更新日: 2020.04.22 損害保険

割高に感じられる地震保険。都道府県別の契約割合はどれくらい?

割高に感じられる地震保険。都道府県別の契約割合はどれくらい?
保険料に対して、割高感をもつ人の多いのが地震保険です。契約したほうが安心だけど、保険料が……と、気にしている方、いらっしゃいませんか? いったい、どのくらいの人が地震保険を契約しているのでしょうか。 
 
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

火災保険に地震保険をセットしている人の多い都道府県

ご存じのとおり地震保険は、「地震保険だけ」で契約することはできず、地震保険は必ず火災保険とセットで契約することになります。
 
日本損害保険協会から「地震保険 都道府県別付帯率の推移」(※)という統計が公表されており、火災保険を契約している方のうち、地震保険を契約している人の割合が都道府県別にまとめられています。
 
この統計の2018年度を見ると、全国では火災保険契約者の65.2%が地震保険を契約しています。火災保険の契約者のうち、地震保険を契約している割合が最も高い都道府県は宮城県で、その割合は86.8%です。
 
宮城県というと、2011年の東日本大震災で大きな被害を受けており、現在の耐震基準のきっかけになった1978年の宮城県沖地震も起きています。そのため、県民の皆さんの地震保険への意識も高いのでしょう。
 
続いて、火災保険の契約者のうち、地震保険を契約している割合が高いのは高知県で86.2%です。宮城県とは僅差です。
 
高知県といえば、南海トラフ地震の想定震源域です。過去の南海トラフ付近を震源とする地震は、100年から150年ごとに発生しているといわれているので、やはり県民の皆さんの意識も高いのでしょう。
 
火災保険の契約者のうち、地震保険を契約している割合が8割を超えている県は、宮崎県81.4%、鹿児島県80.3%、熊本県80.0%と、いずれも九州です。宮崎県では1968年に日向灘地震が起き、高知県と同じく南海トラフ地震の想定震源域になっています。
 
鹿児島県も熊本県も、ともに2002年度以後、地震保険を契約している割合が右肩上がりで伸びています。特筆するべきは熊本県です。2015年度63.8%に対し、2016年度は74.3%に伸びています。10%を超える伸びです。
 
これは2016年4月に発生した熊本地震が影響していると思われます。

東京は意外と少ない?

東京都は意外な印象です。火災保険の契約者のうち、地震保険を契約しているのは59.7%と、6割をわずかに切り、平均を大きく下回っています。
 
東京都は今まさに、高層マンションの建設ラッシュ。住宅ローンなどに併せて、火災保険を契約することも多いと思います。
 
しかし、地震保険まで契約してしまうと、マンション購入に伴う初期費用がかさんでしまうので、地震保険までは契約しない。そもそも新しいマンションなら、地震への備えも最新の建築技術で万全。ということであれば地震保険は不要、と考える人が多いのかもしれません。
 
地震保険の保険金総支払限度額は「関東大震災規模の地震の再来」を想定しているとのことです。その関東大震災で最も被害のあった東京都が、地震保険の契約者の割合が少なくなっているのが現状です。
 
(※)一般社団法人日本損害保険協会 地震保険 都道府県別付帯率の推移
 
(参考)
林野庁 木造住宅の耐震性について
南海地震と南海トラフ地震
気象庁 平成28年(2016年)熊本地震の関連情報
日本地震再保険株式会社 地震保険のしくみ
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役


 

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