更新日: 2019.10.28 その他税金
年収1000万円と世帯年収1000万円では税負担がこんなに違う。いったいなぜ?
世帯年収が同じであっても、一人で稼ぐのと二人で稼ぐのでは、税負担がかなり違うことをご存じですか?
具体的に、1000万円の年収を一人で稼ぐ世帯と二人で稼ぐ世帯の場合の、税負担について説明いたします。
目次
税金の計算の仕組み(所得税)は?
まず、総支給額から引かれている税金、主に所得税について、どのような計算になっているのか見ていきましょう。
・収入金額等(=給与明細書の総支給額)
・所得金額(=収入金額等-給与所得控除)
・所得から差し引かれる金額(=社会保険料控除+配偶者控除+基礎控除など)
・課税される所得金額(=所得金額-所得から差し引かれる金額)
・税金の計算(=課税される金額×税率) 累進課税になっております。
・納税金額確定
以上のような流れで所得税の額は決定されます。
給与所得者の納税方法は?
個人事業主の場合は確定申告が必要ですが、大半の給与所得者の場合は、「源泉徴収」という形で毎月所得税を天引きされておりますので、12月に「年末調整」をすることで、納税金額が確定するということになります。
なお、「源泉徴収」とは、会社が給料を払う際、毎月の収入金額に応じて所得税を天引き(概算)することです。
「年末調整」とは、源泉徴収されていた所得税から各種控除を差し引き、正確な所得税を計算する手続きのことです。
年収1000万円を夫1人で稼いだ場合は?
それでは、夫一人で年収1000万円を稼いだ場合、所得税額はどうなるのか、具体例を元に考えてみましょう。
【具体例1】
夫45歳 妻40歳 男子15歳 女子12歳の4人家族
夫は会社員で23年勤務 年収1000万円 妻は専業主婦を想定
社会保険料控除(150万円 年収の15%で計算)配偶者控除(38万円)基礎控除(38万円)で計上
・収入金額等=1000万円
・所得金額=1000万円-220万円(給与所得控除)=780万円
・所得から差し引かれる金額=150万円(社会保険料控除)+38万円(配偶者控除)+38万円(基礎控除)=226万円
・課税される所得金額=780万円-226万円=554万円
・税金の計算=554万円×0.2-43万円=68万円
・納税金額=68万円
*千の単位を四捨五入
ちなみに妻が配偶者控除(38万円)からはずれた場合は、税額76万円となり、8万円の増税となります。
年収が夫500万円.妻500万円で世帯年収1000万円の場合は?
次に、夫が500万円、妻が500万円をそれぞれ稼ぎ、世帯年収が1000万円であるパターンを見てみましょう。
【具体例2】
夫45歳 妻40歳 男子15歳 女子12歳の4人家族
夫会社員で23年勤務 年収500万円 妻は会社員で20年勤務 年収500万円を想定
社会保険料控除(夫75万円 妻75万円 年収の15%で計算)基礎控除(夫38万円 妻 38万円)
夫
・収入金額等=500万円
・所得金額=500万円-154万円(給与所得控除)=346万円
・所得から差し引かれる金額=75万円(社会保険料控除)+38万円(基礎控除)=113万円
・課税される所得金額=346万円-113万円=233万円
・税金の計算=233万円×0.1ー10万円=14万円
・納税金額=14万円
妻
・収入金額等=500万円
・所得金額=500万円-154万円(給与所得控除)=346万円
・所得から差し引かれる金額=75万円(社会保険料控除)+38万円(基礎控除)=113万円
・課税される所得金額=346万円-113万円=233万円
・税金の計算=233万円×0.1ー10万円=14万円
・納税金額=14万円
*どちらも千の単位を四捨五入
合計の納税金額は28万円(夫14万円+妻14万円)となります。
どのくらいの差がある?
納税金額は、夫1人で稼いだ場合(66万円)-夫婦500万円ずつ稼いだ場合(28万円)=38万円となり、大きな差となります
住民税(所得割10%+均等割)については、収入の多い少ないにかかわらず、ほぼ一律ですので、計算に入れず所得税のみで計算いたしました。また医療費控除などがある場合は、確定申告が必要となります。
まとめ
同じ1000万円の世帯年収でも、収入の中身により大きく税金も変わってきます。
所得税は「累進課税」なので、課税所得554万円の場合の税率は「20%ー42万7500円」であり、課税所得233万円に対する税率は「10%ー9万7500円」となっており、税額も大きく変わってくるのです。
執筆者:小久保輝司
幸プランナー 代表