更新日: 2020.03.09 生命保険
生命保険の解約返戻金は、いつ、どれくらい戻ってくるの?
生命保険に入る目的は、いつどんなことが起きるか分からないけれども、予期しないできごとが起きたときに備えておくためです。専門用語も多く理解しにくい生命保険ですが、今回は解約返戻金(かいやくへんれいきん)について考えてみましょう。
日本人の生命保険の特徴は?
日本人は保険好きで生命保険の加入者は80%を超え、一世帯当たりで年間約40万円の保険料の支払いをしていると言われています。また、掛け捨てよりも、貯蓄性の高い保険を好む傾向があるとも言われています。
生命保険の三利源とは?
生命保険会社の収益は、次の「死差益」・「利差益」・「費差益」の3つの柱で成り立っています。
「死差益」とは、予定死亡率によって見込まれた死亡者数よりも、実際の死亡者数が少ない場合に生じる利益です。
「利差益」とは、予定利率によって見込まれた運用収入よりも、実際の運用収入が多い場合に生じる利益です。
「費差益」とは、予定事業率によって見込まれた事業費よりも、実際の事業費が少なかった場合に生じる利益です。
この3つが生命保険会社の収益の源泉で、保険金・給付金の支払いなどに充当されます。また余剰金が出たら、配当金が出る場合もあります。
生命保険の種類は?
生命保険の種類は、基本的には「終身保険」・「定期保険」・「養老保険」の3種類です。
「終身保険」とは、満期がなく保障が一生続きます。長生きに対応した保険ですが保険料は高くなります。
「定期保険」とは、満期があり基本的には掛け捨ての保険です。そのため保険料は終身保険に比べ安くなります。
「養老保険」とは、満期があり貯蓄性の高い保険です。
新しい商品の開発や、主契約の特約(主契約に対するオプション)の部分の独立により、保険の種類もずいぶんと増えてきました。
責任準備金とは?
責任準備金とは、生命保険会社が将来の保険金や給付金を確実に支払うため、保険料の中から積み立てているお金で、保険業法で積み立てを義務づけられているものです。保険会社は必ず一定額以上の責任準備金を積み立てておかなければいけないことになっています。
解約返戻金とは?
それでは、今回のテーマである解約返戻金についてみていきましょう。解約返戻金とは、生命保険の契約者が保険を中途で解約したときに払い戻されるお金です。主に終身保険や養老保険などのように、貯蓄性のある保険を解約したときに戻ってくるお金です。
解約返戻金は、責任準備金の中から、
返戻率(%)=受け取る解約返戻金÷払い込んだ保険料総額×100
に応じて戻ってきます。
解約返戻金の請求の仕方は?
請求の方法は簡単で、生命保険会社に連絡し、解約の請求をするだけでよいのです。解約請求書が送られてきますので、必要事項を記入・押印のうえ返送しましょう。内容に不備がなければ、1週間程度で指定の口座に振り込まれます。
保険解約時の注意点は?
ただし、保険を解約する際は、以下の点に注意しましょう。
1、生命保険会社に連絡、解約返戻金の金額を確認し、納めた保険料と比較する。(解約の申し込みではありません)
2、貯蓄・保険などを含めメリット・デメリットを総合的に判断し、解約は見直し後に決定する。
3、解約返戻金が納めた保険料を上回った場合は、一時所得として所得税がかかる場合があるので注意が必要。
まとめ
生命保険(特に死亡保険)は、若いときの人的資本(労働で稼ぐ所得)がなくなったときに困らないために入り、若いときには厚く、年を重ねるに従い減らしていくのが基本です。
従って、金融資産(預貯金等)のたくさんある方は、保険に入らなくてもいざというときに十分対応できるので生命保険は重要ではないでしょう。また、保険を払い込んだ金額(保険料)は流動性(自由に使える部分)がなくなりますので注意が必要です。
保険とは何かをよく考え、「心配だから入る」・「みんなが入っているから入る」ではなく、本当に自分にとって必要かどうか検討して入りましょう。あなたのことを本当に考え相談に乗ってくれる方が身近にいたらいいですね。
出典
公益財団法人 生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査(速報版」
執筆者:小久保輝司
幸プランナー 代表