更新日: 2019.09.30 医療保険
節約するなら、まずは保険の見直しから。FPに聞いた、本当に必要な保険の見分け方
そう、「もしものとき」のためです。ただ、「もしものとき」って、どんなときなのでしょう。そして、保険料の総額を計算したことはありますか? 毎月の掛け金はたいした金額ではないので気にしていないかもしれませんが、一生支払う金額を気にしないのはおかしな話ではないでしょうか?
今回は、今の自分に合った保険を選ぶにはどうすればよいか、考えていきましょう。
執筆者:上山由紀子(うえやま ゆきこ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者 鹿児島県出身 現在は宮崎県に在住 独立系ファイナンシャル・プランナーです。
企業理念は「地域密着型、宮崎の人の役にたつ活動を行い、宮崎の人を支援すること」 着物も着れるFPです。
保険料のしくみとは?
保険料のしくみを知っていますか? 契約者が支払った保険料は、保険金支払いの財源となる「純保険料」と、保険会社の運営管理に必要な費用に充てられる「付加保険料」の2つに分かれます。
保険も保障を重視したもの、貯蓄をうたったもの、いろいろな保険があります。貯蓄をうたっている保険で、お金を増やすことを目的として購入するのであれば、保険料全額が運用に回っていないことを知っていた方がいいと思います。
保険会社は、毎月支払う保険料の金額提示はするものの、ほとんどの保険会社は保険料の内訳を契約のときには説明してはくれません。
医療保険に入るときに知っておきたいこと ~国の保障~
医療保険に加入するときに、まず考えることは、何のために入るのかを考えることです。もちろん、万一病気になったらどうしようか、ということではないでしょうか? 不安はつきません。
では、万一病気になってしまった場合、まず、国の保障は何があるのか見ていきましょう。
病気になった場合、国から受けられる保障として、「高額療養費制度」(※1)があります。
医療機関や薬局の窓口で支払った医療費の金額が、1ヶ月間(1日から末日まで)で上限額を超えた場合は、上限額を超えた金額を支給する制度です
(入院時の食事代や差額ベッド代は含みません)。
例えば、図を見ていただくと、医療費が100万円かかった場合、この方は現役並みの収入ですから、医療費負担は3割となり窓口で30万円を支払うことになります(収入によって自己負担の上限額は変わります)。
支払ったあとで高額療養費の申請をすると、図の計算のように自己負担の上限額は8万7430円となり、あとで21万2570円が返ってくることになります。また、前もって、医療費がかかることが分かっていたら、窓口で支払う前に手続きをすると「限度額適用認定証」がもらえます。
それを持って窓口で支払うと、1ヶ月の窓口での支払いが自己負担限度額の8万7430円で済むことになります。この金額だと保険金ではなく預金でまかなえそうです。
それから、会社の健康保険によっては、独自で高額療養に対応した制度が用意されていることもあります(※2)(※3)。自分の働いている会社の健康保険で付加給付はないか調べてみることも大切です。
医療保険に入るときに知っておきたいこと ~保険の中身を比べる~
最近は1回の入院日数が短くなっています。厚生労働省が調べた、退院患者の平均在院日数(※4)を見てみると、胃の悪性新生物(腫瘍)では、35歳から64歳で13日、75歳以上で24日となっています。医療保険には1入院の限度日数が決められています。現在は60日型が多いようです。
もし、同じ病気で何回か入院することがあった場合を考えてみましょう。保険によっては180日ルールが設けられているものもあります。では、180日ルールとはどんなものでしょうか?
【180日ルール】
(A)という原因で入院して、一度退院して180日以内に、また同じ病気や、(A)が原因となった病気で再入院した場合は、同じ病気とみなされて1入院となります。2回入院しても同じ原因の病気だった場合は、「継続した1回の入院とみなして給付金を支払う」ということです。
こちらは普通の180日ルールになります。もっと厳しいところは、どんな病気でも、2回入院でも1入院とみなすところもあります。
1入院の限度日数が60日の場合で、同じ病気で以下のように入院したとします。
1回目の入院→40日 2回目の入院→30日
1回目と2回目の日数を合計すると70日ですが、支払われる日数は60日分だけになります。
それから、給付金が入院何日目から給付されるのかを調べることも必要です。今の主流は「日帰り入院から」「入院1日目から」などですが、中には5日目から保障するものもあります。
まとめ
保険に加入したり、見直したりするときは、「今の自分に合った保障なのか」をしっかりと考えることです。保険会社の人に勧められたから、友達がいいと言っていたからではなく、自分の現状にあったものを選ぶことです。そのときは、国や勤務先の保障制度もチェックして、保険の内容も比べて選ぶようにしてください。
執筆者:上山由紀子
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP(R)認定者
出典・参照
(※1)厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ
(※2)トヨタ自動車健康保険組合 高額な医療費がかかった場合(基準額を超えた金額を還付する制度について)
(※3)ホンダ健康保険組合 医療費が高額になったとき
(※4)厚生労働省 退院患者の平均在院日数等(2)傷病分類別