更新日: 2019.08.30 医療保険

医療保険の「1入院あたりの支払限度日数」は60日型で十分?

執筆者 : 横山琢哉

医療保険の「1入院あたりの支払限度日数」は60日型で十分?
医療保険に加入するときは、1入院あたりの支払限度日数を決めなければなりません。
 
1入院あたりの支払限度日数は60日(60日型)とするのが一般的ですが、もっと日数の長い商品もあります。反対に、30日型や40日型という日数の短い商品もあるので、どうすべきか迷うのではないでしょうか。 
 
そこで今回は、この1入院あたりの支払限度日数をどうやって決めるべきか、その考え方について解説します。
 
横山琢哉

執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)

ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター

保険を得意ジャンルとするFP・フリーライター。
代理店時代、医療保険不要論に悩まされた結果、1本も保険を売らずに1年で辞めた経験を持つ。
FPとして、中立公正な立場から保険選びをサポートしています。

1入院あたりの支払限度日数とは

医療保険における「1入院あたりの支払限度日数」とは、1回の入院で入院給付金を受け取れる上限となる日数です。
 
例えば90日間の入院をした場合、120日型なら90日分の給付金を受け取れますが、60日型なら60日分の入院給付金しか受け取れません。
 
1入院あたりの支払限度日数は長ければ長いほど安心ですが、保険料もその分高くなるため、不必要に長くしたくないと考えるのが普通です。
 
なお、1回の入院での上限が定められているだけでなく、保険期間の通算での上限も定められています。通算日数の上限は730日~1095日となっている商品が大半です。
 
通算日数を使い切るほど入院するケースはきわめてまれですから、こちらはあまり気にする必要はないでしょう。
 

1入院あたりの支払限度日数は、平均を基準にして備えれば良い?

厚生労働省が公表している「患者調査」によると、退院患者の平均在院日数(総数)は平成26年の調査で31.9日となっており、平成2年の44.9日をピークに減り続けています。
 

 
※図表1厚生労働省 患者調査(平成26年度)「3 退院患者の平均在院日数等」を元に筆者作成
 
1入院あたりの支払限度日数を決めるとき、この平均在院日数を見て「30日型で十分」「少し余裕を見て60日くらいで良い」と考えるのは適切とは言えません。なぜなら、備えを考えるときは平均の日数ではなく、長期の入院となった場合を想定することが必要だからです。
 
もし仮に60日型の医療保険に加入していて180日の入院をした場合、「半年も入院したのに2ヶ月分しか給付金をもらえなかった」という気持ちになるのではないでしょうか。
 
また、医療保険において入院日数を計算するときは、退院の翌日から起算して180日以内に同じ原因、または医学的に重要な関係のある病気で再入院した場合は、連続した1回の入院としてカウントされてしまいます。
 
この点も考慮すると、平均在院日数が30日程度だから30日型で良い、あるいは60日くらいあれば大丈夫だろうという決め方は適切とは言えないでしょう。
 

入院日数が60日を超える可能性がある病気やケガの例

入院日数が60日を超える可能性がある病気やケガの具体例をいくつか挙げておきます。
 

1.脳卒中

脳卒中にかかると、治療を終えたあとにリハビリが必要になることが多いです。先述した「患者調査」によれば、平成26年度の脳血管疾患(脳卒中とほぼ同義)による平均在院日数は89.5日で、平均値でも60日を超えています。リハビリで入院する場合は長期になることがあります。
 

2. 精神障害(統合失調症やうつ病など)

統合失調症やうつ病といった精神障害の治療を入院で行う場合、その期間は数ヶ月に及ぶことがあります。
 

3.その他

意外と見落としがちなのが、骨折などのケガです。骨折の場合、60日以上の入院となるケースはそれほど多くありませんが、状態によっては入院期間が長くなることもあります。
 
また、重症急性膵炎にも注意が必要です。膵炎とは膵臓の炎症のことで、軽症であれば1週間程度の治療で完治しますが、重症化すると1~6ヶ月程度の入院が必要になると言われています。このように、あまり知られていない病気による長期入院もあるので、事前に確認しておきましょう。
 

1入院あたりの支払限度日数はどう決める?

医療保険の中には3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)や7疾病(3大疾病のほか糖尿病、肝疾患、腎疾患、高血圧性疾患など)で入院した場合に支払限度日数を延長する商品や、無制限にする商品もあります。
 
こうした商品は消費者のニーズをよく考えて開発されていますが、精神障害やケガによる長期入院などカバーされない場合もある点に注意が必要です。
 
以上を考慮すると、1入院あたりの支払限度日数の決め方は、大きく分けて以下のいずれかになるでしょう。
 
・基本保障を30日型や60日型としておき、合わせて3大疾病や7疾病での延長保障を得る
・180日型や360日型といった長めの保障にし、さまざまなケースに対応できるようにする
 
これから医療保険に加入する人や見直しをする人は、参考にしてください。
 
※図表1厚生労働省 患者調査(平成26年度)「3 退院患者の平均在院日数等」を元に筆者作成
Text:横山 琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
 


 

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