社会人1年目で夏のボーナスが「4万円」でした…。もう少しもらえると思っていたのですが、新卒の平均はいくらくらいでしょうか?
配信日: 2025.06.19

本記事では、新卒1年目の夏のボーナス事情をデータに基づいて解説し、「4万円」が高いのか低いのかを一緒に考えていきます。

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目次
ボーナスはどのくらいの割合の会社で支給されているのか
ボーナスは企業の利益を従業員に再分配する制度ですが、全企業で支給されているわけではありません。厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和6年9月分結果速報等」によると、2024年夏のボーナス支給率の全国平均は73.0%でした。
ただし、この数字は企業の規模や業種によって大きく異なります。事業所規模が30人以上の企業に絞ると89.9%となり、企業の規模が大きくなるにつれて支給率が上昇する傾向が見られます。
また、業種別に見ても差があり、鉱業・採石業で100%、電気・ガス業や金融業・保険業などでは支給率が90%を超えて高い一方、飲食サービス業では50%と低めです。さらにスタートアップ企業や設立間もない中小企業では、ボーナス制度自体がないケースもあります。
つまり「ボーナスがあるのが当然」という感覚は、全ての企業に当てはまる感覚ではありません。
社会人1年目の夏のボーナスは支給されるのか
社会人1年目の新入社員にとって、初めての夏のボーナスは寸志程度になることが一般的です。ボーナスは通常、これまでの勤務実績や評価をもとに支給額が決定されますが、4月入社の新卒社員は査定期間が極めて短く、評価対象にならないことが多いからです。
株式会社産労総合研究所(東京都千代田区)が実施した「2024年度 決定初任給調査」(回答社数:369社)によると、新入社員に「何らかの夏季賞与を支給する」と回答した企業は77.5%となり、そのうち65.7%の企業が「一定額(寸志等)を支給」となっています。
入社1年目の新卒社員が支給される夏のボーナスの平均額
新入社員が支給される夏のボーナスの平均額も確認をしましょう。産労総合研究所の同調査によれば、新卒社員の夏の賞与平均額は大学卒で9万4112円、高校卒で7万5076円でした。ただしこれはあくまで支給があった企業の平均値であり、各企業の支給額にはばらつきがあります。
支給額の分布に目を向けると、「5万円~10万円未満」が最も多く、大学卒で43.0%、高校卒では46.3%を占めました。
ボーナスが出るのは良い会社なのか?
ボーナスの支給は、その企業が「利益を社員に還元する」姿勢を持っている証しといえます。そもそもボーナスは、労働基準法で支給が義務付けられているわけではありません。景気が不安定な時期でも安定してボーナスを支給する企業は、経営基盤が強く、財務的にも健全である可能性が高いです。
ただし、ボーナスが出ないからといって、その企業が悪いとはかぎりません。例えば、近年では年俸制でボーナス込みの給与体系をとっている企業や、毎月の給与に成果給を含んでいる企業も増えています。また、福利厚生や研修制度など、別の形で社員に還元しているケースもあるため、ボーナスの有無だけで会社を評価するのは早計です。
一般社員の夏のボーナス平均支給月数
では、数年後を想像してみましょう。三重県が発表した「令和6年夏季賞与の調査結果(三重県分)」によると、夏のボーナスの労働者一人平均支給月数は平均1.15ヶ月、金額にすると43万7225円でした。
この金額と比べると、新卒1年目の「4万円」は確かに控えめですが、今後、業績や評価期間に応じてボーナスが増える可能性があるため、悲観する必要はなく、前向きに捉えましょう。
ボーナスは今後の成果と成長次第
夏のボーナスが「4万円」は、新卒1年目の社会人としては極端に低いわけではなく、落胆する金額ではありません。むしろ、半数近くの企業で10万円未満の支給となっている実態から見れば、支給されていること自体もありがたい話といえそうです。
大切なのは、これを出発点と捉え、今後の成果と成長で自分の評価を高めることです。ボーナスは、自身の努力の積み重ねと成果を出すことによって上がっていきます。焦らず、一歩ずつ前に進んでいきましょう。
出典
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和6年9月分結果速報等
株式会社産労総合研究所 2024年度 決定初任給調査
三重県 令和6年夏季賞与の調査結果(三重県分)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー