更新日: 2020.03.23 その他保険
介護保険料率が改定される? 私たちの家計に与える影響とは
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
そもそも介護保険とは?
介護保険とは、40歳以上の人が加入しなければならない保険制度です。(※1)65歳以上の人は第1号被保険者、40歳以上65歳未満の人は第2号被保険者と区別されています。このうち全国健康保険協会に加入できるのは第2号被保険者の人です。
65歳以上になると第1号被保険者となり、お住まいの市区町村より保険料が徴収されるようになります。
介護保険で受けられるサービスとは?
第2号被保険者として介護保険に加入すると、加齢に伴う16の特定疾病(末期がんや関節リウマチなど)を原因とする、要介護または要支援状態にあると認定されることで、ケアプランの作成や訪問介護など、さまざまな介護サービスを原則1割の利用料負担で受けることができます。
要介護または要支援状態にあることの認定は、市区町村の窓口でその旨を申請し、認定を受ける必要があります。(※2)
介護保険料は2020年3月分から0.06%上昇する
全国健康保険協会に加入している第2号被保険者の介護保険料は、2020年2月分までは1.73%でした。
しかし、2020年3月分からは1.79%に引き上げられます。つまり0.06%上昇するのです。介護保険料は、当月分を翌月に支払う仕組みとなっているため、3月に値上がりした保険料は4月に支払うことになります。
負担はどれくらい増えるの?
0.06%上昇するといわれても、いまいちピンと来ないという方もいらっしゃるでしょう。
そこで、モデルケースを設定して計算してみます。ひとまず、毎月の給料を30万円と仮定してみます(東京都在住)。すると、標準報酬月額(保険料算定の基準となる額) も30万円となり、この30万円に保険料率をかけて介護保険料を算出します。
2020年2月までの介護保険料は、30万円×1.73%=5190円でした。対して、2020年4月以降に納付する介護保険料は30万円×1.79%=5370円となります。つまり、毎月180円負担が増えるわけです。しかし、介護保険料は健康保険料などと同様、労使折半が原則です。
介護保険料が0.06%増えたとしても、本人負担分はその半分の0.03%です。つまり、180円の半分である90円が毎月の本人負担分の増加分となります。これを年間に換算すると2160円(本人負担分は1080円)の上昇になります。詳細は全国健康保険協会の保険料額表をご覧ください。(※3)
なぜ介護保険料が上がるの?
介護保険料は、単年度で収支が均衡するように保険者(全国健康保険協会など)が定めることとされています。全国健康保険協会では、急速に進む高齢化などから2019年度末までに467億円の財源が不足すると予想されました。(※4)
その財源不足を補うとともに収支バランスを考慮して、2020年度の3月分より介護保険料が1.79%にまで引き上げられることになったのです。
介護保険の第1号被保険者と第2号被保険者との違いは?
介護保険の第1号被保険者と第2号被保険者は、年齢以外にも受給要件などに違いがあります。両者の違いを表1にまとめましたので参考にしてください。
【表1】
まとめ
全国健康保険協会の介護保険料率は、2020年4月納付分より1.79%に引き上げられることとなりました。
介護保険に加入していることで、支援が必要となったときに適切なサービスを受けることができます。介護保険については、専門とするFPや市区町村の窓口に相談するとよいでしょう。
参考
※1 厚生労働省「介護保険制度について」
※2 厚生労働省「要介護認定に係る法令」
※3 全国健康保険協会「令和2年度保険料額表(令和2年3月分から)」
※4 全国健康保険協会「介護保険の令和2年度保険料率について」
執筆者:柘植輝
行政書士