「富裕層」は世帯年収いくらから? 日本にはどれくらいいる?

配信日: 2025.06.18

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「富裕層」は世帯年収いくらから? 日本にはどれくらいいる?
経済のニュースを見聞きするときに、「富裕層」という言葉が使われることがあります。「富裕層」は一般的に、資産を多く有している世帯というイメージがありますが、具体的にどれくらいの資産を指しているのかについては、あまり知られていないかもしれません。
 
本記事では、富裕層と呼ばれる世帯の年収にスポットをあてて解説します。また富裕層がどれくらい日本に存在するかもあわせてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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「富裕層」の明確な定義はない

結論からいうと、「富裕層」の明確な定義はないようです。富裕層と聞いたときに、どれくらいの資産額をイメージするかは個々人によって異なるでしょう。人によっては年収1000万円を想像するかもしれませんし、2000万円だと思うかもしれません。
 
参考として、「株式会社野村総合研究所」の調査では、富裕層を「純金融資産保有額1億円以上5億円未満」としているようです。また5億円以上は「超富裕層」、5000万円以上1億円未満は「準富裕層」と定義しています。
 
株式会社野村総合研究所の定義では、「純金融資産保有額」とは、預貯金や株式、債券、保険など世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いたものとされています。
 

1億円以上の金融資産を持つ富裕層は日本にどれくらいいる?

株式会社野村総合研究所の推計によると、2023年の日本における準富裕層、富裕層、超富裕層の割合は表1の通りです。
 
表1

分類 世帯数
超富裕層
(5億円以上)
11万8000世帯
富裕層
(1億円以上~5億円未満)
153万5000世帯
準富裕層
(5000万円以上~1億円未満)
403万9000世帯

出典:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」を基に筆者作成
 
株式会社野村総合研究所が行った2005年からの推計を見ると、表1の3つのどの分類においても、世帯数は増加傾向にあります。富裕層は2005年推計時に81万3000世帯でしたので、約88.8%も増加しています。
 
富裕層や超富裕層が増加している理由としては、保有している株式・投資信託などの価格が上昇したことが考えられるようです。また外貨建ての資産を保有している世帯においては、円安による含み益が拡大したことも想定されます。
 

「富裕層」は年収いくらから? 日本にどれくらいいる?

金融資産の種類は多岐にわたるため、同じ資産額を持つ富裕層間でも、年収の違いが発生します。
 
人によっては、年収が少なくても、株式や債券の資産が1億円以上になっているケースがあるかもしれません。逆に高年収を稼いでいる人は、預貯金のみで1億円以上を保有している可能性もあります。
 
株式会社野村総合研究所では、都市部に住む世帯年収3000万円以上の大企業共働き世帯を「スーパーパワーファミリー」と定義し、彼らが50歳前後には富裕層となる可能性を指摘しています。また地方部においては世帯年収1000万円以上の大企業共働き世帯が、60歳前後に富裕層へシフトする可能性を挙げています。
 
便宜的に、1000万円以上の年収がある世帯を富裕層と仮定しましょう。厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査」によると、年収1000万円以上の世帯が全体に占める割合は表2の通りです。
 
表2

年収 全体に対する割合(%)
1000万円以上1100万円未満 2.6
1100万円以上1200万円未満 2.3
1200万円以上1300万円未満 1.8
1300万円以上1400万円未満 1.0
1400万円以上1500万円未満 0.8
1500万円以上1600万円未満 0.7
1600万円以上1700万円未満 0.3
1700万円以上1800万円未満 0.3
1800万円以上1900万円未満 0.3
1900万円以上2000万円未満 0.2
2000万円以上 1.3

出典:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」を基に筆者作成
 
年収1000万円以上を稼いでいる世帯は、全体の11.6%にしか達しませんでした。
 
一方、年収「500万円未満」の世帯を見ると、全体の59.6%を占めます。2022年における平均は524万2000円ですので、平均年収より低い稼ぎしかない世帯が日本では過半数存在することになります。
 

富裕層は増加傾向にあるが平均年収未満の世帯は過半数にのぼる

富裕層に関する明確な定義はありませんが、仮に純金融資産保有額1億円以上5億円未満とした場合、株式会社野村総合研究所の推計ではおよそ「153万5000世帯」にのぼり、増加傾向にあるようです。
 
一方、高年収を稼いでいる世帯は給与所得者全体からすると少数にとどまるようです。厚生労働省のデータによれば、平均年収未満しか稼いでいない世帯が過半数を占めています。
 
ただし、年収が低いからといって金融資産がない、もしくは少ないとは限りません。計画的な貯蓄や資産の運用しだいでは、富裕層になれる可能性もあるでしょう。
 

出典

株式会社野村総合研究所 野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計(1~2、4ページ)
厚生労働省 2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況 II 各種世帯の所得等の状況 2 所得の分布状況(10ページ)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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