更新日: 2019.08.29 その他

働く気のないニートの兄、実家から出ていかない… ひどい場合、追い出したら罪に問われる?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 石垣美帆

働く気のないニートの兄、実家から出ていかない… ひどい場合、追い出したら罪に問われる?
ニート・ひきこもりの問題は、誰にとってもひとごとではありません。
 
説得が通じるようなケースばかりではなく、強制的に自立を促さなくてはいけないことあります。しかし、無理やり家から追い出すことは、法律的に問題ないのでしょうか?
 
今回は長年実家に住み続けるニートの兄に頭を悩ませているAくんの例を見てみましょう。
 
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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石垣美帆

監修:石垣美帆(いしがき みほ)

弁護士

中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。

15~34歳の若年無業者、いわゆるニートは56万人。中でも30~34歳が最も多い

内閣府の調べによると、若年無業者(15~34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者)の数は平成14年に大きく増加。平成16年は56万人と、平成14年以降ほぼ横ばいです。
 
年齢階級別では、15~19歳が8万人、20~24歳が14万人、25~29歳が16万人、30~34歳が18万人。30~34歳が最も多くなっています。
 
就業希望の若年無業者が求職活動をしていない理由は、「病気・けがのため」を選んだ割合が最も多く、15~19歳では「学校以外で進学や資格取得などの勉強をしている」という理由も多く見られました。
 
参考URL:「平成27年版 子ども・若者白書(全体版)」第2節 若年無業者、フリーター、ひきこもり
http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h27honpen/b1_04_02.html
 

40歳を過ぎても親の年金をあてにするニートの兄を追い出したい

会社員Aくんの兄Fさんは、実家暮らしのいわゆるニートです。
 
Fさんは健康ですが、新卒で入社した会社を3カ月で辞めてから、40歳を過ぎた今まで両親に養ってもらっています。
 
Fさんは家事も全く手伝わず、両親の年金をあてに生活しています。
 
Aさんは何度もFさんに働くように促しましたが、Fさんは「人の下で働くのは無理」と聞く耳を持ちません。
 
両親は70代。Aさんは両親が亡くなった後、Fさんが1人で生きていけるのかと心配しています。
 
Aさんは両親と話し合い、これ以上働かずにただ家に居座るつもりであれば、Fさんを実家から追い出そうと決めました。最低限必要なものと、しばらく食べ物に困らないだけのお金は渡すつもりです。
 
※物語はフィクションです
 

ニートの家族を家から追い出すことは、罪に問われないのでしょうか。東京桜橋法律事務所の石垣美帆弁護士にお伺いしました。

成人している場合、親に住まわせてもらっている家から追い出すことは可能です。
 
ただし、相手が未成年、障がいがある、病気、老人である場合は保護責任が生じます。働ける状態の成年は保護する必要がないため、追い出したとしても罪にならない可能性が高いでしょう。しかし、家に登記上権利があれば問題になります。
 

罪には問われない可能性が高いが、個人の性質やその原因によって解決策はケース・バイ・ケース

ニートの家族を無理やり家から追い出しても、罪には問われない可能性が高いことが分かりました。ただ、いくら迷惑を被っていたとしても、家族を追い出すのは心苦しく感じる人もいるでしょう。
 
ニートやひきこもりは解決が難しい問題であり、いまだに「これ」といった解決策はありません。個人の性質や、その原因によって、取るべき対応もケース・バイ・ケースです。
 
身近にいる家族だからこそ、その人にとってどのような解決策が望ましいのかを見極め、早めの解決へと導くことができれば良いですね。
 
Text:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:石垣 美帆(いしがき みほ)
弁護士
中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。


 

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