「野原ひろしみたいな、普通の人と結婚したい！」という娘。令和の今、35歳で“年収600万円の係長”は普通なの？ 野原家の「家計状況」もあわせて検証

クレヨンしんちゃんの「野原ひろし」といえば、「足が臭い」「安月給」などとやゆされることもありますが、人情味があり家族思いの良い父親です。
 
そんな野原ひろしは、35歳で年収600万円という設定ですが、娘が「野原ひろしみたいな普通の人と結婚したい」と言っていると、「野原ひろしのスペックは普通なの？」と疑問に思う人もいるかもしれません。
 
本記事では、野原ひろしのスペックを改めて整理し、それが本当に「普通」と言えるのか、現代社会と照らし合わせながら検証していきます。

野原ひろしのプロフィールを整理

まずは、作中に描かれている野原ひろしの情報を確認しましょう。

●年齢：35歳
●職業：双葉商事 営業2課勤務
●役職：係長
●年収：約600万円程度
●家族構成：専業主婦の妻（みさえ）＋子ども2人（しんのすけ、ひまわり）＋犬1匹（シロ）
●住まい：埼玉県春日部市の一戸建て（ローン返済中）

つまり、35歳で年収600万円の係長、郊外に戸建てを構え、専業主婦と2人の子どもを養っている状態です。これが「普通」だとすると、なかなか理想的な生活水準に見えます。
 

現代の35歳男性はどれくらい稼いでいる？

2025年現在、実際の35歳男性の年収はどうなっているのでしょうか。
 
国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者35～39歳男性の平均年収は約556万円です。なお、これは正社員、非正規雇用含めた数字であり、地域差も大きく影響します。
 
続いて、年収600万円を超える人の割合を見てみると、男性全体で34％程度です。つまり、野原ひろしレベルの年収の人は「上位35％以内」に入り、普通よりも稼いでいるといえます。
 
また、35歳で係長というポジションも、会社規模や業種によりますが、現代の日本企業では決して昇進が遅いほうではないでしょう。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」では、係長級の平均年齢は男性で45.4歳です。
 

現在、1馬力で専業主婦と子ども2人を支えるのは難しい？

野原家のように、「1馬力（夫のみの収入）」で専業主婦と子ども2人＋犬を養い、なおかつ持ち家のローンを返していく生活は、現代において可能なのでしょうか？
 
総務省の「家計調査年報（家計収支編）2023年（令和5年）」によると、2人以上の世帯の平均的な消費支出は月約29万4000円です。ただし、この数値はあくまでも平均です。例えば、住居費は月約1万8000円となっています。
 
野原家は一戸建ての住宅を購入してローン返済中ですから、仮に毎月のローン返済額が10万円だとすると、消費支出は先ほどの約29万4000円に8万2000円をプラスして、約37万6000円程度だと推定されます。年間にすると451万円程度です。
 
年収600万円から税金・社会保険料などが引かれた手取りを8割だとすると、約480万円です。この中から住宅ローン＋生活費をまかない、貯蓄まで回すのは、綿密な家計管理が必要だといえるでしょう。
 

まとめ

かつて「普通」だったものは、時代と共に変化します。1990年代前半は専業主婦世帯と共働き世帯は同じくらいでしたが、現在は共働き世帯が専業主婦世帯の倍以上を占めています。
 
また、作中で「安月給」といわれることがあるとしても、現在の基準と照らし合わせると、35歳で年収600万円は高水準です。
 
「普通の人と結婚したい」という願いをかなえるには、まず今の社会での普通の水準を正しく知ることが大切です。そして、自身の生活設計や価値観を時代に合わせて柔軟に見直していくことも、幸せな人生を築く上で欠かせない視点と言えるでしょう。
 

出典

国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査－調査結果報告－
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況 役職別
総務省統計局 家計調査年報（家計収支編）2023年（令和5年） 家計の概要
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー