2025年「初任給」が「30万円台」の会社は何割? 初任給の「平均引き上げ額」はどれくらい?
配信日: 2025.06.12

そこでこの記事では、2025年における初任給の実態とその背景について紹介します。

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目次
2025年度、30万円以上の初任給を支給する企業の割合は?
株式会社帝国データバンクの「初任給に関する企業の動向アンケート」(2025年度)によると、2025年度の初任給について「30万円以上」と回答した企業は1.7%で、前年度の0.2%より1.5ポイント上昇したことが分かりました。
30万円台の初任給を提示する企業の割合は少数派ではあるものの、増加傾向にあるといえるでしょう。
初任給の平均引き上げ額と引き上げ企業の割合
同アンケートによると、2025年新卒の初任給を前の年度から引き上げるとした企業は71%となっています。
引き上げ額の平均は9114円で「1万円〜2万円未満」が最も多く41.3%、次いで「5000円〜1万円未満」が30.7%でした。
また、一般財団法⼈労務⾏政研究所の「2025年度 新⼊社員の初任給調査」によると、東証プライム上場企業197社のうち、学歴を問わず初任給を引き上げた企業は83.2%で、2年連続で8割を超えています。
これらはここ数年で例を見ない高水準であり、大企業・中小企業を問わずその傾向の強いことが分かりました。メーカーや金融、建設など、さまざまな業種において初任給が30万円を超える企業が出てきています。
初任給引き上げの背景
各企業が初任給の引き上げに動く背景には、物価や最低賃金の上昇、そして優秀な人材確保の必要性などの要因があると考えられます。
近年の食品や日用品などの価格上昇に対応し、従業員の生活基盤を守るため、多くの企業が給与の見直しを余儀なくされ、初任給の金額を上げることが1つの解決策として採用されているといえるでしょう。
また、新卒採用市場では少子化による人材不足を背景に、優秀な人材を確保し引き留めるための競争が激化しているといわれています。大企業を中心に、初任給引き上げでイメージアップを図り他社と差別化することで、学生の応募を期待していると考えられます。
加えて、政府が推進する最低賃金の引き上げも、初任給の見直しを後押しする要因となっているとみられ、特に、低賃金だった中小企業が最低賃金の引き上げに合わせて給与体系全体を調整しているといえるでしょう。
初任給引き上げの課題
初任給の引き上げは、人材確保や競争力向上のための重要な方策といえますが、実施には課題が伴うかもしれません。
初任給を引き上げるには予算の確保が必要で、人件費の上昇は、特に中小企業にとって経営の重荷となる可能性があるでしょう。
また、初任給を大幅に引き上げることで、既存社員の給与が新入社員より低くなる可能性があります。これは既存社員のモチベーション低下や離職につながるリスクがあり、企業は既存社員の給与体系も見直す必要があるでしょう。
さらに、高い初任給の提示は、採用競争を激化させる可能性があります。競争が激化すると、企業はより高額にする必要があり、コストが増加する悪循環に陥るかもしれません。
初任給が30万円台の会社は全体の1.7%だが、人材確保の必要性などを理由に、今後増加する可能性はある
ここ数年の初任給引き上げの動きには、物価上昇への対応や最低賃金の上昇、優秀な人材確保の必要性が関係していると考えられます。
新卒採用市場では、少子化により優秀な人材の確保が難しくなっています。初任給が高いことは新卒者にとって重要な判断材料となっており、企業の魅力を直接的に伝える手段として機能しているといえるでしょう。
とはいえ初任給のみを引き上げた場合、既存社員よりも新卒の給与が高くなり、既存社員の不満やモチベーションの低下を引き起こすおそれがあります。そのため、初任給を引き上げた会社では既存社員の賃金見直しも必要になる可能性があるでしょう。
出典
株式会社帝国データバンク 初任給に関する企業の動向アンケート(2025年度)
一般財団法⼈労務⾏政研究所 2025年度 新⼊社員の初任給調査
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー