更新日: 2019.08.27 その他

兄が勝手に親のお金を使い込んでいた 罪に問うことはできるのか

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 豊田賢治

兄が勝手に親のお金を使い込んでいた 罪に問うことはできるのか
親が高齢になると子供に財産管理を任せることもありますが、財産管理を頼まれた子供が親のお金を勝手に使い込んでしまうことがあるようです。
 
兄弟の内、親と同居しているほうの子供が、親の口座からこっそりお金を引き出して使い込んでしまうなど…このようなケースは、使い込んだ人を罪に問うことができるのでしょうか。

FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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豊田賢治

監修:豊田賢治(とよた けんじ)

弁護士

開成高校卒、東京大学法学部卒。弁護士登録後、大手渉外法律事務所、外資系法律事務所での勤務を経て独立。現在は弁護士16名を擁する東京桜橋法律事務所の所長として、多数の企業や個人の法務顧問として活動。どんな相談に対しても「わからない」とは言わないことをスタンスに、日々クライアントのために奮闘中。
【東京桜橋法律事務所】

子供が勝手に親のお金を使い込むケースについて、東京桜橋法律事務所の豊田賢治弁護士にお伺いしました。

刑法には特例があり、配偶者、親子、同居の親族の間においては、窃盗などの罪について刑が免除されます。つまり、現実には、刑事事件になることはありません。
 
例えば、同居している長男が親のお金を勝手に使い込んでいて、同居していない次男がそれに気付いた場合、いくら次男が警察にねじ込んでも、警察は動いてくれないことになります。
 
もっとも、民事は別論です。お金を使い込まれた親は、当然使い込んだ長男に対して返還を請求することができます。
 
ただ、親が認知症であったりすると、現実にはそのような返還請求をすることを期待することはできません。かといって、次男が親の代わりに長男に返還を請求することはできません。
 

親が亡くなってから発覚するケースが多いが、いつ何に使ったかは立証が難しい

このような使い込みのケースは、親が亡くなった後に発覚してトラブルになることが多いです。
 
使い込みが明らかであれば、相続人となった次男が長男の責任を追及することが可能です。しかし、実際には使い込みの事実を明らかにすることができないことが多いようです。
 
親の預金から現金で下ろされているような場合、「親のために使った」と言われてしまえば、それ以上どうすることもできません。
 

成年後見人がお金を使い込んだ場合はより悪質とされる

自身の財産管理ができなくなった人のために成年後見人を付ける制度があります。
 
しかし、残念ながら、成年後見人になった親族がお金を使い込んでしまうケースも多くあります。
 

財産管理を頼まれたら、最後の親孝行だと思って成し遂げよう

お金の使い込みがあっても、親族間では罪に問うことが難しいと分かりました。
 
子供を信頼して財産管理をお願いしたのに、そのお金をこっそり使い込まれてしまうとは悲しい話ですね。最期くらい親孝行をしたいものです。
 
もし、財産管理や成年後見人を任せられたら、親から信頼を得たという誇りと責任を持って成し遂げましょう。
 
また、日ごろから親の周りにいる親族に親のことを任せっきりにせず、こまめに連絡をとることで問題を未然に防げるかもしれません。
 
親のためだけではなく、自分のためにも、親とその周りの環境には気を配っておいて損はないでしょう。
 
Text:井田 正幸(いだ まさゆき)
ファイナンシャルプランナー
監修:豊田 賢治 (とよた けんじ)弁護士
東京桜橋法律事務所 所長 http://tksb.jp/

弁護士登録後、大手渉外法律事務所、外資系法律事務所での勤務を経て独立。
現在は弁護士16名を擁する東京桜橋法律事務所の所長として、多数の企業や個人の法務顧問として活動


 

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