更新日: 2019.09.18 その他

説明と違う!借りた部屋が聞いていた話と違う場合は契約を無効にできるのか

説明と違う!借りた部屋が聞いていた話と違う場合は契約を無効にできるのか
新居に実際に暮らしてみると、「思っていたのと違う」と感じることはありませんか?
 
どんな物件にも、実際に生活してみないと分からない点はあります。しかし、不動産屋さんが「ここは静かな物件だよ」と言ったにも関わらず、実際はものすごくうるさい物件だった場合、契約解除や返金をしてもらうことはできるのでしょうか。
 
R子さんの例を見てみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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石垣美帆

監修:石垣美帆(いしがき みほ)

弁護士

中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。

新居は「静かな部屋」を重要視したR子さん。住んでみたら、不動産屋さんの話と全然違って…

会社員のR子さん(25歳)は転勤を機に、新しい土地に住居を借りることになりました。
 
R子さんは以前、隣人の生活音に悩まされたことがあったので、「静かな場所、部屋」を条件に部屋探しを始めました。
 
休日の昼間に、R子さんは地元の不動産屋さんと一緒に内見に向かいました。R子さんが訪れたアパートは築浅で、設備も新しくきれいです。
 
R子さんが静かな物件を重要視していることを不動産屋さんに伝えると、不動産屋さんは「ここなら作りもしっかりしているし、住んでいる人からも静かで快適と聞いているから絶対大丈夫」と太鼓判を押しました。
 
内見した限り、周りも静かで防音にも問題が無いように感じたことと、会社からなるべく早く家を決めるよう言われていたことから、R子さんはその物件に決めました。
 
R子さんが新居に住み始めて2日。問題が起こりました。
 
夜になると、驚くほど隣の家の生活音がうるさいのです。隣人がテレビをつけると、何の番組か分かりますし、人が来ている時は話し声で男性か女性かも分かりました。
 
おそらく、壁はかなり薄かったのだと思われます。
 
また、近くに病院があり、頻繁に救急車のサイレンが鳴り響きました。
 
R子さんは念入りに調べておかなかったことを反省しました。ただ、不動産屋さんの話を思い出すと少しだまされたような気持ちです。
 
※物語はフィクションです
 

借りた部屋の事前の説明が実際と異なる場合、契約を無効にすることはできるのでしょうか。東京桜橋法律事務所の石垣美帆弁護士にお伺いしました。

契約解除できる可能性が高いです。個人の契約であれば、消費者契約法で取り消しにすることができます。
 
もし「静かだ」と大家が言ったのであれば消費者契約法4条、仲介業者が言ったのであれば5条を根拠に、契約取り消しが可能です。契約時、敷金、礼金、頭金、仲介料など、かかった費用は全て取り返すことができます。
 
また、事前にきちんと説明していなかったとして「説明義務違反」の損害賠償請求、今の部屋から新しい部屋への引っ越し代(本来、部屋が決まって入ればかからなかった費用が対象)を請求することも可能です。
 
ただし、次の部屋でかかる敷金礼金まで請求することは難しいでしょう。
 
契約解除の場合、手続きとして書面でやり取りをします。「こう聞いていたのに、事実と異なります。契約を取り消します。」という内容を、6カ月以内に内容証明郵便で送る必要があります。
 
内容証明郵便は自分でも作成することができますが、弁護士などの専門家に依頼する場合、費用は交渉込みで相場として10万円+成功報酬などになります。
 
これは事務所によってかなり幅があり、作成のみであれば2~3万円程度と思われます。
 

契約解除は可能。不動産屋さんの説明だけでなく、自分の目で見て慎重に決めよう

借りた部屋の事前の説明が実際と異なる場合、契約を解除することが可能だということが分かりました。また、「説明義務違反」の損害賠償や、引っ越し代も出してもらえる可能性があるとのことです。
 
もし不動産屋さんにだまされてしまったとしても、お金が返ってくるというのは安心ですね。しかし、返金の手続きや、再度の引っ越しは時間も労力もかかります。引っ越しは一発で良い物件を選びたいですよね。
 
R子さんのように騒音を避けたい場合は、時間や曜日をずらして何回か内見することも有効です。引っ越しをする際は、不動産屋さんの説明だけでなく、自分の目でしっかりと見て慎重に決めましょう。
 
Text:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:石垣 美帆(いしがき みほ)
弁護士
中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。


 

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