更新日: 2020.05.25 その他

トランプ大統領の『あの』発言で話題のイスラエル。なぜ日本よりも幸福度が高いのか

執筆者 : 小泉大輔

トランプ大統領の『あの』発言で話題のイスラエル。なぜ日本よりも幸福度が高いのか
昨年の暮れ、アメリカのトランプ大統領の「エルサレムをイスラエルの首都と認定する」との発言が、世界中で大きな波紋を呼んでいます。

連日メディアで報道され、イスラエルの紛争や対立のニュース映像が流れていることもあり、イスラエルの経済状況は不安定で、生活も厳しいというイメージを持たれた人も多いのではないでしょうか。

しかし、意外にも国民の幸福度は高いという調査結果が出ています。「世界幸福度ランキング(ワールドハピネスレポート)2017」では、155ヵ国を対象にした中で11位にランクインしています。ちなみに日本の順位は51位でした。

日本以上に格差があり、貧困層も多いといわれるイスラエルですが、なぜこれほどまでに幸福度が高いのでしょうか。その謎に迫ってみようと思います。
参考資料:「World Happiness Report 2017」
https://s3.amazonaws.com/sdsn-whr2017/StatisticalAppendixWHR2017.pdf

小泉大輔

執筆者:小泉大輔(こいずみ だいすけ)

株式会社オーナーズブレイン 代表取締役

公認会計士・税理士
1970年東京都生まれ。上智大学経済学部卒業後、公認会計士となり、朝日監査法人(現在:あずさ監査法人)で監査実務、及び、M&A,株式上場支援に携わる。
2003年に、独立し、(株)オーナーズブレインを立ち上げ、現在は代表取締役であるとともに、2社の上場会社の役員も兼任する。共著著書に『コーポレート・ガバナンス報告書 分析と実務』2007年4月(共著、中央経済社)』DVD『できるビジネスマンDVD+財務諸表チェックのキモ』 200年7月(創己塾出版)がある。
http://ownersbrain.com/

大部分の貧困層をハイテク産業が支えるイスラエルの現状

イスラエルには、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の3大宗教にとっての聖地エルサレムがあり、様々な民族が暮らしています。その内訳は、75%がユダヤ人、20%がアラブ人、5%がアルメニア人と、その多くはユダヤ教信者が占めています。
 
もちろん、GDP(国内総生産)では、日本は、約540兆円と世界第三位で、約35兆のイスラエルより大きく上回りますが、1人当たりのGDP(国内総生産)では、2014年以降、日本は抜かれ、2016年度でも、日本が約425万円(38,640米ドル)に対して、イスラエルは、約427万円(38,788米ドル)とわずかながらリードされています。
 
このように1人当たりの名目GDPが高く、生産性が高い理由としては、国民の教育レベルが高く、起業家精神にあふれ、研究開発費は対GDP比でトップレベルの水準であること、そしてこのようなことから、ハイテク・IT分野の高付加価値サービス・製品を扱う企業が多く存在することが考えられます。とくに、最近では、毎年1000社以上のスタートアップが生まれ、中東のシリコンバレーともいわれています。
 
しかしながら、ハイテク・IT産業の労働人口は、実は10%以下です。もちろん、IT産業以外でも、ダイヤモンドの研磨加工業のように、世界の中心的なシェアを占める産業もありますが、国民の9割以上は生産性が低い伝統産業で稼いでいるいびつな状況です。また、消費税が17%と高く、決して生活は豊かではないようです。
 
参考URL:総務省統計局「世界の統計」,P65,3-3 1人当たり国内総生産(名目GDP,米ドル表示)(1)
http://www.stat.go.jp/data/sekai/pdf/2016al.pdf

JETRO「イスラエル」
https://www.jetro.go.jp/world/middle_east/il/basic_01.html
 

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幸福度が高い理由はメンタルの強さにあり

決して生活が豊かとはいえないにも関わらず、なぜ幸福度が高いのか、その理由はどうやらメンタルの強さにあるようです。
 
2000年前、ローマ帝国に支配され、ユダヤ人は国を失いました。この2000年もの間、行き場を失い、迫害を受け続けてきた民族であるため、何もない中でどうやって生きていくかというハングリー精神が旺盛です。このため、辛いことがあっても落ち込まないタフさがあり、自殺率もほぼゼロだそうです。
 
また、国を失いバラバラになりながらも、助け合うことで迫害を逃れてきた歴史もあり、他国で頑張っているユダヤ人との結束力が強いそうです。このような点から、他の国の人と比べて幸せを感じやすい国民性だといいます。
 

ユダヤ人が「タルムード」から学ぶお金に関する知恵

メンタルの強さの要因は教育の影響もあるようです。
 
イスラエルは、地理的には中東に位置しますが、石油資源に恵まれず、オイルマネーを享受することができない国です。そのため、人材こそが資源と捉えて教育にとことん力をいれています。イスラエルの教育方針は、「何とかなる」、「できないはずがない」と、とてもチャレンジすることにフォーカスされ、逆に日本に見られる“協調性”というキーワードは当たりません。
 
中でもユダヤ人のお金に関する教育は特徴的です。商売上手といわれがちなユダヤ人は、小さなころから家庭でお金に関する教育を受けています。聖書をベースとしたユダヤ教の経典「タルムード」が生活の知恵として、ユダヤの家庭では脈々と受け継がれているのです。
 
タルムードにはお金に関する知恵が事細かに記載されています。以下のような格言も多数存在します。
 
・金は道具であり、道具に支配される者などいない。
だから、道具はできるだけ多く持っておくべきだ。
・金は、本質以外なら何でも買える。しかし、知性だけは買うことができない。
・金はなくしても何も失わないが、誇りをなくせば多くを、勇気をなくせばすべてを失う。
 

幸福であることと、お金に関する教育は密接な関係にある

イスラエル国民の幸福度が高い要因は、生きていくうえでのハングリー精神と、お金に対する教育がしっかりしている部分にあることが分かりました。
 
単なるお金儲けの知恵だけではなく、お金とどう付き合うかなどお金に対する考え方もタルムードから学んでいるユダヤ人。私たち日本人も、小さいうちからそういったお金に関する教育を受けてもいいのかもしれませんね。
 
Text:小泉 大輔(こいずみ だいすけ)
株式会社オーナーズブレイン 代表取締役 / 公認会計士・税理士