更新日: 2020.03.29 損害保険
【相談事例】賃貸アパートや賃貸マンションに住んでいますが、地震保険を契約できますか?
また、賃貸アパートや賃貸マンションの契約更新を検討されている方もいらっしゃるでしょう。契約更新に伴う手続きといえば、賃貸借契約書の取り交わしや内容の確認と併せて、火災保険を更新される方も多いと思います。
筆者の元に「賃貸アパートや賃貸マンションに住んでいる人が地震保険を契約できますか?」とご相談に来られた方がいらっしゃいました。今回は、賃貸アパート・マンションの地震保険の契約について考えてみます。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
なぜ、火災保険を契約するのか?
賃貸アパート・マンションにお住まいの方は、なぜ、火災保険を契約しなくてはならないのでしょうか?
建物はオーナー(=大家)の所有物です。しかし、入居される時に部屋に持ち込むタンス、食器、それに現金などの家具と財産、すなわち家財は入居者の物です。このことから、賃貸アパート・マンションにお住まいの方でも、家財の火災保険を契約することになります。
賃貸アパート・マンションにお住まいの方が契約する家財の火災保険は、少額短期保険会社と契約するケースがほとんどです。火災保険の特約に、個人賠償責任保険や借家人賠償特約などがセットされている場合が多いでしょう。しかし、地震保険の特約がないこともあるようです。
「少額短期保険会社」とは?
そもそも少額短期保険とは、「保険金額の合計額上限が1000万円(損害保険商品の場合)」の少額、「契約期間が2年間(損害保険商品の場合)」の短期、つまり少額・短期に特化した保険商品です。
少額短期保険を取り扱う会社は、2018年度末(=2019年3月31日)現在で101社にのぼり、うち48社が家財の少額短期保険会社です。また、少額短期保険の契約シェアの84%が家財の少額短期保険会社です。
この家財の少額短期保険会社が、賃貸アパート・マンションにお住まいの方向けの家財の火災保険を取り扱っています。
賃貸アパート・マンションに住む人は地震保険を契約することができるのか?
では、賃貸アパート・マンションに住む人は、地震保険を契約することができるのでしょうか。
そもそも地震保険とは、「主契約となっている火災保険」にセットするカタチで契約します。ちなみに、主契約となっている火災保険は「家財のみ」の契約でも問題ありません。つまり、賃貸アパート・マンションに住む人は地震保険を契約できます。
しかし、この主契約となっている火災保険の会社が少額短期保険会社の場合、地震保険を契約できません。
なぜなら、地震保険は損害保険会社のみで取り扱われており、少額短期保険会社では地震保険を取り扱っていないからです。主契約となっている火災保険の会社が損害保険会社ですと、地震保険を契約することも可能です。
まとめに代えて
賃貸アパート・マンションの契約手続きを行う際に、火災保険の契約も同時に行うことが多いと思います。その火災保険は、オーナー(=大家)や不動産会社が指定することもあるでしょう。
指定された火災保険が少額短期保険会社の場合は、先述のとおり、地震保険を契約できません。
しかし、契約時に不動産会社などにたずねてみると、「火災保険は他所でも構いません」という答えが返ってくる場合もあるようです。地震保険を希望される方は、問い合わせをしてみると良いかもしれません。
(引用・出典)
一般社団法人 日本少額短期保険協会「少額短期保険業とは」
一般社団法人 日本少額短期保険協会「2018 年度 少額短期保険業界の決算概況について」
一般社団法人 日本損害保険協会「「建物」に、地震保険。「家財」にも、地震保険。」
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役