更新日: 2020.04.03 医療保険

「骨髄ドナーになったとき、医療保険から給付金がもらえる」これって本当?

執筆者 : 横山琢哉

「骨髄ドナーになったとき、医療保険から給付金がもらえる」これって本当?
民間の医療保険は基本的に、自身の病気やケガで入院したときに給付金を受け取ることができる保険です。しかし例外として、骨髄移植等のドナー(提供者)になった場合でも給付金を受け取れる商品があります。
 
今回は、この骨髄移植等のドナーになったときに給付金を受け取れる医療保険について解説します。
 
横山琢哉

執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)

ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター

保険を得意ジャンルとするFP・フリーライター。
代理店時代、医療保険不要論に悩まされた結果、1本も保険を売らずに1年で辞めた経験を持つ。
FPとして、中立公正な立場から保険選びをサポートしています。

骨髄移植などのドナーになるのはどんなとき?

白血病や再生不良性貧血といった、血液疾患の治療において行われる治療の1つが「造血幹細胞移植」で、骨髄移植はその1つです。造血幹細胞移植とは、正常な人から採取した造血幹細胞を患者に移植(点滴で投与)することで、正常な造血機能を回復させる治療法を言います。
 
移植をするためには、ドナーと患者との間で白血球の型(HLA型)が一致しなければなりません。ちなみにABO式の血液型は赤血球の型のことです。
 
HLAの型は、兄弟姉妹間であれば4分の1の確率で一致しますが、親子間で一致することはまれです。そのため、兄弟姉妹間で一致しなければ非血縁者からドナーを探す必要があります。
 
しかし、非血縁者間では数百から数万分の1というとても低い確率でしか一致しないので、骨髄バンクがその仲介をする役割を担っています。
 
以上から、私たちが造血幹細胞移植のドナーとなる可能性があるのは兄弟姉妹が白血病などの病気にかかったときと、骨髄バンクにドナー登録をしていて要請があったときということになります。
 

造血幹細胞移植の方法と費用

造血幹細胞移植の方法は、「骨髄移植」「末梢血幹細胞移植」「さい帯血移植」の3つがあります。非血縁者間における造血幹細胞移植では、骨髄移植とさい帯血移植が主な移植方法となり、末梢血幹細胞移植が用いられることは、ほとんどありません。
 
さい帯血の採取は出産のときのみなので、一般の人が造血幹細胞移植のドナーとなるときは通常、骨髄移植によると考えて差し支えないでしょう。骨髄移植とは、骨の中にある骨髄から骨髄液を採取して患者に移植することで、患者の造血機能を回復させる治療法です。
 

 
出典:イラストAC
 
骨髄液の採取は全身麻酔をして腸骨(骨盤骨)に針を刺し、注射器で吸引することで行います。通常、3~4日程度の入院が必要です。骨髄液を採取するときの費用は患者の負担なので、ドナーに負担はありません。
 
しかし、仕事を休むことで収入が減るなどの負担が生じる人もいるでしょう。このときに生じる負担をカバーしてくれる民間の医療保険が数多くあります。
 

ドナーが給付金を受け取れる医療保険

民間医療保険の中には、造血幹細胞移植のドナーとなったときに給付金を支払ってくれる商品があります。
 
ドナーに対して給付金を支払うことを日本で最初に始めたのは、「プルデンシャル生命」です。2005年4月に始まり、2014年7月末までで185件、総額で2102万円の給付金の支払実績があります。
 
骨髄バンクのホームページには、この給付を行っている医療保険を販売している保険会社(共済を含む)が掲載されています。これを列挙すると以下のとおりです(2018年12月現在)。
 
プルデンシャル生命/ジブラルタ生命/富国生命/楽天生命/ソニー生命/住友生命/太陽生命/損保ジャパン日本興亜ひまわり生命/日本生命/第一生命/オリックス生命/ネオファースト生命/メットライフ生命/三井住友海上火災/ソニー損保/UIゼンセン同盟福祉共済互助会/全労済
 
受け取れる給付金は商品によって違いがあります。給付の内容は以下のいずれかで、商品によってその金額は、数万円~30万円程度とかなり差があります。
・入院給付金日額の10~20倍を支払う
・手術給付金を支払う
・入院給付金と手術給付金を支払う
・一律で決まった金額を支払う
 
給付金の支払いは保険期間を通じて1回までとしている商品と、2回まで支払うとしている商品があります。なお、特約を付加しないと給付金の支払対象としない商品もあるので注意してください。
 

古い医療保険でも対象になることがあるので確認しよう

ドナーに対して給付金を支払う保障は比較的、新しい保障と言えます。そのため、加入してから時間が経っている商品の場合は対象外だと思うかもしれません。
 
しかし、古い商品でも対象となっていることがあります。なぜなら、保険会社の中にはこの給付を導入する前に発売した商品についても、約款に附則を設けて適用し、対象としていることがあるからです。
 
気になる方は、保険会社のコールセンターや代理店に確認してみましょう。ドナーとなって給付金を受け取る機会はめったにあることではありませんが、給付金は請求しないと受け取れません。いざ、そのときが来たときのために、頭の片隅に入れておきましょう。
 
出典:
政府広報オンライン「あなたのドナー登録を待っている人がいます 命をつなぐ骨髄バンク」
一般社団法人 日本造血細胞移植データセンター「日本における造血幹細胞移植の実績2017年度」
日本骨髄バンク
プルデンシャル生命「ドナー・ニーズ・ベネフィット(骨髄ドナー給付)の給付範囲を拡大」
 
Text:横山 琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
 


 

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