更新日: 2020.06.01 その他相続

年収1000万円以上の方の意外な考え方。遺産は子どもに残さない?

年収1000万円以上の方の意外な考え方。遺産は子どもに残さない?
もしも自分が亡くなった場合、自分の財産を子どもや孫に残してあげたいと考えている方は多いのではないでしょうか。
 
一方で、自分のお金は自分が楽しむために、すべて使い切りたいと考えている方もいるようです。今回は、特に高収入の方々が自分の財産をどう使いたいのか、または家族にお金を残したいと考えているのかをチェックしていきましょう。
 
下中英恵

執筆者:下中英恵(したなかはなえ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。

富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”

平均相続金額はいくら?

まずは、相続経験者の平均相続金額をチェックしていきましょう。2018年11月~12月に三菱UFJ信託銀行が行った調査(※1)によると、平均相続金額は2114万円となっています。
 
兄弟姉妹の人数などにもよりますが、親の遺産を全て相続する場合、子どもたちの暮らしや家計は大きな影響を受けると考えられます。親の遺産について、どのくらいもらえるのかと気になっている方もいるのではないでしょうか。
 
ただし、自分の子どもたちにどのくらい相続金額があるのかを明らかにしている方は少ないようです。全ての財産を明らかにしている方は、13.6%で、85%以上の方が、子どもに何かしらの財産を明らかにしていないということが分かりました(※1)。

遺産についての考え方

次に、年収1000万円以上など、高収入の方々が自分の財産をどう使いたいのか、またはお金を残したいと考えているのかを見ていきましょう。金融広報中央委員会が行った調査(※2)によると、年収別に、遺産についての考え方は以下のとおりとなっています。

<遺産についての考え方>

老後の世話をしてくれるならば、こどもに財産を残してやりたい
・年収1000〜1200万円未満:11.6%
・年収1200万円以上   :11.0%
 
家業を継いでくれるならば、こどもに財産を残してやりたい
・年収1000〜1200万円未満:1.4%
・年収1200万円以上   :3.7%
 
老後の世話をしてくれるか、家業を継ぐか等に関わらず、こどもに財産を残してやりたい
・年収1000〜1200万円未満:54.8%
・年収1200万円以上   :49.3%
 
財産を当てにして働かなくなるといけないので、社会・公共の役に立つようにしたい
・年収1000〜1200万円未満:0.0%
・年収1200万円以上   :2.2%
 
財産を残すこどもがいないので、社会・公共の役に立つようにしたい
・年収1000〜1200万円未満:0.0%
・年収1200万円以上   :0.7%
 
財産を残すこどもがいないうえ、自分たちの人生を楽しみたいので、財産を使い切りたい
・年収1000〜1200万円未満:7.5%
・年収1200万円以上   :2.9%
 
こどもはいるが、自分たちの人生を楽しみたいので、財産を使い切りたい
・年収1000〜1200万円未満:14.4%
・年収1200万円以上   :19.1%
 
この調査結果では、年収1200万円以上の方の場合、自分の財産を子どもに残したいと考えている方がいる一方で、自分が楽しむためにすべて使い切りたいと考えている方が20%近くいることが分かります。
 
他のどの年収と比べても、年収1200万円以上の方は、自分のために使い切りたいと考えている割合が最も多いという結果になりました。
 
日々一生懸命働き、お金を稼いでいる高収入の方は自分の人生や楽しみのためにも、どんどんお金を使い、消費していこうという姿勢がうかがえます。年収が高く、貯金も十分にある方は、やはり老後の生活を満喫している方も多いようです。
 
いかがだったでしょうか。高収入の方の遺産に関する調査結果を見てみると、自分自身のお金の使い方を考える際にも参考となりますね。今回ご紹介した内容を見ながら、自分の貯金をどのように使うか、老後はどんな生活を送りたいか、ぜひ考えてみてはいかがでしょうか。
 
参考
(※1)三菱UFJ信託銀行株式会社 「相続法が約40年ぶりに改訂、遺言と相続に関する実態調査」
(※2)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」
 
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者


 

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