更新日: 2020.03.28 その他保険
東京都で自転車保険等の加入が義務化。どんな保険に入ればいい?
この条例は、私たちの生活にどう影響するのでしょうか?そして、自転車を利用する人はどんな保険に入ればいいのでしょうか?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
自転車保険への加入が義務付けられるのはどんな人?
2020年4月から、東京都では自転車の利用者に対し、自転車利用中の事故によって生じる、他人の生命や身体の損害を賠償できる保険(自転車保険等)への加入が義務付けられました。
注意したいのは、あくまでも東京都で自転車を利用する人に自転車保険等(以下、自転車保険とします)への加入が義務付けられている点です。
そのため、普段は他の都道府県に住んでいるが仕事や学業などにより東京都内で自転車を運転するという場合も自転車保険に加入しなければなりません。大人はもちろん、未成年の子どもも対象となります。
自転車保険等への加入が義務付けられた理由とは?
自転車保険の加入義務化の理由は、条例の改正にあります。近年では自転車による事故が社会問題化し、高額な賠償金の支払いを命ずる判決などが増えてきました。
しかしながら、自動車とは異なり、自転車を運転する場合の保険加入は一般的でなく、賠償金の支払いが問題視されるようになりました。
そこで東京都では、「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」(※1)を改正し、自転車を運転する場合に自転車保険への加入を義務付けたのです。これは東京都が制定する条例であるため、適用されるのは東京都内に限定されます。
自転車保険等って具体的にどんな保険?
実は、東京都が加入を義務付ける自転車保険という名称の保険は存在しません。名称を問わず、自転車の事故によって生じる他人の生命または身体に対する損害の賠償を補償する保険を自転車保険と総称しています。
そのため、この条件を満たす保険に加入していれば、自転車保険への加入義務を果たしたといえるのです。なお、財産に対する損害を賠償する保険については努力義務とされています。
自分が加入している保険は自転車保険か? チェック項目
下記のような保険に加入しており、かつ、その保険契約の内容あるいは特約において、個人または同居の家族が日常生活で誤って他人にけがを負わせ、法律上の損害賠償責任を負担した場合、損害を補償するといったような内容が含まれていれば、自転車保険の加入義務を満たしているといえます(※2)。
(1)自転車保険などの名称で販売されている傷害保険とセットになっている商品
(2)自動車保険の特約
(3)火災保険の特約
(4)傷害保険の特約
(5)クレジットカードなどに付帯する保険
(6)会社や学校、交通安全協会を通じて加入する保険
(7)TSマーク付帯保険(点検日から1年以内が有効期間となる保険)など
上記はあくまで一例となります。上記に該当する保険に加入しているからと安心せず、必ず保険会社に、自転車によって生じた事故が保障の範囲となるか確認しておくようにしてください。
自転車保険に加入しないまま自転車を運転するとどうなる?
現在のところ、自転車保険に未加入の状態で自転車を運転した場合に、罰則が明確に定められているわけではありません。とはいえ、条例違反となることは紛れもない事実です。
2020年4月1日以降、東京都で自転車を運転する際は、必ず自転車保険に加入するようにしてください。
まとめ
2020年4月1日以降、東京都内で自転車を運転する場合は、自転車保険の加入が義務付けられました。自転車は時に人の身体や財産に大きな被害を及ぼすこともある乗り物です。自転車を運転する際は、自転車保険に加入するとともに、安全運転を心がけましょう。
参考
※1 東京都都民安全推進本部「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」
※2 東京都都民安全推進本部総合推進部交通安全課「東京都内で自転車を利用するみなさんへ」
執筆者:柘植輝
行政書士