッジの宿泊客なら、特典として無料でリゾート内のクルーズにも参加できます。
 
ヒルトンバケーションクラブは、コンドミニアムの利用権ではなく、「所有権」を販売しています。従って、コンドミニアムの1室を持ち分比率に応じて現地で登記し、所有することになります。そのため、自分の子孫に譲渡や相続をすることも可能です。

ヒルトンバケーションクラブのお値段は?

ヒルトンバケーションクラブ購入の方法は
 
1、ヒルトングループ自身が販売するルート
2、ヒルトンから買った客が現地不動産屋を通じて再販売するルート(リセール)
 
の2通りがあります。
 
海外の不動産登記がよくわからない日本人からすると、1のルートから買うほうが安心感はあります。ただ、新築で販売開始となってから年数が経過すると在庫が少ない場合、需要が多いと値段が高い可能性もあります。
 
部屋の眺めや広さ、オンシーズン・オフシーズンどちらに利用するか、毎年決まった時期に利用したいか否か、などにより値段が変わります。
 
例えば、ヒルトングループから直接購入する場合(2019年8月現在)、自分の好きな時期に予約を入れることができ、オンシーズンで利用する条件で、ワイキキのハワイアンビレッジ内にある2017年3月にオープンのコンドミニアムでは、海の見える1LDKプレミアという部屋が約11万ドル(1200万円・1ドル=108円換算)です。
 
2LDKの広さの部屋になると、約14万ドル(約1500万円・1ドル=108円換算)です。毎年ではなく2年に1回利用するプランであれば、1LDKで上記条件では約7万2000ドル(約780万円・1ドル=108円換算)になります。
 
このほか、購入時には約760ドル(約8万円・1ドル=108円換算)の登記費用がかかります。加えて、毎年の固定資産税などを含む年間管理費として1570ドル(約17万円・1ドル=108円換算)を支払う必要があります。
 
年間管理費は今後上昇する可能性もあります。2LDKなど部屋の数が多くなれば、年間管理費も2000ドル(約22万円・1ドル=108円換算)です。
 
仮に、購入価格1200万円、登記費用約8万円の1LDKの部屋をバケーションクラブから購入し、年間管理費17万円が変動しなかった場合、10年間の支払合計額は1378万円、1年あたりの費用は約138万円、20年間の支払合計額は1548万円、1年あたりの費用は約77万円になります。
 
ヒルトンバケーションクラブの使い勝手が良い点は、自分の買った部屋に必ず毎年7泊しなければならないわけではなく、部屋ごとに1年間に付与されるポイント数が決まっていて、そのポイント内であれば、格上の部屋を少し短く3泊で利用する、あるいは国内外の提携施設を利用する、ヒルトンホテルのポイントに交換してホテルを利用する、なども可能です。

注意すべき点は?

長く保有すれば、1年あたりのコストは低くなりますが、年間管理費は毎年支払う必要があります。支払いはすべてUSドルベースですので、USドルベースで変動がなくても、日本円との為替変動の影響は受けることになります。
 
途中で売却をしたいと思っても、ヒルトングループで買い取ることはしていませんので、信用できる現地不動産屋を選び仲介してもらう必要があります。一般には、購入した金額以上で売ることは難しく、購入金額の3割程度で売れればよい、という意見もあります。
 
従って、あくまでも個人利用目的で購入の検討をすべきで、投資目的では難しいと考えるべきでしょう。
 
では、逆に購入時は金額の下がった中古市場(リセール)で買えば安く手に入れることができるのではないか、とも考えられますが、リセールは築年数が古い物件になることもあり、現地不動産屋によってもサービスや価格にばらつきがあるので、信頼できる不動産業者を利用できるかどうかがポイントです。
 
子孫へ譲渡や相続ができますが、長期間経過後はコンドミニアムの劣化も進む可能性もあり、将来の資産価値がどうなるかを予想するのは簡単ではありません。
 
何世代も連続して保有することを前提にしてしまうと、そのころには年間管理費が膨大になっている可能性もあり、これは海外の別荘に限ったことではありませんが、負の遺産になるとも限りません。
 
自分世代と次世代程度での範囲で利用を検討し、その後は仮に無価値に等しい価格となっても手放すくらいの覚悟があるとよいかもしれません。
具体的には、下記を検討してみてもよいでしょう。
 
・あと何年(何回)くらい旅行する予定があるのか
・旅行の宿泊費は1年あたりいくらくらいかけたいのか
・旅行先はハワイ以外に行く可能性はあるのか、あれば提携先は自分の行きたいところを含むか
・家族や友人たちと予定を合わせることは難しくないか
など。
 
タイムシェアは、ある意味、将来の旅行の宿泊施設への前払いです。加えて毎年管理費用が発生します。説明会や見学をしてその場で即決せずに、少し考える時間を持ってからでもよいでしょう。
 
執筆者:岩永真理
一級ファイナンシャル・プランニング技能士